第2話痴漢冤罪

水曜日……野菜を沢山取り寄せられるよう、商談をしに隣町までいき今電車に乗り店に帰るところだった。


乗客は……今から家に帰るのだろうか、バッグを持って静かに立っている人も居れば、スマートフォンや新聞……携帯ゲーム機で遊んでいる人も居た。


そして、今、少し気にしている人が1人居た……三上と間を開けた右側にいる……ブレザーを着た金髪の女子中学生か、女子高校生だ。


先程から何やらチラチラと目を泳がせては、イライラしたような態度を見せている。


最初の方はまさか痴漢に合っているのでは?と思い視線を下に向けたが、痴漢にあっている訳ではないようだ。


三上は、少しその女性を気にしていると、、【まもなく……多疑駅〜多疑駅〜降口は右側です。】と車内アナウンスが流れ、三上は右側の扉のほうを見た。


その時。


先ほどの女性が。


「この人痴漢です!」


と、1人の男性の手を掴んでいる。

男性は、今自分の状況を理解出来ていないのか、目を見開いて、固まっていた。


すると、多疑駅に止まり、扉が開くなり、周りの男性達が、その男性を拘束し、男性は駅員に連れて行かれた。


勿論、その女性も状況説明の為、連れて行かれそうになったが。


「なんで痴漢野郎と同じ部屋に居なきゃならないの?あたし帰る!」


駅員に腕を掴まれると、暴言を連発し、駅員の腕を振り払い、駅を出て行こうと、歩いて行った。


その時だった。

先程駅員に腕を掴まれ、振り払った場所の地面に、何やら手帳のような物が落ちているのに気付いた。


三上は、その手帳を拾い上げると1頁捲った。

そこには、あの女性の顔写真、そして名前は縁野実咲(よすがのみさき)、何処の高校に通学しているかまで分かった。


三上、女性を追いかける為、走り出す。


○○○


キャバクラや風俗店、パチンコが立ち並ぶ多疑町の国道。

この道なりの先に、三上の焼肉店……3Rsがある。

三上は先程の女性を尾行していた。

手帳を返す為ではない。


この女性は、痴漢などされていない。

あの時女性の周りには、勿論男性はいたが、ずっと見ていた三上なら分かるが、女性の尻や胸に手が伸びていたような事実は無かった。

そして、先程、駅員達に痴漢の疑いで連行された男性、女性とはだいぶ離れていた。

もし痴漢するならば、腕が相当長くなければならない。


完璧な痴漢冤罪だ。

何かしらの理由で苛立っていたので、ストレス解消の為に男性を痴漢犯に仕立て上げたのだろう。


そして、これは別の話だが。

今、この場所まで来るのに、この女性は、二人以上の男性と食事や、ホテルに行っている。


恐らく、いや確実に援交だろう。


こんな事を言うのはなんだが、見た目通りの女性である。

なんとも、卑劣な糞野郎?いや、糞女である。


そんなこんなで、5時間以上尾行し、三上の店が見えてきた。

定休日なのもそうなんだが、国道にも関わらず人気が少ない。


三上は、少し歩くスピードを上げ、女性との距離を一気に縮める。

そして、女性の肩を軽く叩くと。


女性が振り向いた瞬間、首を絞めあげる。


女性は苦しそうにもがき、三上の腕を引っ掻いたりなどするが。

徐々に動きが少なくなり、遂には意識がなくなる。

殺した訳ではない。


三上は肩にかけていた大きなバッグを開き、女性を入れると、店の鍵を開き、店に入っていった。


女性は、小柄だった為、余り苦労すること無く店に入れた。

そして、三上は店内に入るなり女性の入ったバッグを背負ったままレジに行き、地下室のエレベーターを鍵で呼び出し、地下に向かった。


○○○


チーンと音が響き、扉が開くと、そこには。

全面コンクリートで出来た部屋があった。

壁には糸ノコギリから大きなククリまでの刃物がズラリと並び、解体台や、ミンチ機、業務用冷蔵庫まであった。


「さて、そろそろかな。」


三上は、バッグを開き、女性を解体台に乗せると、服と下着を脱がせ、手足をマジックテープとベルトで二重拘束する。


余分なムダ毛を剃り落とし、解体台横の道具掛けには多彩な刃物を掛ける。


そして、三上が糸ノコギリを手に取った、その時だった。


女性が目を覚ましたのだ。


「は?は、は、はぁ?なにこれッ!はぁ!?」


大声を上げる女性。

三上は少し顔を歪める。


「あ、あんたッ!この……変態ッ!!外せよッ!外せよッ!!」


三上はマスクを外すと、コーヒーを口に含み、飲み込む。


