ACT.23 マイペースと膝枕

━━ドラゴン退治再開━━


奥に行けば行くほどモンスターは強くなる。『フォレストドラゴン』、『ナイトメアドラゴン』、『シャドウドラゴン』、『ブラックドラゴン』の明記順に各ボスも強くなる。正直、一度のクエストで行える質量ではない。倒されたモンスターは復活時、更に強くなる仕様だ。それに、この世界ゲームは20年目になるという。何度倒されたかなどわからない。


「……ナイトメアまでは倒せましたね。」


攻撃増加アグレッション・グロウを発動させることに成功したクリストファーくん。流石に疲労が見られます。でも、当初の目標をクリア出来てますよ!源氏物語クリストファー・ネイチャータイムに進展ですな!……忘れかけてたのは内緒です。


「あと、シャドウとブラックか。夜中までに何とかしたいな。」


途中参戦のゲオルグさんもお疲れなようですが、一気には片をつけたいご様子。


「………。」


ヴェノム?あれ?ヴェノム?何かかなりお疲れみたいですね。無言で木にもたれ掛かっていますよ。


「……ちょっと休憩しても、きついかもしれませんね。」


「ヴェノムに無理させちまったしな。それに……。」


ゲオルグさん、見渡すように周りを見ます。


「……前来たときより、モンスターの数やレベルが異常に高い。シャドウを倒せても、ブラックを倒せるか分からないぞ。」


そう、数が増えただけでも難易度が上がったと感じるのに、更に一体一体のレベルも飛躍的に上がっているようです。まぁ、確かにドラゴン系がうじゃうじゃでしたね。寧ろ、雑魚を見てないほどですよ。


「……………!?」


クリストファーくんが青ざめます。え?!何か出た?!


「ん?どうした?」


切り株らしき場所に座り込んだゲオルグさん。


「……あ、あのぉ、サ、サクヤさんどこですか?」


あ………!そう言えば、いない!まさか空気ステルス発動?!咲哉がそんな機能発動させたら、誰も見つけられないじゃな………。


「………いや、いるよ。」


少し遠くを指差す。

差した先にぼんやりシルエットが浮かびます。


「心配しましたよー?」


駆け寄るクリストファーくん。頷くだけの咲哉。あ、フェイスタオル濡らしてきたんですか?せせらぎなんて聞こえなかったんですけど……。ヴェノムの傍に来ると隣にすとんと座ります。疲れすぎて気がつかないヴェノムの頭をぐいっと膝の上に、強引に乗せました。……って、ぇえぇえぇえぇ!?


「さ、咲哉?っつ、つめたっ!」


びっくりして固まってますね。


「貴方の疲れ方は肉体だけじゃなく、心労も含まれるから、リラックス出来る体勢で冷やすのが一番。」


淡々と語り、フェイスタオルで豪快に顔を覆う。……咲哉流膝枕はドキドキとは無縁?いや、ヴェノムが戸惑ってるからこちら側はあり?あらー、フェイスマッサージ始めましたよー。自由な咲哉ですねー。気遣いが不思議な方向からやってくるというか。クリストファーくんとゲオルグさん、反応に困ってますよ。


「い"っ!痛い痛い!咲哉痛い!」


ん?マッサージが肩に移行したみたいですね。


「肩凝りが酷い。肩凝りは首の疲れから来る。長時間の剣の扱いは、首に負担が掛かる。ゲオルグ並みにがっしりしていれば、バランスは保たれる。」


それ、遠回しにヴェノムが小さいこと言ってません?咲哉なりの優しさですかね?……所で、咲哉だけ全く疲れてなさそうなんだけど、体力的にはクリストファーくんくらいなんじゃないの?女の子なんだし!主人公の心理状況わからないってどうよ?


******ACT.24へ******

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