第135話 暗殺者
「もちろん」
「ふうむ……」
アーリーが腕を組み、うなった。
「それで、他にも仲間のガリア遣いがいるというのか? そいつらは、退治はしないというのだな?」
「そうなんでさ。我々が雇ったガリア遣いや、ウガマールやサラティスから派遣されてきたガリア遣いを殺すために、コンガルのやつらが雇ったんですよ!」
「なんと……」
さしものアーリーも驚きを隠せない。
「それは、いつごろからの話だ?」
「ギロアに仲間ができたのは、最近でさ。去年……いや、一昨年くらいから少しずつ集めたようで。こっちがガリア遣いを増やしたもんだから、向こうも凄腕を仲間にして、こっちのガリア遣いを次から次へと。しまいにゃ、だれもバーレスにきてくれなくなっちめえます」
「どこのガリア遣いだ!? 竜を倒さずに、人を殺すことにガリアを遣うやつばらがいるというのか!?」
「そうなんでさ! いまや、ギロアを頭目にして、ガリア遣いの海賊団みてえなことまでやってやがるんで!!」
「そんな……」
カンナも、衝撃で二の句がつげない。ガリアを人殺しに遣うとは!
しかし、マレッティだけは何をいまさらという顔だった。テーブルに肘をつき、あおるようにエールをまだ飲んでいる。目が座っているが、何か鈍い光をたたえはじめた。
「あのねえ、きっとそいつらは、スターラのガリア遣いよお」
「……どういうことだ?」
「スターラにはねえ、あまり表立ってはいないけど、ガリア遣いの暗殺者が少なからずいるのよお。地下組織ってやつね。ふだんはまじめに竜を退治してるけど、金で頼まれて、依頼者の商売敵や政敵を殺すのよお。個人的な恨みを晴らすために、大金をつむやつもいるわあ。こんなところまで出張っているとは知らなかったけどねえ」
「えええ……」
カンナは恐ろしくなってきた。そんなやつらに襲われたら、どうすれば良いのか。デリナは、完全に竜の側のダールとして戦ったが、そいつらはそういう問題でも無い。純粋に人が人を殺すために、ガリアを遣う。
「ど、どうしてそんなことになるの? マレッティ」
「どうしてって……殺してくれって頼む人がいるからよお。お金を払ってまでね。恐ろしいのは、人殺しを頼む方だと思わない?」
アーリーが顎をさすった。何かを考えている。
しばらく待って、アーリーがまた口を開いた。
「その、竜を手なずけるという、ギロアというガリア遣いは、どのようなやつだ?」
「ええ……お宅さんほどじゃねえですが、背がでっかくて、ものすごくまっちろい肌をして、長い黒髪をいつも風になびかせて……まるで」
と、云ったところで、おやじがはたとカンナを見た。そして再びゴクリと喉を鳴らす。
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