第268話 スティッキィ
「あんた……まさか……そんな……ばかな……!!」
マレッティ、震えて声にならぬ。
「生きて……たの……スティッキィ……」
「そおよお……」
とろん、としたスティッキィの眼が、急に殺気を帯びた。
「おかげさまでね!!」
一気に走り寄り、リットラの死体を跳び越えて、マレッティの双子の妹であるスティッキィが、そのガリア「
そのまま、足と足とを上げたままの姿勢で押し合う。片足立ちで身を捻り、同時に剣のカウルの部分で殴りつける。がっ、と互いの頬を殴りあって、一歩下がった。そして、光輪と闇星が同時にわっ、と噴き出る。壁に反射して、めちゃくちゃな方向から光輪と
「ぬああ!」
「イェヤアア!」
光輪をまとった剣と、
と、思いきや。
スティッキィの闇の方が、次第に大きくなってきた。闇がじわりと星の形から融けだしてきて、マレッティの光を飲みこみはじめた。
マレッティの手元が、真っ暗になって見えなくなった。自分の剣が見えない。
瞬間、一気にスティッキィの星形の闇があふれ出て、マレッティの視界をおおった。何も見えない。まさに闇だ。
同時に、強烈な前蹴りがマレッティの下腹部を襲った。沈みこむ踵にマレッティはたまらず腰から崩れて尻餅。
下腹を押さえて痛みに耐え、すぐに起き上がって剣を構える。まだなんとか、
「あんた……そんな……ガリアだなんて……いつ……」
スティッキィの、にやにやした不気味な暗黒の笑みは消えない。眼が笑っていない。
「お姉ちゃんに殺されかけてから、あたしもガリア遣いになったのよお」
「う……」
マレッティ、気押されて
「……じゃあ……」
「もういっかい、殺してあげるってえ?」
「ク……」
「二度と……あんな想いするのはごめんなのよおおお!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます