第10話

 鉄の心には驚きとともに喜びが沸き上がってきました。-また星の一員になれる!-それはとても魅力的な見通しでした。


 「僕らは長い間旅をしてきたけど、どうやら最近、皆がだんだんと同じ方向に進んでいっているように感じるんだ。それはヘリウムの言っていた新しい星が生まれる途中だからなのかもしれない。それで僕は考えたんだ。もしそうなら、同じ方向に並んで進む誰かと話ができるかもしれない。今までみたいにぶつかって一瞬で離れてしまうんじゃなくてね。だから僕は自分のあいさつを長くした。僕の長いあいさつを聞き取ってお互いが並んで進んでいることに気付いてくれる誰かを待ったのさ。そこで君に出会った。」


 鉄はとても嬉しくなりました。鉄はこれまでずっと独りぼっちでしたし、これからも長い間ほとんど永遠に独りぼっちなんだと思っていました。


 それが今、思いがけなく友達ができたのです。


 それにその友達もまた、友達となる誰かを探していました。

 そして、彼は自分を見つけたのです。これはとても素晴らしいことだと思いました。


 鉄は今までの暗い気持ちがなかったことのように晴れやかな気持ちになりました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る