スタート

私は、服のボタンを掛け違えていた1歳の弟に眼を止め、直してあげる。


「ポポ、いい?1歳になったんだから、自分でちゃんと着るのよ。私はもういないんだからね」


「う、うん、僕がんばる!」


小さなピンクの巻き毛の妖精の可愛い、私の弟は、はりきって答えた。


ガチャ


私たち2人部屋のドアが開く。


「モモ!ポポ!朝ご飯よ」


「はーい」



私のオムライスには、モモ、誕生日おめでとう!と書かれている。


「お母さん、ありがとう。妖精修行頑張ります」


私のお母さんも、弟と同じピンクの髪の妖精で胸にMAMAと書かれてる小さなエプロンをかけている。


「お、(オムライスを飲み込む)お姉ちゃん、頑張って」


「あらあら、ポポ、よく噛んで食べるのよ」



「では、妖精王に会ってきます!」


「行ってらっしゃい!」


「いってらっしゃい」


私は、マジックドアをくぐって 妖精王の宮殿に出る。


槍を持った門番らしき男と、分厚い本を持った男がいた。


「妖精王に会いにきました。今日、2歳の誕生日なんです」


「(ぺらぺらと本をめくる音)モモ、2歳だな、確かに。そこの黄色いジュータンをずっと行くと妖精王のところへ行けるぞ」


「はい、ありがとうございます」

 

私は、黄色いジュータンの先をチラリと見た。


遠い!先が見えないわ。でも、行くしかない。 



 


 

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