第82話 地縛! 少女の霊と母親と、そして少女 (Bパート)

 千歳とかなみが出かけた直後、みあは備品室で留守番を任されていた。

「まったく退屈ね」

 何故、留守番を任されたかというと、そこに住み着いている奴がいるからだ。

「そうとも限りませんよ」

 元関東支部の幹部・スーシーだ。

 彼は今千歳が編んだ魔法糸でがんじがらめに拘束されている。みあはこのスーシーが抜け出して好き勝手やらないかを見張る役目を負った。

 これは実験だと、あるみは思った。

 千歳の他にオフィスの留守番や見張りを任せられる魔法少女がいるのか。

「ボクの話し相手になってくれれば」

「……はあ? なんで、あたしがあんたなんかと?」

「かなみさんとは仲良くおしゃべりしてるじゃないですか」

「別に、仲良くやってるわけじゃないのよ」

 みあはムッとする。

「ハァハァ、そう言って会話しちまうのが奴の術中だろ」

「あ~」

 みあは迂闊だったと気づく。

「まあまあ、そう邪険にしないでください」

「………………」

「千歳さんはそれなりに相手をしてくれるんですけどね」

 スーシーは手を動かして、糸を振り解こうとする。

「あんた!」

 みあはグッと身構える。

 スーシーの脱出を許すわけにはいかない。そういう役目なのだから。

「凄まじい拘束力を誇る魔法糸ですね。ただ千歳さんが常に魔力を流し込んでいなければそれほどでもありませんよ。まあそれでも並の怪人なら身動き一つできないところですが」

「自分は並じゃないって言いたいわけね」

「ええ、これでも幹部ですから」

 スーシーは腕に巻き付いた糸を振りほどく。

「そうはいかないわよ!」

 ミアは変身して、スーシーの腕をヨーヨーでグルグルに巻く。千歳に教えてもらった魔法糸による拘束だ。

「ほう、これは! 千歳さんの魔法糸に似てますね!」

「どうよ? あたしにだってこれぐらいできるのよ!」

「そうですね、これは身動きが出来ませんね」

 そう言いつつ、スーシーは姿を消す。

「な!?」

「――並の怪人なら、ね」

 スーシーは不敵な笑みを浮かべてミアの背後に回る。

「く!」

 逆にミアが糸に腕を縛られる。

「まだまだ甘いですね。素質は十分にあるんですが」

「あんたの減らず口をふさげないんだったら、そんな素質ないのと同じよ!」

「フフ、それもそうですね」

「本当にムカつく!」

「ハァハァ、こいつはやばいなお嬢!」

「安心してください。別に逃げ出したり、危害を加えるつもりはありません。そんなことをしたら、あの人が怖いですからね」

 あの人とは言うまでも無くあるみのことだ。

「ですから、あなたをおちょくるだけにしておきます。どうですか、拘束される気分は?」

「こんのおおおおお!」

 ミアは必死に力を込めて糸を振りほどこうとする。

「フフ、いい顔ですね! ボクのにわか仕込みの魔法糸がいつ解けるようになるのか見ものです」

 どうやら、まだ千歳の代わりに留守番を務められるほどではないようだ。




「ここよ」

 千歳に連れられてやってきたのは駅近くにある病院のとある病室だった。

小坂礼こさかれい)」

 かなみはその病室の表札を呼ぶ。

 それがあの女の子の名前。今度会ったら呼んでみようと思う。

 千歳は扉を開ける。

 入った瞬間に音が消え去っていた。それだけ病室は静寂だった。、

「………………」

 自分の呼吸だけが妙に大きく聞こえる。

 おもわずその音がもどかしくなって呼吸を止めそうになった。この音のせいで起こしてしまったら申し訳ないと、ベッドで仰向け寝ている女の子に対して思ってしまう。

(間違いなくあの子ね……)

