4月△日 七不思議 図書室の座敷童子

今日は珍しいことが起こってます。

零感な先輩が妖怪と遊んでます。

理由は単純で相手が七不思議だからなんですけどね。

学校とゆう狭い空間でしか動けない分その中での力がだいぶ強いんですよ。

しかも今日みたいに中途半端な曇り空の日の夕方とか格好のタイミングですね。

普段は見えない人とかでも割と見えます。

図書室の座敷童子、ゆかりちゃんというんですが、いつもは図書室の隅で本読んだり3階の女子トイレに行って花子さんと遊んでるんですけど先輩に自分が気づいてもらえたのが嬉しかったのか一緒に図書室で遊んでます。

ちなみに先輩は彼女を背中に載せて四つん這いで図書室を爆走してます。

馬の嘶きの真似がなんであんなに上手いのかは良くわかんないです。

それと高校の図書室に十歳位の子がいることに疑問を持たないあたりさすが先輩です。

まぁでもそろそろ体力が持たなくなって潰れますね。


やっぱり潰れました。こうぐしゃっといきました。

ゆかりちゃんはそれも楽しいみたいで笑ってますけど。満足気に白くならないで欲しいですね、先輩。

馬の鳴き真似しないでください、しかもなんか悲壮感たっぷりに。

目つきの悪くて喋った事無い人には高確率で怖がられていますが中身はこんな残念野郎ですからね。

先輩は今日の朝、浮游霊に憑かれて1日意識がやばかったみたいですが幸運のもたらす座敷童子に会えたことで症状が緩和されてるみたいです。

未だに浮游霊はくっついてますが学校にいる間は手を出せないですね。

あ、先輩が生き返りました。

今度はゆかりちゃんとお絵かきするみたいです。

紙よこせーじゃないです。あげますけど。

先輩の絵ってSUN値削られる系の絵なんですよ。

描かない方が絶体いいと思うんです。

曰く頭の中に思いつくのが一部分ずつだからそれごとに描いて組み合わせてるらしいです。

でもそれでもどうしたらあんな風になるんですかね。

目の描き方が原因なんですかね。どう見ても血走ったみたいな目しか描かないんですよ。

今2人はきりんを描こうっていったますが先輩が描いているのはきりんじゃないと思います。

四角い箱に上に1本下に4本棒が生えたなにかです。まだら模様の。

そしてゆかりちゃんが描いてるのはきりんじゃなくて麒麟ですね。

しかもかなり上手いです。その鬣のふわふわ感はどうやって描いてるんでしょうか。

お互いに見せあってますが先輩はどうやっても描けてませんから諦めて負けを認めてほしいですね。

ゆかりちゃんのは意図したお題と違いますが口頭できりんと言った先輩が悪いです。

「俺はほら、ゆかりちゃんのレベルに合わせようとしただけだから。思いのほかゆかりちゃんが上手かったけど俺も本気出せばこれぐらい余裕だから」

これを聞いて信用できる人ってほとんどいませんよね。

過去に先輩が描いた犬を見せてあげたいです。

飼い犬のまぐろくんを描いたらしいんですが好意的に見ても白と黒の毛の塊を描いてるようにしか見えませんでした。

あ、でもゆかりちゃんはあの血走ったみたいな目がお気に入りになったみたいです。

いくら人に対して好意的でも怪異なのには変わらないですね、友人の似顔絵をもらった気分らしいです。

今更ですが先輩にゆかりちゃんの声は聞こえてません。私はいつも通り聞こえますが。

妖怪の力が強まり易くても元が零感の先輩に気づかれるのは五感で感じ取れるうちの1個くらいです。

良かったのはそれが目だったことですね。

声だけ聞こえるとかほんとにホラーです。

それで怯える先輩も面白そうだとは思いますけど。

ゆかりちゃんの名前は私が教えました。なんで知ってるのって聞かれましたが前にあった事があるって言ってごまかしました。

間違ってませんよ、昨日も顔は合わせました。


部活終了10分前の鐘が鳴ってしまいました。

それを聞いたゆかりちゃんは急いで手を振って図書室を出ていきました。

校舎を出れないから一緒に帰ろうとか言われる前に逃げたんですね。正しい判断です。

だから先輩

「いきなりどうしたんだ…、まさかシンデレラごっこか!?」

とか言って追いかけようとしないでください。

先輩を叩いて止めたところで今日は終わりです。

とりあえず校門出たら先輩の背中にくっついてる浮游霊を叩き落とすことにします。

後輩

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る