メロン米
スーパーに行くと、米コーナーでメロンの種が暴れていた。
新発売のメロン米からメロンの種が飛び出したらしい。
誰か何が起きているのか教えてくれ。
「お願いです、メロンの種を退治してください!!」
俺がメロンハンターだと知っていたらしい店長から頼まれる。
契約書に記入する暇が無かったので、とりあえず携帯の動画機能で現場を撮影し店長からの依頼を口頭でしゃべらせた。
俺は店員に業務用掃除機を持ってこさせると、粛々と暴れまわるメロン米を吸い込んだ。
◆
「いやー、さすがはプロのメロンハンター。見事な腕前です」
良く分からんが感謝されるのは悪い事では無い。
俺は報酬を貰い夕飯の買出しに戻った。
◆
「メロン米を知っているかね?」
久しぶりにやって来た役人が開口一番そんな事を聞いてきた。
「名前くらいはな。ありゃ何だ? 米なのかメロンの種なのかどっちなんだ?」
「両方だ。あのメロン米は君の子供のメロンの種と米を掛け合わせて作った新品種のメロン米だ」
「まて、待て」
俺は即座に会話を止めた。
俺の子供のメロンの種って何だ?
メロンの種と米を掛け合わせて作ったって何だ?
「一体何を言っているんだあんたは!?」
結局こう言うしかなかった。
他に何を言えというんだ。
「だから、君とクイーンメロンの子供と、ササニシキを掛け合わせて品種改良した米だよ」
「生物の法則がみだれる!!!」
俺がおかしいのか!? なんでこいつはこんな当たり前の様に言っているんだ!?
「なんで米とメロンで品種改良が出来るんだ!!」
「何故ってそりゃあ同じ植物だからな」
……もういい。俺には理解できないという事が分かった。
「で、それがどうした」
「うむ。どうやらメロン米は親であるメロンの性質が強いらしく、人間を襲う事が判明した。今やメロン米の水田はメロン米の巣窟で近づく事すらできん。だから退治してくれ」
「販売する前に気づけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
とりあえず役人を殴った後で俺はメロン米を栽培している田んぼに行き、ヘリコブターで空からガソリンをばら撒いてから火をつけた。
「成程。精米する前は地に根が張っているから移動は不可能。燃やせばよかったのか。いやさすがは腕利きのハンターだ。はっはっはっはっ」
この国が役人達の手で滅びるのは近いと俺は確信した
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