ACT.15 現実と運命共同体
━━見事なタイミングでクリストファーくん、生還いや帰還━━
「只今戻りました。……あれ?サクヤさん寝てしまったんですか?」
正確には気絶してます。
「ああ~……、そうだな。」
罰が悪そうに頭を掻くヴェノム。
「な、な、何かなさったんですか!?僕のいない間に!」
詰め寄るクリストファーくん。
「……俺は本気でアイツが好きだから、おまえとはライバルだぜ。」
いきなりのカミングアウト。クリストファーくん、ひくついてます。
「……本気だったんですね。あはは、勝てる気はしませんけど……諦めるつもりもありませんよ。」
表面的だが、咲哉の過去を知っているヴェノムこと優也。咲哉の優しさを肌身に感じたクリストファーくん。果たして、咲哉のハートを射止めるのはどちらか。はたまた、横から誰かがかっさらうのか。いやいや、まだうちの咲哉は嫁にはやりません。
あ、咲哉が起きました。
話し声で起きたようですが、内容までは分かっていないようです。
「……あ、おかえり。」
優しく微笑む咲哉。何だかんだで優也が咲哉の悩み解決してくれていたみたいでしたからね。完全とは言えないでも、少しは楽になったんでしょう。……Σ(´Д`)こ、これは!優也に軍パイ?!いやいや、咲哉のことですから、いざとなったらちゃんと対等に……。対等ってなんだ?
咲哉の笑顔に心なしか嬉しそうなクリストファーくん。
「……ヴェノム、聞きたいことがあるの。」
結局のところ、咲哉は喋っても必要がなければあんまり喋らないみたいですね。私ならいらない付属までつくのに。
「ん?なに?」
「クリストファーから聞いた貴方と実際の貴方は違う。
\俺は魔王になる/
そう言っていたのよね?」
直球ですな。
「あー、そうだね。それくらい豪快な目標も俺なら実現できるはずだぜ?……いや、咲哉が言いたいのはそんなことじゃないか。」
「ええ。貴方はそんなことを本当に実行する人じゃない。理由があるはず。たとえば、
「…クリストファー情報か。間違っちゃいねぇな。クリストファーたちはバーチャルな肉体、俺らは生身の肉体。クリストファーたちはやり直しが利くが、俺らは一度きりしかない。そこを重視して、か。」
咲哉は頷く。
「私たちの能力は有限ではないわ。けれど、私たちのことを大半がわかっていない。私もまだわからない部分が多い。……でも、違和感があった。貴方は誰とでもパーティーを組める人ではある。貴方は一人で現れたことにこそ意味があった。貴方は……。」
「ストップ。聞きたいんなら、俺に言わせてくれ。確かにプレイヤーとはつるんでない。……あんたに出会ったのは偶然だが、
「探してた?」
「…ヴェノムさん、まさか!」
クリストファーくん、なにかを察したようだ。
「…ああ、何人も
クリストファーくんは知っていましたね。だから今も一緒に苦しんで、悲しそうな顔をしている。きっとこの話を断片的に聞かされていたんでしょう。
「……泣くなよ、クリストファー。おまえだけは理解してくれて、話を真摯に受け止めた。けど、殆どは聞いちゃいねぇからな。荒くれものみたいな印象を与える必要があった。それがなきゃ、俺らは利用されるだけだ。クリストファーが囮扱いされてたの聞いたろ?俺らは逆に経験値稼ぎのいいカモにされるわけだ。無茶をしたら不味いのは俺らだって認識がないからな。」
ああ、だから遠ざける意味だったんですね。
\俺は魔王になる/
なんて言ってたのは。確かに嫌ですよね。
「ま、俺らはある意味での運命共同体ってやつだな。一緒にいれば、利用しようなんて思わない。それに
最後は吐き捨てるように……。
******ACT.16へ******
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