T.18 初めての三次職と取説くん

━━草むらから現れたのは……━━


「ゲオルグ?!」


ヴェノムが目を見開いてます。


「よぉ!久しぶりだな!……なぁ、あんた名前は?」


どさくさに紛れて、咲哉口説くなー!ちゃっかり肩抱いちゃって!


「ゲオルグ!咲哉に手ぇ出すな!」


手を払いのけます。


「そ、そうですよ!ダメです!ダメったらダメです!」


魂抜けたみたいだったクリストファーくん、参戦。


「……咲哉だ。耳元で言わなくても、普通に聞けばいい。私は難聴じゃない。」


咲哉に囁き攻撃は効きません。真顔で言ったものだから、ゲオルグ氏、固まってますな。うちの子、回りくどいと一切わからないタイプなんですみませんねー。


「悪いねー。咲哉はそーゆーのわかんねぇんだわ。」


笑いを堪えながら……いや、漏れてる漏れてる。絶対ヴェノム余裕かましてますねー、これは。


「クリストファー、ゲオルグはなんて書いてあるの?」


直球第一、まるで安全第一みたいな……。


「あ、はい!『ファイター』の三次職、『クルセイダー』です!『グレードソーダー』から転職出来ます!光属性の『クルセイダー』、闇属性の『ダークナイト』が大人気です!Bランクから転職可能ですが、適正検査があります。中々難しいので、一次転職のように二次職にすんなり出来るAランクがオススメされています。」


あのグレープソーダー!三次職になると属性つくんですねー。いつもながら、『歩く取説』がいてよかったわー。しかもこまいの省いてくれるし、分かりやすいし。…………ん?ヤバイ!クリストファーくんの存在まで私を圧迫するの?!いや!やめてー!……………冗談はこれくらいにしますか。何ですか?嘘はないですよ?だからって押し潰される私だと思ってるんですか?アリエナーイ!私は私の道を突き進む!咲哉を見守る守護者なつもりで!あ、違った。保護者なつもりで!


「…まさか!ヴェノムと同じなのか?!」


気がつきますよねー、そりゃー。


「え?あ、はい。サクヤさんはヴェノムさんと同じで、非常識区分セレクターなんです。」


クリストファーくんが簡潔に説明します。あれ?このゲオルグさん、『クルセイダー』で表示あるってことは、咲哉の名前見えてるはず……。ああ、ホントにただのナンパっすか。小柄で程好い筋肉のついたヴェノム、小柄で筋肉に縁が無さそうなクリストファーくん、そして正に中肉中背の細マッチョなゲオルグさん。ホント、男ばっかですねー。ムサイムサイー。


「……へぇ、面白そうだな。ソロも飽きてきたところだ。俺も混ぜてくれよ。」


咲哉をちらちら見てるし、厄介なのがまた混ざって来ましたな……。


******ACT.19へ******

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