第6話


解散場所に着いた俺は、土産を買うのを忘れてたので、駅ビルの地下で晩飯のおかずを買った。

んで、お姉ちゃんにメールする。

「今、横浜に着いた。

高島屋の地下で、晩飯のおかず買ったからね。

サラダとコロッケだよん♪」

お姉ちゃんから返信があった「了解」と、短く。


お兄ちゃんはというと、俺が土産買わずに晩飯おかずを買うのを付き合ってくれた。

お姉ちゃんにメールしといたから、と言うと「そっか」と、これまた短い返事が返ってきた。

 

帰宅すると、兄弟達が兄ちゃん、お帰りー」と出迎えてくれた。

「ただいまー」と、俺とお兄ちゃんはハモってた。

晩飯のおかずを台所のテーブルに置いては、両親の遺影に帰宅の挨拶をした。


皆で食卓を囲み、俺はお姉ちゃんと後片付けをする。

その時に、お姉ちゃんに切り出した。

23、24日の土日、友達の所に泊まりに行きたいことを。

聞かれる前に、理由を先に言った。

お姉ちゃんは黙って聞いていたけど、「男か女か」と、それだけを聞いてきた。

男だよ、と答えると「女じゃないのか。」と…

夏休みの宿題もあるし、9月になるとテストもあるから勉強もしたいの。

「そうだよね、家では勉強しにくいもんねぇ。分かるよ。」

うん、分かった。

「でも、お兄ちゃんには言ってないんだよ。」

「だよね、あのブラコンは何を言ってもガンとして聞かないからねえ。

まっかせなさーい、お姉さんはナツの味方だから。」

力強い言葉をもらった俺は勇気を振り絞って言った。

「お姉ちゃん、あと1つ。」

ん?

「俺、その人のこと好きなんだ。」

・・・・・・。

「それでも、味方で…いてくれる?」

俺は泣きべそをかいていた。

すると、お姉ちゃんはヨシヨシと頭を撫でてきた。

「ビックリしたけど…そっか、そうなんだね。まあ、でも…女を好きになって妊娠させるよりは、同じ男同士の方が後腐れなくて良いかもね。」

そう言うと、何故かニヤニヤな表情で言ってきた。

「あんたの思うようにしなさい。

なにしろ、私はBL好きだから。これ内緒ね(うふっ)

で、一番の難関は任せなさい!

あのブラコン野郎にブラコンを卒業させてやる、良いきっかけよ。」


ありがと、お姉ちゃん。

で、BLって何のこと?



☆☆☆☆☆


2週間後の23日。

前日から雨が降っていたので、バスで学校へ行く。

午前中は、いつも通りに陸部の練習をする。

帰宅してから昼飯を食べるのだけど、その日は違っていた。

俺は、自分のだけオニギリを握って持ってきていた。

着替えが終わり、色々と雑事をやった後、学校を出る。

お兄ちゃんが待ってるのが見える。

すると、担任から声が掛かってきた。

うへぇ…

早く学校から出たいという思いで、お兄ちゃんに目をやる。

と…居ない?

携帯にメールがきたので開いてみると、お兄ちゃんだ。

「仕方ないな。俺は先に帰るからな。」と。

「ごめんなさい。」と返信した俺は、担任のお陰でお兄ちゃんを騙すことなく行ける。

そう思った。

担任の用事が終わったのは1時間後…

教員室で握り飯を食べた俺は、担任からチョコも頂いて食べちゃったよ。

ラッキー。


その後、歩いて最寄りの駅まで行き、そこから乗り継ぎでエイ…

違った、英さんの居る駅まで行った。


メールで送っていたので、英さんは駅まで迎えに来てくれてた。

マンションで一人暮らしをしてるらしい英さんは、買い物をして帰ろうと言ってきた。

一緒に、夕食と明日の分も買う。

プレゼントは買ってないので夕食を作ってプレゼントしたいと俺は言ったら、よろしくと言ってくれた。

そして、マンションに行く。

ワンルームだったが、シンプルに纏められていてセンスのいい部屋をしている。

リビングでウェルカムドリンクと称してオレンジジュースを出してくれた。

喉が渇いていたので、ちょうど良かった。

早速、俺は宿題に取り掛かり…英さんは、付き合ってくれる。

分からない箇所を教えてくれ、俺の頭はお利口さんになった。


プレゼント代わりの食事を2人で食べた後、お兄ちゃんから電話が来た。

『お前、どこに居る?いつまで経っても帰ってこないし…』

『奈胤、あんたは黙ってなさい!2週間前に、夏生は私に言ってくれたのよ。

行ってこいって許したのよ、この私がね。

いいこと、夏生。明日の夕食までに帰ってくればいいんだからね。』

「うん、分かった」

『2週間っ?この、クソ姉… 夏生、なんでっ… いってえなぁー』

『うるさい!あんたは、そのブラコンなんとかしなさいっ!電源切っててね、夏生。』


騒がしい電話が一方的に終わった。


くっくっく…

あーははははっ。

「楽しい姉兄だね。俺は一人っ子だから、羨ましいな。」

「うるさくしてゴメンナサイ。」

邪魔になるから、電源切っときますね。

プチっと電源を切った俺は、(お姉ちゃんありがと)と心の中で言っていた。


その後、英さんと一緒に風呂タイム…

風呂ぐらい1人で入れると言うと、「メールしただろ。喘がせてやるって。」と言われた。

(そうだけど…喘がせるってどういう意味なんだろ)と、思いながらグズグズしていたら…


時間がもったいねえと言いながら、英さんは俺の服を脱がし始めた。

え、裸にされるの?と言うと、お前の裸は、合宿の時に見てると言われた。

そういえば、そうだ。


・・・ん、待てよ。

俺、もしかして皆に裸を見られてた?

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