25 関係

 祭のとき母は誰に関しても寛容だ。

 その反対に人形でいるときの母は誰にも関心を示さない。

 祭の時空間にいるときの母はすべてのコトやモノに対して寛容で雄大で浮気性だ。

 日常の世界に溶け込んでいるときの母は貞節な妻であり少なくとも姉とわたしには優しい母だ。

 そう考えると母との伯父の関係がどちらの世界で本当のことだったのかわからなくなる。

 どちらでも良いとは思えなかったがどちらでも良いとも思えたのだ。

 わたしは人形の母が伯父に抱かれるところを見たことはない。

 祭の母が伯父に抱かれるところも見たことはない。

 伯父と母との関係はわたしの中の神秘なのだ。

 伯父とわたしの関係もわたしの中の神秘であるように。

 目に見えるものばかりが事実ではなく真実でもない。

 だが信じたいことが真実になり事実になることはままあるのだ。

 冷静に考えれば祭の母が伯父を相手にするとは思えない。

 伯父が男の子でも男の子たちでもなかったからだ。

 けれども伯父の身体や精神の中にも男の子の要素はまだ残っていたはずだ。

 だからそれを引き出すことが出来たなら祭の母と伯父とが結び付くことは可能だろう。

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