寝落ち!?(R18)

「岬…へへ…」

 パジャマでベッドにふたりで横になろうとすると、鳶が岬の首筋に口をつけ、ねだる。

「あー…。したいの?」

 もう横たわろうとしていた岬が、抱きついてくる鳶にちょっと不機嫌そうに尋ねる。

「おう」

 鳶がニカーっと笑うのを見て、岬はふうっとため息をつきながら答える。

「はいはい。もう、疲れてんだからさっさとやってよ。めんどいから脱ぐの下だけね」

 布団をかぶり、鳶にそのままゆっくり押し倒されて、髪だけは背中でヨレないように枕の横に出して仰向けになる。

「へへ…」

 鳶が岬の首筋から顔を動かし、胸元をまさぐっていく。

「 …んー。早く寝たいんだけど… 」

 鳶は岬のパジャマのボタンを上から三つほど外して、服の隙間からブラの中に手を入れ、口をつけふにふにと撫で回す。岬が顔を上げて様子を見て、

「こら、ボタン外すのやめて?今日は上脱がさないでよ」

 一応されるがままにして横に置いていた腕をやっぱり挙げ、鳶の胸板を押し返す。

「わかったよ、すぐ済ますから」

 鳶は苦笑いしながらゴムを取りだして、下を脱いで自分のものにかぶせ、岬のズボンを脱がす。

「はあ」

 面倒くさそうに岬が腰を浮かして、パンティを脱ぐ。

「はい、どーぞ入れちゃって…」

「よっ…と。うお」

 鳶が嬉しそうに岬の脚を開き、自分のものをみなぎらせて唾をつけ、岬にかぶさってその中に入る。

「…あん」

「おあ…。急ぐぞ。痛いかも」

「仕方ないな。わかったから」

 鳶は岬に覆いかぶさり、抱きしめる。上機嫌で腰をバコバコと、この愛情たっぷりに睨んで受け入れてくれている可愛い彼女にぶつける。

 岬は鳶に覆いかぶさられたまま、いつもの半目開きで布団の中をちらと見る。開いて受け入れているそこへ、このバカなほっとけないカレに、無邪気にドスッドスッと突っ込まれて動かれているのを様子見する。

「んー…はーあ…」

(うわ、思い切り入れられてるよ)

 体に力は入れていないので、抱きしめられてされるがまま。鳶が首筋に顔を近づけて吸いつき、中で楽しそうに動く勢いで、枕に頭が沈み込む。鳶の熱い息が、しゃぶられる首元から耳元までかかる。

「岬…岬っ…!」

「んっ…」

 鳶に動かれるこそばゆい痛みに、岬は思わず声を洩らす。片目を閉じ、下唇を噛みながら、右手で鳶の頭を触る。

(鳶、あんた、こんなんでも気持ちいいの?あたしはさっさと終わってほしいんだけど…。硬くてちょっと痛いし、また痕残っちゃうし…)

「ふー…。んっ…。乱暴だなあ。早く出しちゃってよ」

 目が合ったところで、鳶に釘を刺す。

「そんなこと言うなよ。気持ちいいぜ」

 鳶は臍がこすれ合うように腰をぐりぐり動かしながら、岬の噛みこんだ唇に舌を突っ込む。

「あう、ひゃめへよ」

「何だって?」

 一通り歯をなぞり、岬の舌を引っ張り出し絡める。岬も軽く嫌そうにしたが、ぢゅっ、と音が響くほど応じていた。

「ぷは…」

 唾液が糸を引いたまま、

「おお、うっ、もうすぐ」

 鳶のピストンが早くなる。

「痛っ!」

 なるべく言わなかったことまで思わず口から出て、岬は顔を赤くするが、鳶には聞こえていない。

「うっ…あっ…!」

 鳶の律動がどくどくと岬の中で響き、動きが止まる。

「んっ…はあ…」

 さすがに出されるときは無反応ではいられず、動かれていたとき以上の岬の艶っぽい声が、抑えられず喉から洩れた。

(ふう。やっと寝られる)

 耳元で大きく息をつく鳶を横目で見てそう思ったが、鳶がなぜか目をつぶったまま何も言わない。

「…あれ、終わった?あんた、今出したよね?」

 可愛がられるのが止まった彼女は、覆いかぶさったままのカレに尋ねる。しかし。

「…んごー…」

「え、鳶?」

 呼びかけるが、返事はなく。

「ぐう…」

 穏やかな息が聞こえ、岬は厚ぼったい目を思い切り丸くする。

「ええー…!?まさかこいつ、やるだけやっといて寝ちゃった?」

 夢中で岬を可愛がったこの男は、彼女の胸元で寝息を立てていた。

「あきれた!抱くだけ抱いて満足したら寝落ちるとか何なの!」

 勝手だなあ、と岬はカレを睨むが、そんなことをしてもとうに意味はない。

「せめてどいてよ…。重いなあ。…あーあーもう、パジャマぐちゃぐちゃにされてるし」

 ダメと言ったのに半分ほど脱がされたパジャマの前を合わせるようにし、肩までなんとか起き上がる。

 布団の中、腰を見て、自分と鳶がつながったままの様子にこのときばかりは眉をひそめた。

「うわ…。入れられたままだ…。バカ。さっき出してたしなあ、ゴムから漏れないように…」

 鳶の上体を起こして、鳶のものを根元から掴んで自分の中から、ずるっ、と引き抜いた。

「んんー…。変な感触」

(確か射精って体力使うんだっけ?腰バコバコ動かしてたし…。だからってあたしをほっといて寝るなっての)