 かなみは確信を持てた。

 ベッドに寝ている女の子――小坂礼は間違いなく、あの駅にいた幽霊の子だ。

「ね、あの子でしょ」

 病室の静寂を破って、千歳は言う。

「はい、あの子です。駅にいた、幽霊のあの子」

 かなみも耐えきれず声を出して応える。

「正確には幽霊じゃなくて、幽体離脱しただけの霊体よ」

「霊体……幽霊じゃないんですか?」

「ええ、だってあの子はここで生きてるんだから」

「生きてる……」

 千歳が当たり前のように言ってくれたことで、あっさりとその事実が受け入れられた。

 そして、心から良かったと思う。

 あんなに小さく、弱くて、可愛くて、愛しい子が生きている。それだけで喜びが満ちてくる。

「まあ、でもこのままだと目覚めないかもしれないわね」

「え?」

 かなみは凍り付く。

「目覚めないってどういうことですか?」

「あの子の意識……魂はあの駅にいるからよ」

 千歳にそう言われて、幽霊の小坂礼の姿を思い出す。

「生命は身体と魂で一組なのよ。この子、礼ちゃんはそれが今は別々に離れてしまっているのよ」

「どうして?」

「そうなってしまった原因はわからないわ。私もこれ以上はお手上げよ」

「鯖戸に調べさせてもらうしかないね」

 マニィが言う。

「あ~そうね、あの人探偵みたいなことも出来るから」

 かなみは鯖戸に頼むのを渋りつつもその情報収集能力は知ってるので頼りにすることにした。




 携帯電話は病院で使ってはいけないので、外に出た。

 外はすっかり日が沈み、暗くなりはじめていた。

 電話したら鯖戸も調査してくれるそうなので、一日待ってほしいと言っていたから、今日の仕事はここまでだろう。

 二人で駅に戻ることにした。帰る時にもう一度、女の子に会いたかったからだ。

「礼ちゃん」

 ホームで女の子を見かけると名前を呼んでみた。

「――!」

 その名前に反応して、こちらを見る。

「礼ちゃん!」

 もう一度名前を呼んで歩み寄る。

「礼ちゃんって、私?」

 女の子は顎に手を当てて訊く。

「そう、あなたのお名前は小坂礼。礼ちゃんだよ!」

 かなみが笑顔で言うと、礼は呆然とする。

「……れい。こさか、れい……」

 確認するように自分の名前を口にする。

「……あの、礼ちゃん?」

「なに?」

「そこから、動けないの?」

「うん」

 礼は寂し気に言う。

 それ以上、かなみは何も話せなかった。

 帰りの電車でもかなみはついつい駅の方を見てしまう。

「あの子、なんとかしてあげたいわね」

 千歳が言う。

「はい」

 かなみは意識せずに自然と答える。

「……千歳さん、幽霊って……魂だけの状態ってどんな感じなんですか?」

「かなみちゃん、似たようなことを経験してなかった?」

「え、私が、ですか?」

 かなみは思い返してみる。

 そう言われてみると一度あったような気がする。

 三次試験の直後、リュミィのチカラを使った影響で魂が身体から飛び出して、次元を超えて平行世界を彷徨っていた。と、あるみや来葉に聞かされたけどまったく実感が無い。

「あれって、幽体離脱だったんでしょうか?」

「臨死体験だったの?」

「いやいや、ぜんぜんぜんぜん!!」

 その言葉から受け取るおぞましいイメージのものではなかった。というか、自分が死にかけていた状態だったなんて思いたくない願望もあった。

「でも、あのときは……――心細かった、です」

 かなみは一人平行世界を彷徨い歩いた時、自分を知っている人が一人もいなくて自分が本当に結城かなみなのだろうかとも思った。

「もしかして……」

「もしかしなくても、そうじゃないの」

 千歳が断言したことで、かなみは確信する。

 多分、礼が自分の名前すら思い出せなくなったのは、そういった心細さが極まって自分という存在が曖昧になってしまったのではないか。

「魂……といいますか、霊体って、辛いんですね」

