第8話
「君のあいさつ、『どちらから?』だったよね」
「そう。君はどちらから?」
「僕はウェスティアで生まれたんだ。」
「やあ!僕もウェスティア生まれだ。同郷だね。この辺りを飛んでいる塵はウェスティアから来たのが多いと思うよ。」
「そうなんだね。懐かしいな、あの熱くて眩しくてにぎやかな場所。」
「そうそう。ぎゅうぎゅう詰めになって、毎日みんなでおしくらまんじゅうをしていたよね。」
ウェスティアで起こったことは、会ったばかりの二人にとって共通の思い出でした。
生まれたばかりのこと、にぎやかだった仲間たち、そして、ウェスティアから吹き飛ばされた時のこと、二人は夢中でおしゃべりをしました。
どれだけ長い間話したでしょうか。次から次へと言葉が出て、二人とも同じ話を何度も繰り返しましたがそれにさえ気づきませんでした。
二人の距離はだんだんと近づいているようでした。
相手の声が大きく聞こえるようになりましたし、また、それほど大きな声を出さなくても相手に伝わるようになりました。
このまま近づいていくとやがて二つの塵はぶつかるのでしょうか。そして、ぶつかった後は離れていくのでしょうか。
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