「うるさいなぁ……ちょっとは静かに出来ないの?」


女性は奇声を発しながら、バタバタと手足を振るう。


三上は油性ペンで暴れる女性の身体に印を書くと。

腕の印に糸ノコギリの刃を当てる。


「いやぁッ!外せッ!いやぁァッ!!」


三上はそんな言葉は耳に入れず、糸ノコギリの刃を女性の腕に擦り付ける。


糸ノコギリの刃は、女性の腕を水音をたてながら切り進んで行く。


「あ……アがッ!い、いやぁぁぁぁあッ!!」


糸ノコギリの刃が骨に到達すると、糸ノコギリを引き抜き、ククリに持ち替え、女性の露出した腕の骨に振り振り下ろす。


一撃では骨は砕けない為、また一撃、また一撃と何度も刃を振り下ろす。


骨が折れる音と共に、腕が女性の身体から離れる。


「あ、あぁ……。」


この時……三上は重大な事に気づいた。


「あ、血抜きしてなかった。」


三上は解体台のボタンを押すと、解体台は縦に移動し、女性の身体は逆立ち状態になる。


「帰して……帰してぇ……。」


力なく抵抗する女性の首を板で固定し、電動ノコギリを手にとる。


首に付いた印に、電動ノコギリの刃を当てると。

三上はスイッチを押す。


「ッ!!ッッ!」


食道に空いた切口から、息が漏れ出て、声が出ない。

そして、しばらくすると。

ブツンと音をたて、女性の頭が床に転がる。


そして、下に置いた大きなタライに、生首が転がり、その上から、大量の血液が流れ出る。


三上は、手を水で洗うと、椅子に座り、スマートフォンで曲を聴きながら、血抜きが終わるまで待っていた。


○○○


「こんなもんか。」


血が止まると、三上はもう一度ボタンを押し、解体台を元の位置に戻す。


そして、腕に行った作業を残った腕や脚にも行い。

腹をナイフで切り裂き、横隔膜を取り出すと、ハラミと書いてあるビニール袋に入れ、冷蔵庫に入れる。


そして、大腸や小腸を取り出し、中に詰まった汚物を洗い流し綺麗にすると、ホルモンと書かれたビニール袋に一部を入れる。


他と同様、腿は、モモ肉と書いたビニール袋に入れ、舌は、タンと書かれたビニール袋に切り分けて入れた。


そして、臓器をすべて抜き取った身体の背骨に沿うように、包丁を肋骨にいれ、ペキペキと外側に折り曲げると、全身の皮膚と皮下脂肪を剥がし、上半身はスペアリブのタレに切り分けて漬け込み。


下半身の肉は、子宮や膀胱、骨を抜き取り、ミンチ肉にし、先程余分に取っておいた大腸、小腸の皮に詰め込み、ソーセージにする。


それら全てを冷蔵庫に詰めると、残った頭を解体台に乗せる。


頭皮を剥がし、頭蓋骨を円上に切り、穴を開けると。

薄いピンク色の脳が見える。


三上はそれを器用に取り出し、ビニール袋に入れると。

ビニール袋の空気を抜いた状態で口を結び、脳を踏み潰して、ドロドロの液体状にしていく。


それのビニール袋の油性ペンで、ソースと書くと、冷蔵庫にしまう。


残された頭は、ムダ毛を全て巻とり機で引き抜き、熱湯で頭を煮込み続け、煮込んだ汁はザルに二三回通し、余分な目玉や皮膚を捨てていく。


そして、出来上がった汁は、スープバーのカレーのダシなどに使い、残った頭蓋骨は、コンクリートの壁に掛ける。


そして、1通りの解体が終わった所で、三上はシャワーで体全体を洗い流し、眠りについた。


明日、元気に店を開くために。


○○○


木曜日、今日は定休日明けで朝から沢山のお客様が来店する。


ハラミ、ホルモン、カルビ、ソーセージ。

色々な肉を食べていく。


皆様、笑顔で食べている。


そう、三上は。


この町を平和にするのが夢なのだ。


だから、社会のグズを殺す。

しかし、クズはクズなりに、役に立つ。


証拠は。


今、お客様方が、見せている笑顔。

誰も気づいていない。


今頬張っている者が。


縁野実咲(よすがのみさき)と知らずに。


三上は、レジで、いつも通りの笑顔を見せている。


クズが減り、治安が良くなり、しかもそのグズの肉で皆様の笑顔が生まれ、より店が繁盛する。


三上は笑顔でレジに立つ。


「一石二鳥。」




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3Rs 鳴上 亮治 @bakuhasi-6456

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