ACT.24 女教皇と戦車男

━━街道に一人の女性が現れた━━


周りが色めき立つ。それもそのはず、彼女はあまりに美しい。太陽の陽射しが更にそれを引き立てる。


「……聖女イヴリーテだ。」


「うわっ、マジで!今日良いことあるかも!」


「……嫉妬ってゆうより、羨望だよね。」


「そうそう、負けても仕方ないよ。」


彼女への称賛しか聴こえない。にこりともせずに教会へ向かう。表情には出さないが、騒がしいのは苦手だ。しかし、彼女の行く手を阻むものがいた。流石の彼女もしかめ顔になる。


「……何のよう?チャリオット。クエストなら他の人を誘って。」


「いいや、クエストのお誘いじゃないさ。君となら、クエストと言う名のデートはしたいけどね。………君の"探し物"の情報だ、イヴリーテ。」


イヴリーテの顔に緊張が走る。


「……本当に『創造者級ゴッド・オブ・コンテナー』?ただの非常識区分セレクターではないでしょうね?」


イヴリーテは冷たい眼差しでチャリオットのニヤケ顔を睨み付ける。


「そりゃぁ、100%なんてないさ。けど、"独特"の空気と実力者らしいぜ?……それも、"女"だ。」


イヴリーテの目が大きく開かれる。


「じょ、女性……。それは、興味があるわね。ま、まぁ、女性の非常識区分セレクターは前にもいたようだけれど、行方不明。

でも、かなり稀少……。ハズレでも会う価値は十分にあるわね。」


「……変わらないよな。そういうとこ。あ、あと"アーチャー"らしいぜ?」


溜め息混じりで補足する。


「!そ、それは!…………別の意味で当たりよね。分かったわ。仕方ないわね。案内しなさい。」


美人は逐うようにして、変わり者が多い。


「はいはい、唯一の様の仰せのままに。」


彼女は『マジシャン』の四次聖職『ハイプリエステス』。女教皇。現在の最高職の一つだ。Sランクにならなければ転職は不可能。その役職についてるのは彼女一人。今現在、最高ランクもまた、Sランクだ。その彼女と対峙しているチャリオットもまた、Sランク。何を考えてか、『ファイター四次職』『チャリオット』である。そのままならば御者だが、そこは腐っても『ファイター』の派生。近距離・中距離を駆使した戦闘を得意とする。移動も兼ね備えた万能職。移動だけならば、五人は乗せられる。戦闘は一人か二人だろう。問題は森や幅の狭い場所での闘いには、邪魔になることか。だから現に彼は、徒歩でやって来ていた。基本的に、年に四回の《ギルドバトル》以外、然程活用元がないという悲しい職でもあった。しかしながら、へのロマンは尽きないものなのである。


******ACT.25へ******

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