ACT.23 マイペースと膝枕
━━ドラゴン退治再開━━
奥に行けば行くほどモンスターは強くなる。『フォレストドラゴン』、『ナイトメアドラゴン』、『シャドウドラゴン』、『ブラックドラゴン』の明記順に各ボスも強くなる。正直、一度のクエストで行える質量ではない。倒されたモンスターは復活時、更に強くなる仕様だ。それに、この
「……ナイトメアまでは倒せましたね。」
「あと、シャドウとブラックか。夜中までに何とかしたいな。」
途中参戦のゲオルグさんもお疲れなようですが、一気には片をつけたいご様子。
「………。」
ヴェノム?あれ?ヴェノム?何かかなりお疲れみたいですね。無言で木にもたれ掛かっていますよ。
「……ちょっと休憩しても、きついかもしれませんね。」
「ヴェノムに無理させちまったしな。それに……。」
ゲオルグさん、見渡すように周りを見ます。
「……前来たときより、モンスターの数やレベルが異常に高い。シャドウを倒せても、ブラックを倒せるか分からないぞ。」
そう、数が増えただけでも難易度が上がったと感じるのに、更に一体一体のレベルも飛躍的に上がっているようです。まぁ、確かにドラゴン系がうじゃうじゃでしたね。寧ろ、雑魚を見てないほどですよ。
「……………!?」
クリストファーくんが青ざめます。え?!何か出た?!
「ん?どうした?」
切り株らしき場所に座り込んだゲオルグさん。
「……あ、あのぉ、サ、サクヤさんどこですか?」
あ………!そう言えば、いない!まさか
「………いや、いるよ。」
少し遠くを指差す。
差した先にぼんやりシルエットが浮かびます。
「心配しましたよー?」
駆け寄るクリストファーくん。頷くだけの咲哉。あ、フェイスタオル濡らしてきたんですか?せせらぎなんて聞こえなかったんですけど……。ヴェノムの傍に来ると隣にすとんと座ります。疲れすぎて気がつかないヴェノムの頭をぐいっと膝の上に、強引に乗せました。……って、ぇえぇえぇえぇ!?
「さ、咲哉?っつ、つめたっ!」
びっくりして固まってますね。
「貴方の疲れ方は肉体だけじゃなく、心労も含まれるから、リラックス出来る体勢で冷やすのが一番。」
淡々と語り、フェイスタオルで豪快に顔を覆う。……咲哉流膝枕はドキドキとは無縁?いや、ヴェノムが戸惑ってるからこちら側はあり?あらー、フェイスマッサージ始めましたよー。自由な咲哉ですねー。気遣いが不思議な方向からやってくるというか。クリストファーくんとゲオルグさん、反応に困ってますよ。
「い"っ!痛い痛い!咲哉痛い!」
ん?マッサージが肩に移行したみたいですね。
「肩凝りが酷い。肩凝りは首の疲れから来る。長時間の剣の扱いは、首に負担が掛かる。ゲオルグ並みにがっしりしていれば、バランスは保たれる。」
それ、遠回しにヴェノムが小さいこと言ってません?咲哉なりの優しさですかね?……所で、咲哉だけ全く疲れてなさそうなんだけど、体力的にはクリストファーくんくらいなんじゃないの?女の子なんだし!主人公の心理状況わからないってどうよ?
******ACT.24へ******
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