ACT.26 月の光と新たなる謎

━━月の光に導かれるように進む━━


今日はとても月が綺麗だ。月の光が行く先を示しているかのように感じる。不思議なことに光の道を歩き始めてから、モンスターは全く現れない。まるで何かに守られているかのように……。


~・~・~・

暫く進むと、突然開けた場所に出た。咲哉・クリストファー・ゲオルグが月の光差す明るい場所へ、誘われるように進み出る。しかし、ヴェノムが動かない。……顔面蒼白だ。


「ヴェノムさん?!どうされたんですか?!真っ青ですよ?!明るい場所で休みましょうよ!」


クリストファーはまたしても、気がついていない。ヴェノムは恐ろしいものでも見るような目で、首を頻りに振る。


「……何かいるのか?気配はないが。」


辺りを見渡すが、モンスターが襲ってくる様子はない。そうこうしている内に、ヴェノムはガタガタ震え出す。これは尋常ではない。……そういえば、咲哉はどこ? 目で探すと、少し離れた場所にいた。とある木の下をじっと見つめている。はっとして、ヴェノムが走り出す。


「だ、駄目だ!咲哉!そこは……!」


咲哉は、周りと比べて少し柔らかい場所を素手で堀始めていた。いつもながら、無言で作業を始めるのはこちらとしても説明に窮してしまう。ヴェノムが追い付くのと同時に、咲哉の手は何か硬質なものに当たった。 大きな木箱だろうか?


「やめろ……、やめてくれ!」


咲哉にすがり付き始める。手を止める咲哉。安心して崩れるヴェノム。固唾を飲んで見守る二人。だが、疑問は。それに、だ。この木箱は何だろう。咲哉はゆっくりとヴェノムの頭を撫でる。


「……これは、?」


静かに言葉を紡ぐ。クリストファーとゲオルグがはっとする。ヴェノムは目を見開いて、何も言えない。


「……ここに、《深沢真菜》が眠っているのね?暴くことは、冒涜よね……。」


言葉とは裏腹に、怪訝な顔をする。


「……おかしいわね。ここにはがしない。」


咲哉は何を考えているのか、不思議なことをいう。


「…………え?」


意味がわからず反復を促すように、声を絞り出す。


「……冒涜かもしれないけど、何だかおかしいの。調べさせて。」


ノーは聞いていない、そんな威圧を感じた。ヴェノムの応えも聞かずに、木箱を今一度掘り起こす。声にならない悲痛な面持ちのヴェノムを、敢えて見ないことにした。蓋は張り付いてはいなかった。ガタリと開け放つ。


「「「「…?!」」」」


対峙する四人が息を飲む。暫しの沈黙が彼らを包んだ。それは長くもあり、短くもあった。


そこには………………………………。


姿……。彼女がのはだとヴェノムは言っていた。ならば、白骨化しているはず……。けれど、"そこ"に眠っているのは"生きている"時と寸分変わらない姿。これはどういうことか。更に咲哉は、信じられない言葉を発する。


「…彼女は、だわ。何故かはわからないけど、そう……。」


咲哉はまた、考え込む。誰も彼女の思考の向かう先を理解できない。だが、不思議と"納得"してしまう。それを"裏付ける"ものなどないというのに。しかし、"白骨化していない"ことを逆にどう説明出来よう。……出来るはずがない。


「……プレイヤーは生還リセットが利くのに、私たち非常識区分セレクター生還リセットが利かない。その概念自体が何か間違っていた?この世界ゲーム。では何故、私たち非常識区分セレクター。………だから?何か……何かカラクリがあるのかもしれないわね。もしかしたら……もしかしたら、ことも可能かもしれない。」


……また一つ、謎が明るみになった。とされていた非常識区分スケープゴートのではなく、のだとしたら……。ことが可能なのではないか。非常識区分セレクターはやはり、この世界ゲームの為の大切な役割があるのではないか。まで、どれだけの人がされるのか。咲哉はきっと、がそれを担うべきだと考えているのだろう。この世界ゲームには、している。あのは少し違和感があった。まるで、咲哉たちを誘導しているようだった。創始者ゴッドと呼ばれる者とは別の存在がいる、そう示唆するかのように……。


******ACT.27へ******

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