大災害の前日の「普通の一日」の話です。なんてことのない、一日であり、登場人物たちも普通の人々。とりたてて善人でも悪人でもない普通の人々がそれぞれのやりかたで周囲の人々を大切にしようとしているだけ。そのさりげなさに胸がつまります。
2011年3月10日、あの地震の前日の物語。何事もない日常、繰り返される日々。それが儚いもの、失われるものだと知っているからこそ、何でもないものが、ものすごく尊いもの、光り輝くものに見えてくる。あの日の前日の人々を描く、オムニバス短編集。