ACT.19 ミニデーモンドラゴンと超命中

━━ムサイムサイ━━


また、クリストファーくんは押しに負けました。ほらー、咲哉が面倒臭そうな顔してますよ。


「アーチャーは超稀少だからな。三年やってるが、初めてあったぜ?」


あれっすか?メタルスライムとかより稀少価値高い?咲哉自体が珍しいですからねー。ほぼ無表情ですしー、おすしー。通常であれば、空気になっても仕方ないタイプっす。しかし、このメンツは明らかに咲哉ありきですからねー。主人公の影が薄くならないのは有難いっすー。でも、そう簡単には嫁にやらないですよ!


「『クルセイダー』というか、三次職自体も滅多にいませんけどね。」


「あー、確かにこいつ以外に三次職っつったら…『シスター』や『プリースト』くらいだよな。」


「支援職が一番安全ではあるしなぁ。」


クリストファーくん、ちょっと苦笑いです。まぁ、安全職選んだ自覚はあるみたいですからね。その報償トバッチリは充分うけたんじゃないですか?咲哉は三人の会話を静かに聞いています。『ファイター』からの二次職・三次職はわかりにくいけど、『マジシャン』の二次職・三次職は何だか聞きなれてる名前で安心しますねー。


「そういえば、おまえたちは転職ないよな?」


「ランクねぇもん。だけど、ランクに左右されずに武器や防具買えるのは愉しいぜ?咲哉は昨日会って、そのまま買いにいったんだよ。」


心なしかどや顔してやがりますねー。


「へぇ……。スタイルいいから、何でも合いそうだな。」


あらやだ、変な笑い方してますよ。咲哉は着せ替え人形じゃないんですからね!ジロジロ見られて、超機嫌悪そうですよー。見られるの、好きじゃないですからねー。


「……んで、何のクエストしてるんだ?」


今更っすね。ヴェノムが簡潔に説明してくれます。そんな会話、はしょります。


「なんだ、その偏ったクエスト……。あれ?数指定がないぜ?」


あら、今まで気がつきませんでしたね。咲哉がたまたま倒したフレイムドラゴンだって『一体』明記ありましたからね。


「……何か裏がありそうだな。」


してみるヴェノム。……そんなギャグ求めてませんから。


「まぁ、おまえら非常識区分セレクターが現れるようになってから歪んできてはいるんだよな。いや多分、元々あった綻びを明るみにしようとしてるみたいに、俺には感じた。」


「確かに。その呼び名も運営からは何の説明もないから、プレイヤーが聞いた情報だけで総称つけただけですし。何者かのがありましたしね。」


ですよねー。くそざっくりしてますもんねー。あれれれれ?またも雲行き怪しくないですかー?



「……そういや今思い出したんだが、ヴェノム。」


「あ?なんだよ?」


「おまえ、一年前非常識区分セレクターと一緒だったって聞いたぞ?サクヤとは真逆な感じの……。」


「待て!………それは忘れろ。」


余裕のないヴェノム、初めて見ましたよ。あれ?何かもやってしましたよ?


「え?サクヤさん以外に女性いたんですか?会ってみたかったです。」


こういう空気は読めないんですね……。


「……クリストファー、その話はしたくねぇ。」


「え?……あ!すみません!」


私だから言っちゃいますけど、多分、多分ですよ?その方も亡くなられたんじゃないですか?

説明しながらも、亡くなったくだりはコンパクトにしてましたし。まぁ人間、人の生き死にに関して長々と話すのは如何なものかと。……ふむ、しかし、ちょっと様子が違うのは確かですけどね?何せ、一番喋ってたくせに黙っちゃいましたから。ん?そういえば、咲哉が聞きませんね。一番適切な言葉選びしてくれる咲哉が無言です。いや、無言は今に始まったことじゃないんですけど。んー、何かヴェノムの背中見てますね。もしかしたら咲哉、何か考えてるんじゃないでしょうか。予想を遥かに飛び越えた的確な発想をしますから、今色々と繋げたり、離したり何かして、あーでもないこーでもないしてるのかもしれません。


「……!あ、ちょっ!」


「何、よそ見してんだよ!」


目の前に50センチくらいの紫のドラゴンが数十体、わらわらと現れました!


!でも、ここは生息地じゃないはずです!」


「いるもんは仕方ないだろ!」


慌てて二人が剣を振って応戦するも、中々致命傷すら与えられないようです。マジ、何ランクよ?……あれ?今後ろからひゅんって重い音がしましたよ?あっ!『光の矢』を一気に放ったようです。あ、また来た!10本超えしてません?!第一陣が当たる前に数回、タメない咲哉が放ちます。容赦ない矢の嵐にたちが次々に断末魔の咆哮を挙げて倒れていきます。もう、お見事!としか言えません。無駄な矢が一本もないんですよ?数秒で野鳥数える人並に数把握とか尋常じゃありません!逃げる間もなく、全て落ちてます。……何匹いたんですかね?


「……す、すげぇ。」


「こんなの見たことないぜ……。」


「こ、これが"フレイムドラゴン"倒したときの『超命中』ってやつですね!」


みんな三様に驚いてますね。咲哉、最強なんじゃね?どうでもいいけど、この回、遣いすぎっす。あれー?デジャヴってヤツですか?クリストファーくんは心の準備できてましたけどって、ヴェノムだって知ってるはずですよね?何でゲオルグさんと一緒にフリーズしたままなんすか……。


******ACT.20へ******

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