3Rs

鳴上 亮治

第1話プロローグ

肉が金網の上で炭火に炙られ、パチパチと踊る音が響く。

肉汁の匂い、店内にこもる熱気、皆の笑い声。


そう……ここは、焼肉屋【3Rs(スリーアールズ)】。

最近、この土地、多疑町(たぎちょう)に建てたばかりの店である。

この辺りは治安が悪い為、安く土地が買えた。

僕はこの店の店長、三上隆二(みかみりゅうじ)。


レタスのような透き通ったエプロンを着て、ぼくは毎日、水曜日の定休日以外は頑張っている。


水曜日は、仕事とは……ある意味関係しているけど、違う事に忙しいのでね。


そして今日は火曜日、明日が定休日だ。


毎日これだけの人数のお客様が来店して下さるのは嬉しい事なのですが、毎日は流石にね。


僕の仕事は、このレジに立ち、席の番号札を渡し、食べ終わったお客様がレジに来たら、お会計を済ませる。


後は網の交換や、炭を足すのが少々あるぐらいだ。


基本的には食べ放題で、皆様が席を立ち、肉を皿にのせ、乗せた分を肉を焼いて食べる。


どんなに食べても、4名様までなら1500円。

4名様以上の団体様は、1900円。


この値段の安さが売りでもある。

どんなに食べても、値段は変わらない。

だから人気が出た、とインターネットのサイトに書いてあった。


僕は笑顔で、レジに立つだけ。

そして、たまにお客様の中で、こんな事を言う方が居ます。


「こんなに安くて大丈夫なんですか?」


私は笑顔で答えます。


「皆さんの笑顔の為ですから。」

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