第140話 海竜
小太りの職員が説明してくれる。
まず、サラティスの軽騎竜に匹敵するのが、
次が、尾の長い海トカゲ竜だ。ワニにも似ている。四肢が鰭のものと、水掻きのついた手足のものがいた。魚竜ほど高速では泳げないが、パワーが凄まじい。両方とも大きさは二十キュルト(約二メートル)から五十キュルト(約五メートル)いったところだった。
次が、海の主戦竜である海戦竜。これが三種類。タータンカ号を襲った、全長百三十キュルト(約十三メートル)以上もある
「どんなやつだ、それは」
「海の大王ですよ、真っ黒い岩の塊みたいなのが、どーん、と海の中から現れて。立って歩くんです。翼はありません。尾がとても長く太いのです。火は吐きませんけど、熱水というか、火山の噴火みたいな熱い水蒸気を吐くといいます。わたしは、見たことはありませんが、パーキャス周辺には、これがまた特別に大きいのが一頭いるみたいです」
「なによそれ、バケモノじゃないの。冗談じゃないわ。
「そいつと戦うとは限らない。問題はコンガル群島で雇っているというガリア遣いだ。そいつらの情報は何かあるか?」
事務所の職員は首を振った。
「ま、そおでしょおねえ。まずは様子見でやるしかないんじゃなあい? いきなり正面からやりあってもね……。スターラの暗殺者……裏のガリア遣い『メスト』は強いわよお」
「メスト……」
カンナは身震いした。
「対ガリア戦の訓練と実戦の場数を踏んでいるもの。カンナちゃん、アーリー、あたしたち、竜退治は専門だけど、ガリア遣いとの戦いは、慣れてないのよ? 分かってる?」
しかし、アーリーは珍しく不敵な笑みを浮かべた。マレッティは驚いた。
8
三日後、ニエッタ達は事務所にあらわれなかった。迎えに行こうと思ったが、どこに住んでいるのか事務所の職員もよく知らないというので待った。
その二日後、つまり五日後に三人は現れた。どうも、疲れが出てニエッタが熱を出したという。休養していたのだ。
「じゃ、私たちは次の依頼へ行くけど……本当についてくるの?」
「ああ。仕事の邪魔はしないし、横取りもしない。約束しよう。我々の目的は竜ではない」
「ギロアたちが出てきたら、まかせていいのね?」
「そういうことだ。用心棒と思え」
アーリーがそこまで云うのなら、と三人は諒承した。六人は連れ立って、港へ向かった。
「船なのお?」
マレッティが驚く。
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