27 欠落

 母の祭は続いていたがZがわたしの中で果ててしまったのでわたしはまた皆の動きに取り残されることになる。

 切なくはなかったが満ち足りた気分には程遠い。

 そんなわたしの心理状態を知ってか知らずか母の動きが祭のフィニッシュに向けてますます色濃く優雅に華やいでいく。

 Zが申し訳なさそうにわたしの前で勃たない性器に困り果てて突っ立っている。

 わたしはZに近づいてそれを手や口で元気にしようとZの瞳にウンと首肯く。

 だがZの性器がなかなか硬さを取り戻さないのでわたしはだんだん焦り始める。

 それでもその焦りをZに感じさせないようにわたしは愛撫の限りを尽くす。

 するとやっとのことでZの性器が少しだけ喜びを感じ始める。

 わたしの口の中でゆっくりゆったりと僅かだったが大きくなって。

 そこから先の記憶はない。

 わたしにはそういったいくつもの記憶の欠落がある。

 クロノロジカルにわたしの中でその後に続く出来事は後に身体を預けたこともあるクラスメイトOとの喧嘩の光景だ。

 どうして喧嘩が始まったのかもちろんわたしにその記憶はない。

 だから初めは喧嘩をしているということさえわからずにわたしはその場で凍りつく。

 けれども耳を澄ませば言葉が聞こえる。

 言葉を分析すれば展開している事態がわかる。

 いつも上手く行くとは限らなかったがわたしはそうやって時を繋ぐ。

 声が複数聞こえ始めて記憶が過去や未来に無秩序に結合するようになってしまうまでわたしはそんなふうに生きている。

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