「ええ……」

「私、一日ぐらいでしたけど、その時のことを思い出すと心細くて辛くて……あれが何日も続くかと思うと……」

「私は何十年もそんな状態だったんだけどね、……あ、今もか」

「千歳さんは……別格ですよ。人間離れしてるっていうか……」

「……かなみちゃん、そういうこと言うか」

 千歳は苦い顔をする。




 それから帰って、かなみはずっと礼のことを考えていた。

 アパートの部屋に着いた時、あの子が家に帰れるのか。

 夜食を食べた時、あの子はおいしいご飯を食べられるのか。

 布団にくるまった時、あの子は温かい布団にくるまわれることがあるのか。

 目を閉じた時、あの子が安心して寝られることがあるのか。

 朝起きた時、あの子は眠りから目覚めることがあるのか。

 学校に行った時、あの子は学校に通っているのか。

 授業を受けている時、あの子は授業を受けられるのか。

 友達と話している時、あの子は友達と楽しい時をまた過ごせるのか。


キンコーンカンコーン


 授業終了のチャイムが鳴る。

 貴子や理英と軽く挨拶をかわして、教室を出る。その瞬間、弾かれたように走り出していた。

 校門を出たところで、携帯電話が鳴り出す。

 千歳からだ。

『かなみちゃん、学校終わった?』

「千歳さん、どこからかけてるんですか?」

『会社の電話よ』

「電話、できたんですね」

 学校から直接、駅へ向かう。

『かなみちゃん、バカにしてない?』

「いえいえ、とんでもない」

『まあいいけど。それより今日は直接駅へ行きましょう』

「それはいいんですけど、千歳さん、一人で電車に乗れるんですか?」

『やっぱり、バカにしてるわね』

「そ、そんなことありませんよ」

『心配は無用よ、ちゃんと改札口は通れるわよ』

 不安はそれだけじゃない。

「路線図とかは大丈夫ですか?」

『大丈夫だって言ってるでしょ』

 本当に大丈夫か、不安は消えないものの本人がああ言っているのだから仕方が無い。

「わかりました。それじゃ私は直接駅に行きますよ」

 それにオフィスへ行くのももどかしいほど、礼の事が気になっていた。

『礼ちゃんのことでわかったことも向こうについたら話すわね』




 かなみは電車に乗って礼のいる駅に着く。

 改札口をくぐって、礼のいる壁に向かう。

 礼はちゃんとそこにいた。消えてしまいそうなほどか細いけど確かに。

「礼ちゃん!」

 礼の姿が見えると、すぐに名前を呼ぶ。

「かなみ」

 礼もかなみの姿を見ると顔が明るくなる。

「今日もきてくれたの」

「ええ、あなたに会いたくて」

「私もかなみに会いたかった」

「それは嬉しいわね」

 かなみは壁に寄り添う。

「何か思い出した?」

「ううん、何も……あ、でも、私の名前が小坂礼だったのは思い出した」

「それはよかったわ」

 かなみは良いことをした気分になった。

 今日は彼女を魂と身体を一緒にして、ちゃんと起きられるようにする。

「千歳さん、遅いわね」

 もうとっくに来てもいい頃なのに。

「ちとせさん?」

「昨日一緒にいた女の人」

「女の人……? お人形さんみたいな人のこと?」

「あ~そうね、あの人、お人形さんだから」

「え、え……?」

 お人形さんみたいな人。

 そう言った礼の直感は正しいと思ったけど、それを一目で見抜いてしまうのはやはり同じ幽霊だからなのだろうか。

「それにしても、千歳さん遅いわね」

「本当にくるの?」

「くるわよ。すごいはりきってたから」

 しかし、来なかった。

 しびれを切らして、かなみは電話をかけてやろうかと思ったけど、千歳は携帯電話を持っていなかったはずだから連絡のしようがない。

「困ったわね」

「困ったの?」

「千歳が来ないことにはどうにもならないから……」

 自分としてはこのまま礼と過ごしてもいいかもしれないと思う。でも、礼はそういうわけにはいかない。

