ACT.17 矢と魔法

━━武器屋前━━


「こりゃたまげたわ!こんな職人技の弓なんざ、みたことねぇよ!」


切符のいい武器屋のオヤジさんが嬉しそうに、咲哉の弓を見ています。弓にも種類がありますから、ちょっと見てもらったらこんな塩梅になりました。


「はー、やっぱり。やけに初心者用にしてはしっかりしてるなぁって思ってはいたんです。」


「そもそも、弓職自体が希少なんだろ?」


「そうなんですよ。難易度は、『マジシャン』が初心者向け、『ファイター』が中級者向け、『アーチャー』が上級者向け扱いです。でも、一番選ばれるのは『ファイター』なんですよねー。」


「あー、ソロでも何とかなるからなぁ。」


「でも、補正ステータスギフトが多いのは『マジシャン』です。防御依存ですけどね。グミン系なら殆ど食らいませんし。」


「てことは一番、補正ステータスギフトに頼れないのは『アーチャー』か。」


「はい。距離が取れる分、回避しやすいですが、バランスやリアルラック、実力が一番反映されやすいんです。」


咲哉そっちのけで会話しています。


「……行くわよ。」


あ、オヤジさんに選んでもらい終わったんですね。


「あ!お疲れ様です!」


「よっし!日がくれる前に森の中に入るぜ?」


クリストファーと咲哉は頷いた。


~・~・~・~・

……程無くして、森に到着。

ヴェノムが先行するが、二人に気を使ってか、走ったりはしない。余裕の表情でさくさく進んでいく。安心してか、誰も周りを警戒しない。ヴェノムに頼って、着いていくだけの図が出来ていた。

……ああ!咲哉危ない!あまりの至近距離から、気配もなく、グリズリーみたいな熊みたいなやつが襲いかかってくる。


「……?!咲哉!」


ヴェノムが気がついたが、遠い。クリストファーは隣で青ざめている。矢をつがえている暇はない。


「……我紡ぐは煌めく流星。貫くは邪の闇夜。輝死刃シャイニング・デス・ブレイド!」


真っ直ぐに残像を残しながら閃光がグリズリーみたいなやつを貫く。


「……女の子連れてるんだから、もっと気を遣おうぜ?」


草むらから現れたのは……。


******ACT.18へ******

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