1ー11 準備完了
デイビッドはジョンソンの話を面と向かって聞いていた。
「で、その家族は助かったの?」
「いや、分からん。俺が行った時にはもう四人の姿は家にはなかった」
「爺さんは医者だったんだろ。なんでホープソンは診てもらわなかったんだ?」
「俺はダニエルの味方だったがあの家族を守ってやれなかった。もう信頼してもらえなかったんだろう」
ジョンソンは過去を悔いるように自分の太腿に指を食い込ませていた。
話を聞きながら、アルフレッドはスーツの調整をしていた。
「……そのスーツはパワードスーツか?」
スーツをジョンソンが見るとアルフレッドに話しかけてきた。
パワードスーツとは戦争の中で軍人に支給されたスーツで常人の何倍ものパワーが出るが第一世代のロボットよりも劣る。
「それで勝てるのか?」
「いや、パワードスーツじゃねえよ。これと比べるとあんなのはおもちゃ以下だ。……よし!調整終わったぞ、デイビッド!俺はシャワー浴びたら寝る!」
アルフレッドはシャワー室に入る。
バタッ、
「……ガーーーー」
倒れる音がし、寝息が聞こえる。
「え、あいつ寝たの?」
「うん、寝たね。起こしに行くわ」
デイビッドはシャワー室に入ると、寝ているアルフレッドの顔面シャワーの代わりにパンチを浴びせる。
「何すんだ!てめーーーーー!!」
「お前がこんなとこで寝るのが悪いんじゃねえかよ!」
デイビッドと全裸のアルフレッドが殴り合いながらシャワー室から出てくる。
「……やっぱりわからん。お前らは一体何者なんだ。ホープソンから生きて帰ってきた時点で只者じゃないと思っていたが、あの戦争を生き残った元軍人ってだけじゃないだろ、お前ら」
「あっ!今さらなんだよ、爺さん!俺たちが普通に見えるか!?」
そう言われデイビッドとアルフレッドの様子をじっと観察する。
片やまだ若く見える無精髭の銀髪。片や全裸の黒髪。その二人が組み合って……
キーッ
「おいおい、出て行くな!爺さん」
アルフレッドがジョンソンを止めようとするがデイビッドがそれを遮る。
「大丈夫だ、爺さん!俺があいつを止めてやる!今日はベッドを高く眠れ!」
ジョンソンに向けたデイビッドの笑顔は強面の男のするものではない、人を安心させる明るいものだった。
「信頼する要素がないな。一体お前らは何者なんだ?」
再度同じ質問をすると、デイビッドが答えた。
「俺たちはあの戦争で唯一神を殺すことができた対神兵器だよ」
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