先輩観察日記

4月□日 妖怪 すねこすり

雨女はどっか行ったはずなんですが今日も昨日の夜から降り始めた雨が続いてます。

４月だから天気が変わりやすいのは仕方ないですね。

まぁ昨日から雨が降ってた筈なのにどうゆうわけか先輩は夜中コンビニに出掛けたみたいです。

理由はアイス食べたくなったかららしいです。夜中の2時に出掛けるとか、4時間位待てなかったんですかね。

そのせいで先輩は今すねこすりに纏われてます。

もとはどっか、岡山でしたっけ、そこらへんの伝承らしいんですが某大先生のお陰でわりと知られているようないないようなレベルの妖怪です。

雨の夜中に足の間をすり抜けて人を転ばせる妖怪ですね。命に別状はないです。

ですが先輩はどうも気に入られたみたいでやたらとくっつかれてます。

先輩は今日私が知ってるだけで18回転けてます。無駄に丈夫な体をもっててよかったですね、ほとんど怪我無いですよ。

数少ない傷の原因は階段の上でこけた時には足を軽く捻ったことらしく今先輩は椅子に座って大人しくしています。

なので観察してもつまらないんですよね。先輩なら先輩なりに片足歩行を編み出すぞとか言って暴れてればいいのに。

ほんとにやったら止めますけど。

すねこすりは先輩の足元にまだいます。

猫とは言えませんが犬よりは猫っぽいような…?って感じの見た目です。

あ、先輩が本を取りに立ち上がりそして３歩歩いたところで転けました。

綺麗に受身とりましたね。選択授業柔道にしといて良かったじゃないです。

とりあえず先輩起こしてきます、このまま歩いてもずっと転けっぱなしですし。

先輩を起こして椅子に座らせて欲しかったらしい本を取って渡して来ました。

ラノベを5冊机に積んで静かに本を読み始めました。

こうやって静かになっているとそれなりに見栄えはいいんですよね。持ってる本がラノベなのが残念になるぐらいに。

私もラノベはそれなりに好きですしいいんですが。

そう言えば先輩は今日制服じゃないです。

朝ずっこけた時に汚れたからってずっとジャージでいます。

一応保健室行って汚れたシャツを洗濯機の入れてはもらったみたいです。

ブレザーとズボンは担任と交渉して数日なしでも大丈夫になったみたいなのでクリーニングに出してくるらしいです。

ですがすねこすりがついたままだと着るものなくなるぐらいには転けるんじゃないですかね。

本来なら夜か夕刻ぐらいしか出てこないはずなのに朝昼関係なくくっついてるですからほんと気に入られたんですね。

先輩は元からそういう体質ですけど動物っぽい妖怪とか動物霊にはことさらよく気に入られます。

動物好きの匂いでもするんでしょうかね。

すねこすりは私のほうにも時たま目線を寄越してきますが先輩の元を離れる気は無いみたいです。

数日経っても憑いたままだったらどうにかして払っておきましょう。

あまり実害が酷くないものには手を出しすぎない方がいいんです。

それと去年体育祭のリレーで転けたのをその後の部活で散々笑ってくれた事もあったのでこれくらいの仕打ちは許される筈です。

普段も気を配っている後輩の可愛い仕返しくらい八百万の神々だって気にしませんよ。

流石に目の前でこけられたりしたら助けますけど。

あ、ラノベに飽きてきた先輩がペン回しを始めました。

意外と回せてます。こうゆう謎の特技多いみたいなんですよね。

ペンが吹っ飛びました。ミスしたみたいです。

立ち上がって拾いに行ってまた転けました。

「俺の足は呪われてしまった…暗き地底に眠る神々に囚われてしまったのだ…」

転けまくってるのがいい加減恥ずかしくなってきたのでしょうけどこんな中二台詞言ってる方がのちのち辛いですよ。

妖怪やらに捕まりまくってる先輩なのであながち間違ってないところがなんとも言えませんけどね。

、今見たことを正直に書きます。

先輩が三足歩行を始めました。

両腕とひねっていない方の足で歩き、いや動き始めました。

なんで先輩は四つん這いに類する移動方法することが多いんでしょうか。

相変わらず謎の速さで動いています。

さすが先輩予想を裏切らない謎行動です。

すねこすりですら若干困惑してそうですね。

あ、すねこすりが逃げました。

鬼気迫る顔で徘徊していた先輩が嫌になったのですね。私もこの先輩は見ていたくないです。

ぼそぼそと何か言ってるなと思って耳をすませたらなんか自分の状態を説明するようなこと言ってました。

先輩は今「地に縛られしもの」からの呪縛で正気を失い地に垂直に立てない状態だそうです。

ネーミングセンスもあれですしもうちょいまともな設定はなかったのでしょうか。

とりあえず先輩のおでこに御札でも貼って黙らせます。

ついでに今日はここら辺で終りにします。

先輩の腕がダメになる前に行かないとですしね。

後輩