ACT.8 明かされ始めた真実

━━無言アーチャーと無能マジシャンの旅、始まります━━




……出だしでまたすごく不安になりました。喋らない主人公、気弱な少年。どんなパーティーですか……。


ま、取り敢えず場数クエストこなしに行きましょう。新たな出会いがあるかもしれません。一回ごとに増えたら万々歳です、はい。……次はまともな人がいいな。いえ、一人言です。



宿屋をチェックアウト。城門前に向かいます。……後ろを歩くクリストファーくんが立ち止まりました。



「……あの、ちょっといいですか?」


咲哉は立ち止まり、振り向きます。真面目な顔しちゃってどうしたんでしょうね?


「お話したいことというか、確認したいことというか……」


物凄く歯切れが悪いんですけどー?咲哉は何か察したのか、クリストファーくんの腕を掴み、人気のない路地裏に入ります。え?なに?なにがあるの?!


「……ありがとうございます。本題に移りますね」


真剣な顔つきのクリストファーくん。


「……貴方は、この世界ゲームのことをどれだけご存じですか?」


……………え?ええ?!今、世界ゲームって言った?!どういうこと?!勿論、咲哉は首を振ります。


「……やっぱり。おかしいとは思ったんです。貴方が《フレイムドラゴン》を倒したと聞いたときに」


いつものおどおどした彼はそこにはいない。


「貴方はどう見てもこの世界ゲームの初心者にしかみえません」


咲哉はただ頷いた。


「ですよね……。けれど、Bランク級のドラゴンを倒した。常識では有り得ないことです。……僕、思い出したんです。に出会ったことを」


……え?それは咲哉みたいにこの世界ゲームに来た人がいたってこと?


「聞いた話と数えると、貴方でになります。僕の知っている限りになりますけど」


……咲哉が?何か曰くありげですな。


「……皆はこう呼んでいます。『非常識区分セレクター』と。……として」


非常識区分セレクター』?なんでしょうね?あまりいい意味に聞こえません。不穏な感じがぷんぷんします。


「その人にはこの世界ゲームの創始者から何か……とんでもない役割のために呼ばれたのではないかと言われています。実際に出会った人は少ないらしいので、はっきりした情報はありません。すみません……」


いやいやいや、それだけでも私たちにはかなりの情報ですよ?



「分かっている判別方法は、初心者は初心者なんですが……。始めたばかりの方と同じようにされています。それだけだと、何もしなければ大概はわからないんですが、実践クエストをしても評価やランク表示がされないことにあります」



……されている?ああ!だから誰も名前を聞いてこなかったのか!



「通常であれば、初心者でも強い人とパーティーを組めば直ぐにGランクになれます。一人でお手伝いクエストをしていたら、最初の依頼でZランクが表示されるわけです。……こういうこともご存知ないんですよね?」



咲哉はすぐに頷いた。確かにであることだけ確認されましたしね。寄せ集めなのに、自己主張激しいなぁと。流れ的に呼ばれなくても、違和感もありませんでしたし。



「では、この世界ゲームが"VRMMORPG"区分であることも知らないんですね?」


咲哉は再度頷いた。アニメとかで話題のアレですか?アレはアニメであってまだそこまで進化してないはずですよ?


「実際の"VRMMORPG"とはちょっと違うんですよね。順を追って説明しますね。『非常識区分セレクター』についてはこの世界ゲームの説明のあとにしましょう。体感されたかと思いますが、"NPC"と会話されてますよね?」


咲哉は頷く。



\デフォルト機能万歳/



してたヤツですね、私が。


「普通の人と変わらない対応、若しくはちょっと過剰な対応をされませんでしたか?」


咲哉は頷いた。

確かに、やけに初心者とはいえ、手厚い保護を受けましたね。


「あれは人工知能データで対話出来るようになっているんです。その場にあった適切な対応が出来るロボットみたいなものですね。それから、あの過保護設定には裏があるんです。メリットとデメリットと言った方がわかりやすいかと」


あー、やっぱり……。飴と鞭ですか。鞭を知りたくないなぁ。


「初心者だけでなく熟練者にも対応は同じなんですよ。その代わり、デスペナがヤバイんです。分かりやすい説明をすると……気を失う前にヘイズさんの言葉までは聞いていたんですが。貴方も聞かれましたよね?さん」


咲哉はまた頷いた。確かに、『死に戻りしたら経験値が……。』的なこと言ってましたね。私の違和感ここにもありましたよ。ちょっと麻痺してきたから流してしまいましたが、何か引っ掛かってたんですよね。あ、名前呼ばれた。



「……半分持ってかれるんです。の半分。……鬼畜ですよね」


うわー……、それはヤバイ!


「……因みに『非常識区分セレクター』にそれはありません」



………………え?



「二人は"未だ"生存されているようですが……。……………一人は亡くなりました。実質の『』です。そのことから、別名『非常識区分スケープゴート』と密かに呼ばれています……」




………とんでもない事実が突きつけられました。

咲哉の運命とは?



******ACT.9へ******

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