四話「偶然にも必然的運命の出会いをした私達
昼下がり、私は昼食も取らずに憎き本郷を苦しめるべく、私はひたすら動いた。今日は入学式なのでもう帰ってもいいのだが、今は少しでも前に進む準備をしたい。
華園は私にこの一年でステガを学び、来年再び参加申請に来てくれれば彼女から推薦してくれるという素敵な提案をしてくれたが、それでは結局本郷の下に付くだけで何の打撃も与えられない。上手いこと言ってブランドにより即戦力となる選手を簡単に集め、何の努力も無しにチームを強化。使えないメンバーは切り捨てる。そんなことを平気でやっているやつに一太刀浴びせて文句を言うやつはいるまい。でも、どうしたらいいのか……。答えはすぐに出た。
やつに一太刀浴びせる手段ならいくらでもあるが、その中でも最も協力な一撃となるもの。それは、私の作ったチームにステガで破れるという現実だ。今すぐにでもくらわせてやりたい。善は急げ。
まだ申請が済んでなさそうな人にどんどん声をかけた。しかし全く相手にされない。当たり前だ。ステガ初心者が校内のステガ最強チームに一からチームを作り張り合おうとしてるなんて、冗談にしか聞こえないのだろう。しかし、私は諦めない。頑張れば周りが変わる。夕暮れ頃の私は仲間をぞろぞろ連れてるに決まってるのだ。
――午後五時を迎えた。さて、とりあえずダメもとで自分の教室を覗いて誰もいなかったらさっさと帰ろう。半日無駄に浪費した私は諦めムードでゆっくりとスライド式のドアを開ける。中にはやや高身長なポニテの女子と、いかにも知的な雰囲気の眼鏡をかけた青髪の女子がいた。会話の流れをつかむためにも先に話し出した。
「あ、あの、ちょっとよろしいですか……? 私はここのクラスの小野優乃です。お二人は…」
「おー。あたしは
「あの、名前くらい自分で言わせて頂けませんか?」
「あ、悪い悪い!うひひ」
悪い人達じゃなさそうだし、私はこの人達にも事情を話してみた。
「ほう! そいつは許せないな。じゃああたし優乃のとこ入るわ。大会とかどうでもいいし気楽にやりたかったからどこにも入る気なかったけど、それはそれで退屈そうだしな。ただ、あたし負けるのだけは嫌いだから絶対勝つぞ」
「ほ、本当!? 希さん、ありがとう!」
「ん、希でいいよ、優乃ちゃん」
希は茶髪のポニーテールをいじりながらそう言った。ついに一人目の部員を確保できた。
「それじゃあ、私も一肌脱ぎましょうか。一人でひたすらゲームを極めるつもりだったけど、誘われて断る理由はないわ。ステガに関してはあまり力になれないかもしれないけれど、ゲームなら任せてね。まずはステガなんでしょうけど」
「やったあ! ありがとう、蓮子」
「あの、私は呼び捨てでいいなんて言った覚えないんだけど。優乃」
なんとか二人の部員の確保に成功したが、ステガは六人でやるスポーツなのであと三人集めなければいけない。しかしこの調子ならきっとすぐに集まるだろう。
私達は人を集めながらステガの練習をしていくことにした。
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