潔癖なまでに純粋で愚直な少年は、ささやかな出来事さえ正面から受け止めて傷ついていく……。
作中における列車やバスや畑などの田舎の空気感がよく、ちょっとした旅行に行ったような気にさえさせてくれた。
そしてそんな田舎もまた、リニアという先端技術が来るので嫌でも変わらざるを得ない。
読みながら考えさせられたのは、成長するという事は汚れていくという事なのか。そして、自分はかごの中に囚われているのか、自分から進んでかごの中に入っているのかという事。
言葉になり難い思いを様々な比喩、対比表現で描いた優れた作品だと思う。