 一日でも早く、少しでも早く、礼の魂を元の身体に戻してあげたい。

 そうしないと礼は辛すぎる。

 魂はいつ消えてなくなってしまうかわからない不安定な存在だって千歳は言っていた。

 礼が消えてしまうのはイヤだと思う。

 そう考えると、千歳が来ないこの状況はもどかしい。

『かなみちゃん!』

 唐突に千歳の声が耳元でしてきた。

 一瞬、ようやく来たのかと思った。でも、声はあまりに近かったせいで、これは魔法なのだと察する。

「千歳さん、どうしたんですか?」

『よくわからない駅に着いちゃった』

 千歳はおどけた調子で答える。

「え~!?」

『魔法糸を飛ばしてなんとかかなみちゃんと会話はできるようにしたんだけど……さしずめ、魔法糸電話ってところかしらね、フフフ』

「笑ってる場合じゃないですよ」

『ごめんごめん、で、どうやったらそっちの駅につけるの?』

「もう! それで、今どこにいるんですか?」

 かなみは千歳に行き方の説明をする。

 一時間ぐらい経って、ようやく千歳がやってくる。当たり前のように改札口で引っかかる。

「ごめんごめん」

「何やってるんですか!」

「路線図なんて一回見たら憶えられると思って」

「路線図を覚えたって逆に行ってしまったら意味ないですよ」

「ごめんなさい。物覚えが悪くて」

 歳のせいでは、という疑問を口にしそうになった。

「まったく今日は礼ちゃんを救うんでしょ」

「そうね。とりあえず行きましょうか」

「え? 行くってどこに?」

「この子が待ってる人のところに」




「どうして礼ちゃんがあの場に動けないかわかる?」

「何か未練があるみたいでしたけど、それに誰か待っているみたいでしたけど」

 今からその待っている人に会うところなんだけど、どんな人なのだろうか。その人と会えば礼は動けるようになるのだろうか。

「そうよ。鯖戸にはそれを調べてもらったのよ」

「それで本当にここいるんですか?」

「ええ。彼の情報は確かよ」

 かなみが確認して、千歳は自信を持って答える。

「……昨日来た病院なんですけど」

 何かの間違いなのじゃないかと思ってしまう。

「ええ、そうよ。彼女もここに入院してたの」

「彼女?」

「礼ちゃんが待ってる人は母親なのよ」

「母親……」

 なんとなく予想していたことだった。

 母親から駅のホームに待っているようにといわれて、ああして健気に待っているのだと。

「同じ病院にいるのにどうして会えないんですか?」

「彼女も意識が戻ってないみたいなのよ」

「え……意識が戻ってない?」

 そんな会話をしながら、母親の病室に着く。

小坂優こさかゆう

 と表札が貼ってある。

 礼の病室と隣同士だった。

 こんなに近いのに……と、思ってしまう。

「礼ちゃんと礼ちゃんの母親は同じ日に交通事故に遭って、同じ病院に運ばれていたのよ」

「そ、そんな偶然って!?」

「あったみたいなのよね、だから、母親はどうやっても会いにいけないのよ」

「お母さんも悪いんですか!?」

 かなみが訊くと、千歳は病室を開ける。

 それは礼の病室と同じように静寂に包まれていて、ベッドに妙齢の女性が横たわっている。

「……この人、いつ目覚めるんですか?」

「鯖戸の話だとわからないみたいだけど」

「わからない……それじゃ、礼ちゃんといつ会えるようになるんですか?」

「うーん、本当はゆっくり意識が戻るのを待つのがいいんだけど……急を要するしね」

 千歳はそう言って、ベッドに歩み寄る。

 急を要する。礼の魂はあのままだといつ消えてなくなってしまってもおかしくない状態なのだ。

 礼をあの場から動かすことができるのは母親だけ。そう考えて鯖戸が探し当ててくれたけど肝心のその母親は意識不明。母親がこんな状態でどうやったら礼に会わせることができるのか、かなみには見当もつかない。