「うう、仕方ないなあ」

 布団の中を見て、ベッドの壁際右隣に寝かした鳶のゴムを外し、ティッシュでぐりっと握り、拭ってやる。丁寧に下を履き戻させてから、自分のほうも拭いて用品の不備を確認し、履き戻した。

「はあ。なんかいつもより疲れた。寝落ちとか…。後処理全部あたしがやったじゃん。ホント勝手だわ」

 岬はひとりごちながら、鳶に吸われた首筋と胸元の跡を拭き、ブラを付け直す。頭を軽く振って髪をほぐし、ふうっと息を吐いてパジャマのボタンを留め直した。

「あー疲れた…。さ、あたしも寝よ」

 鳶に触れるすぐ近く、と言いつつベッドの真ん中に体を横たえた。

(入れられてる勢いすごかったから、ちょっとヒリヒリくる)

 そんなことを思いながら、あえて鳶のほうは向かずに寝る。と、

「…みさきー…」

 後ろから甘えるような声がした。

「へ?」

(起きたの?今さら?)

 思いつつ鳶の顔を見る。しかし、

「って、寝てるのか」

 寝言らしい。鳶にしては珍しかった。

「…いてえ、ひっぱたくなよぉ」

 寝ぼけて鳶は頭を軽く押さえ、顔つきを曇らせながらもどこか嬉しそうにする。

「…夢の中でもあたしがひっぱたいてるの?」

 いぶかしみ、岬は鳶のおでこに触る。

「(あんたが変なことするからだよ?今だって途中で寝ちゃったじゃない)」

 曲げた眉のそばを、軽く爪先で小突きながら、こそっと呟く。くすっと一つ吐息をし、目をせばめて寝顔を見たあと、気をとり直して横になった。しかし。

「うーん。みさきー…」

 鳶の腕が伸びる。岬を後ろから包んで、腹のあたりを抱きしめる。

「って、えっ、寝ぼけてるの?ちょっと、そんな、お腹はやめて」

「…むご…」

 岬の耳元で寝息を立てる鳶の様子に、お手上げだった。

「…鳶…」



「…んお?」

 鳶が目を開けると、すでにカーテンから日差しが漏れる時間になっていた。

「おはよ」

 すでに起きていた岬が、パジャマのまま膝を軽く折ってカーペットの床に座っていた。右手に持った櫛で髪の毛を梳きながらスマホをいじっている。

「…あれ!?朝!?」

 鳶は外の日差しを見て、はっと目を見開いて枕もとの時計をわしづかむ。

「え、確かゆうべ、お前と…」

 きょろきょろしつつ頭を押さえ、思い出すようにつぶやくのを、

「あんた途中で寝ちゃったよ。きっちり出すだけ出しといてさ」

 岬が横目であきれ、ゆうべの抱かれ方に口をとがらせる。

「…朝まで?」

 驚いた顔のまま尋ねる鳶に、

「今まで。ふふ、ぐっすり寝てたねえ?」

 ちょっといやみたらしく笑ってみせた。

「…マジだわ。出した後から覚えてないし。…あ。やべ、後処理」

 ようやく、寝落ちしたとき岬の中に入れたままだったことを思い出し、布団をめくって下を確認しようとする。

「慌てなくてもしといたから。…まったく、あんた、あたしの中に入れっぱなしで寝落ちしちゃってたね。ちゃんと引き抜いて、ゴム外して拭いたげたよ」

 こんなことさせないでよ、と言外に込めた恥ずかしそうな様子で、首筋を右手小指でかきながら伝える。

「…悪い。これじゃホント自分勝手な男だよ」

 岬のほうを見ようとして、しかし申し訳なかったのかうつむいて、頭をかく。

「わかってるならちゃんとしてよ?」

 岬がスマホを机に置き、ベッドに腰を下ろし鳶の目を見て念押しした。

「ああ…。ごめんな」

 一呼吸おいて、岬が正座に座り直し、違う話を始める。

「そういえばさ。あんた寝言で女の子の名前呼んでたけど、あれ誰?」

「…へ?」

「知り合い?」

「ええ?…うーん…ええ?そんな覚えはないぞ…」

「そうなの?隠してることない?」

「…え、俺、何か疑われてんの?

おいおい、冗談よしてくれよ!はあ、ゆうべ夢の中でもなんかお前に叱られたし、何なんだ」

「…へえ、あれやっぱりあたしか」

「は?」

「ごめんね、ちょっとカマかけた。あんたが寝言でみさきって呼んでて、あたしかなーって確かめたくて」

「何だよ!言っとくけど知り合いに同じ名前はいねえぞ?」

「わかってるって。それに、夢にあたし出てくるようじゃ他の子に目移りもできないんじゃない?」

「するかよ」

「…そう?」

「それよりもなんか食べようぜ」

「はいはい」

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