ACT.13 想い合い
━━咲哉は怖い顔をしてヴェノムの胸ぐらを掴み、壁にダンっと押し付けた━━
「……大胆だなぁ。積極的なのは嫌いじゃないぜ?」
力を更に込める。
「ぐぅ……。タ、タンマ!それ以上は苦しい!OK!話し合おう!」
慌てたヴェノムが両手を挙げて降参した。クリストファーは近くでガタガタ震えている。場所を変えるべきだろう。……ブティックを物々しい空気にしたまま、後にした。
外は少し日が傾き始めている。
「……あ!すみません。こんな時に………今日は家族と夕飯を食べに行く約束をしてまして……。」
恐る恐る告げるクリストファー。
「……大丈夫。生活が一番大事なんだから、いってくればいい。ボクらは…………ここにいるから。」
言葉少なく、クリストファーの頭を撫でる咲哉の手は優しい。……言葉を選んだことはクリストファーにも伝わっただろう。
「…おーう。行ってこい!孝行してこいや。
俺らのリーダーはおまえだ。」
一瞬咲哉をチラッと見てから豪快に笑い、ヴェノムも頭をがしがし撫でる。
「は、はい!」
「取り敢えず、宿屋に行こうぜ?
俺たちのせいで街中も危ういからな。」
「そ!そんなことないです!光栄なくらいです!いつか絶対お役に立ちます!……気を使って下さってありがとうございます。」
…クリストファーは宿屋の一室で眠った体制でログアウトした。言っていた通り、ただ眠っているだけとしか見えない。咲哉はゆっくりとクリストファーの頭を撫でた。
「……貴方は、どこまで知ってるの?」
振り向かず、責めるわけでもなく…。
******ACT.14へ******
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