第3話 掃除を無理なくできるコツは最短距離にある

 さて、片付けと並行して一緒に考えたほうが良いことがあります。それが、「生活動線」です。


【生活動線】

せいかつ‐どうせん〔セイクワツ‐〕

家庭内で、日常生活を営むうえでの動線。居間や台所、浴室などの間を移動する線。

(※goo国語辞典より抜粋)


 という言葉からも分かる通り、生活する上で必要な行ったり来たりを繰り返す際の軌跡のことを言います。これは地味ですが、生活しやすさを考えるとかなり重要です。整理整頓は、ここを意識するだけで生活のしやすさが全く変わってきます。


 まずは、オタク的に言うならば趣味の部屋…大体は自室だと思いますが、一番趣味のものをたくさん置きがちな部屋を想像してみてください。そして、真ん中を中心に、くるくると部屋を円の形で歩いていくことを想像してみてください。これが、基本となる無理のない生活動線です。もちろん、これは個々の部屋の形で多少変わってきますが、大体はこの円、または楕円を意識すればOKだと思います。


 つまり、このラインに接する床に物は「絶対に置かない」をまずは意識してみましょう。このエッセイを読むあなたは、床に所狭しとミルフィーユのような見事な積ん読タワーを築いてしまいがちな方が多いのではと思いますが、とにかく歩きづらい印象はありませんか? 特に、足を引っ掛けてしまったり、目的の場所に行き着くまでに大きく足を上げて移動しなければならなかったり…それは、生活動線を阻害しているのです。

 積ん読タワーを容認するわけではありませんが、まずは生活動線を確保するべく、第1話・第2話の方法を使ってタワーを消失・軽減させるか、まずはずらすなどして、その生活動線を確保しましょう。そして、出来るだけ今後も死守するようにして下さい。生活動線はいわば、生活の「最後の砦」です。


 生活動線を確保してみると、何が変わるのか?


「あの漫画、あの巻見たいなあ…ああ、これこれ。ここ、名シーンなんだよね」


 まず、行きたい場所にすたすたと歩いて、最短距離で見たい作品やグッズに会いに行くことができます。


「よし、あのゲームの続きをやるぞ…よし、これだ。ゲーム機に入れてっと」


 さくさくと歩いて、ゲームソフトを取り出し、ゲーム機に入れることができるでしょう。そしてついでに言えば、第2話効果で、取り出したい作品をすっと取り出すことができるわけです。

 たったこれだけのことですが、どうですか? こう、ストレスがかなり緩和されていることに気づきませんか? 移動のストレスは日常的にやってしまうと麻痺しがちなので、気付かずに放置してしまいがちなのですが、ここを解消すると想像以上の楽が生まれます。


 同時に、これは、次の片付けへの意欲も生まれます。


「あっちを片付けたいのに、床のものが邪魔で移動しづらい…もういいや、めんどくさい。終わった」


 たった20cm足を上げることに億劫になるだけで、そのエリアはどんどん汚くなっていきます。まずは生活動線を確保して、部屋全体に無理なく歩けるようにし、片付けたい場所に気軽にアクセスできること。これが、大切なことなのだと思います。


 これだけではなく、どんな掃除にも言えるのですが、片付けを習慣にするには、片付け環境をことが肝要です。このめんどくささが、「片付け嫌だなー」という気持ちの第一の原因にしてしまうのです。片付けは一気にやると物凄く辛く感じてしまいます。常に習慣化して、ちまちまっと労力小さく、短時間で片付ければ済むようにしてしまいましょう。


 ここには、第2話の話が関連してきます。第2話のように処理しておくと、読んだ後に片付ける際も、「ああ、ここだったな」と『片付け先を探すことなく』元の位置に戻すことができます。これがまた、部屋を綺麗に維持してくれる推進剤にもなるのです。

 「ものを出した後は元にしまいなさい」と私の母はよく私に対して言ったものですが、あんまりピンとこなかったんですよね。それもそのはず、母が片してしまっていたので、私が「どこにどれを置けばいいのか」把握できていなかったのです。元に戻す住所が分からなければ、その場所を自分で探す、または母に聞かなければならなくなります。やがて、めんどくさくなって放置してしまうでしょう。掃除をさくさくと習慣化してしまうには、まずめんどくさい環境を改善することから意識してみて下さい。


 それから、もう一つ。生活動線を意識することは、同時に「使いやすいところに使いやすく物を置く」ということでもあります。


 例えば、ゲーム機。据え置きPS3とかドリームキャストとか、わざわざTVから遠い所に置いたりはしないと思いますが(配線大変ですし)、ただ、よくやりがちなのが「ゲームソフトだけはゲーム機から遠い位置にある」というアレ。これはつまり、ゲームをするまでにTV(=ゲーム機)まで移動するタイムロスが発生します。これも何気ない数秒なんですが、ここが縮まるとかなり快適になります。アニメDVDもこれに近いですね。


 漫画や小説は? この場合は、よく生活習慣の中で座って、居心地よく、よく読んでくつろぐ「座る場所」を基準にして下さい。ここからの距離を短くすればするほど、最短距離で移動することができ、ストレスが緩和していきます。

 何かを作成する際の資料本などは、その作業机に近い位置、そのまま手を伸ばせば取り出せる位置、またはそこに近い所が理想的です。私はパソコンでデザイン作業することが多いので、頻繁に開く関連本や資料は、足元左にスタンバイしています。


 こんな風に、取り出したい物を適切な場所に置くことも、生活動線のひとつの考え方です。これらは、オタク生活をよりスムーズにするワンポイントだと思います。

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