「母の方は身体の方に魂が留まっているわね、ただ眠ってるだけで」

 千歳は優の身体を見て言う。

「わかるんですか?」

「かなみちゃんも感じない」

 そう言われて見てみる。

 優の身体は礼と比べると、なんというか生気に満ちている感じがする。死んでいるかもしれないと錯覚する礼に比べて、今にも起きてきそうな気配さえある。

「なんとなく、礼ちゃんに比べると生気があるっていうか……」

「まあ、そんな感じの感想でいいわよ。――さて、と」

 千歳はそう言って優の身体に手を添える。

「ぬん!」

 千歳が手を引っ張り上げる。すると、優の身体からうっすらと優の影のようなものが出てくる。

 それが優の魂なのだと、かなみにはわかった。

「………………」

 優の魂はゆっくりと目を開ける。

「肉体は目覚めなくても魂には目覚めてもらうわ」

 千歳がそう言ったように、魂は眠りから覚めたように辺りを見回して周囲の様子をうかがう。

「あの」

 かなみは優に声をかける。

「はい? どちら様ですか?」

「私達、魔法少女なんです」

「まほう、しょうじょ?」

 千歳の言葉をよく理解できていないようだった。

「娘の礼ちゃんのことで相談があって」

「礼……」

 名前を聞いて眉をひそめる。

「娘のことなんだけど、思い出せる?」

 千歳が訊くと、優は顔を伏せる。

 思い出せないというより、思い出したくないという面持ちであった。

「礼ちゃん、駅でずっと待ってるんですよ……」

 かなみが言うと、優は絞り出すように答える。

「……あの子に、会いたくありません」

「どうしてですか?」

 かなみが問いかけると、優は身体ごと背ける。

「何があったか、話してもらえる? 力になれると思うんだけど」

 千歳はそう言って優し気に歩み寄る。

「……私はあの子を見捨てたからです」

「見捨てたとは?」

「あの子を産んで夫をすぐに亡くなり、一人で育ててきました。頼るあてが無かったので、本当に一人でした。苦労しました。それでもなんとか仕事と子育てを両立してきました」

 かなみ達は静かに優の話を聞いた。

 その語り口から苦労や辛さが伝わってくる。

「ところがある日、仕事先からリストラを言い渡されまして……

私は絶望しました。これからどうやってこれから生きていけあいいか、あの子を育てていけばいいか。わけがわからなくなりまして」

「それでどうしたの?」

 千歳が訊くと、優は青ざめた顔で答える。

「――あの子を駅に置いていきました。ここでいい子に待っているように、とよく言って」

 それを聞いて、かなみは礼が寂し気に待っている礼のことを思い出して、胸が締め付けられる想いになった。

「そこから先はよく憶えていません。前が何も見えなくなって暗闇の中を闇雲に歩いている感じでした」

「それで交通事故に遭ったのね」

 かなみにはなんとなくだけど想像がついた。

 娘を見捨てた罪悪感で、何も見えなくなって車道に飛び出してしまった。そこを車にひかれたのだろう。

「あの子はまだあそこで待ってるんですか?」

「……はい」

 かなみが答える。

「私が大人しく待っているように、って言ったから」

「礼ちゃんはいい子です。お母さんに言われたことをずっと守ってて……でも、あそこからずっと動けなくて、だから動かせるのはお母さんだけなんです」

「私にそんなこと……」

「子供にはお母さんの言葉が特別なのよ」

 千歳が言う。

「だから私からもお願いします。行ってあげてください。礼ちゃんのためにも、あなたのためにも!」

「私のために?」

「礼ちゃん、今とても危険な状態でこのままだと消えてなくなってしまうのよ」

「消えてなくなる……? どういうことなんですか?」

 優は焦って、千歳へ問い詰める。

「それは――」

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