ACT.5 依頼と仲間

………さぁ、気合いを入れていこう!


……………のんびり歩く咲哉。サックに差し込んだ《使い古された剣》と反対側の弓セットは微かにしか揺れない。


……暫くして、街を抜けた先の城門前に到着しました。まるでゴミのような人だかり。某閣下の気分…にはなれませんな。見下ろしているわけではないので。

しかし、今になって思い出しました。すっかりゲームだと認識して進めてはいたが、実際には確認をしていない。この国の名前。まぁ、咲哉が聞かなきゃわからないので確認すら出来ないわけですけどね。だけど必要なことなので振り返ってみました、以上。

何とか人を掻い潜り、掲示板の前にきました。この掲示板、子どもでも出来そうなZランクから、ベテランのLランクまでところ狭しと張られている。


*ランク表*

Z→Y→X→W→V→U→T→R→Q→P→O→N→M→K→J→I→H→G→F→E→D→C→B→A→S→SS→SSS→L

最後のLってレジェンド、伝説級って……。

Aランクまでは頻繁に張り替えられているようだ。Sランクからはどんどん日付が古くなっている。Lランクに至っては、もう紙はボロボロだ。何せ、書かれていることが一つしかない。

《魔王討伐依頼》

日付は……十年前。この《使い古された剣》の持ち主のアーノルド以来、誰もいなかったのだろう。この世界ゲームで一度も成功していないのは明白。だが、この咲哉がなし得なければならない目標だ。この!咲哉が!大事なことなので二回言いましたー。

先ずはどこから行きますかねー。Gランク以下はドブ浚いだの、買い物だの、全く必要ないものだね。賞金も子どもの小遣い程度。咲哉ならいきなりBランク……いや、Cランクあたりからでも良いような気がします。そこに神の声が!


「……あんた、アーチャーか?」


ハゲ……基、スキンヘッドの屈強そうな大剣持ちのでかい兄さん。咲哉はゆっくり頷いた。


「手ぇ空いてるならこの依頼、一緒に来てくれないか?」


彼が指したのは、Dランクの下級魔物退治依頼。腕ならしにはいいんじゃないですかね。どんな生物がいるかわかるわけですし。この兄さん、壁にはもってこいですよ。咲哉は知ってか知らずか、また静かに頷いた。


「それは助かる!あ、俺はキングスってんだ!良かったよ!うちの後衛、回復・補助専門のマジシャンしか居なくてさ」


いえいえ、こちらこそ。一人だったら咲哉、ゲームオーバーだったかもしれませんし。直ぐに彼はメンバーを紹介してくれる。



\デフォルト機能バンザイ/



《ハンマー使い》ふさふさな屈強戦士風。


「よろしくな!カナトだ!」


ハンマーってあれですよね。隙がかなりある、力押しタイプ。

《短剣シーフ》イケメンナンパ風。


「アーチャーなの?ふぅん……。身軽そうだね。俺はヘイズ。よろしく」


咲哉、すっごい見られてます。女の子だったらヤバい感じがしますねー。わかんないから観察されている模様。……爆ぜればいいのに(ボソ


《白マジシャン》おどおどした美少年。


「……クリストファーです。宜しくお願いします……」


可愛い男の子デスネー。魔法ちゃんと的確に使ってくれますかねー?

……………全員男じゃねぇか!鞭使いのお姉ちゃんとかいないんですかー?私の希望なんて叶わないんですね、わかります。華が欲しい……。


大剣使いのキングス。ハンマー使いのカナト。短剣シーフのヘイズ。白マジシャンのクリストファー。そして、アーチャー認定の咲哉のチームが出来上がった。

『Dランク《依頼内容・魔物討伐》

グミン50匹、ラビッター50匹、サクリア50匹』


グミン→ゼリー状の魔物

ラビッター→兎に似た足がスプリングで高く飛ぶ魔物

サクリア→綺麗なゴブリン風魔物


ざっくりと解釈すると、小物魔物の数減らし依頼のようだ。斯くして、低レベルと見られる五人組は魔物討伐に向かうのだった。


******ACT.6へ******

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る