第4話

エイさんの唇が俺の唇と…

もしかして、あれがキ、キスなのか?


俺の…

俺の、ファーストキス!!

でも、疲れてしまい寝てしまっていた。


翌日というか、4日目の朝を迎えた俺は、スッキリと目覚めた。

いつも通りに、その日の練習を消化していく。

その日の夜は肝試しで、2人ペアだ。

俺のA校では参加人数が奇数だった為、どうしても誰かがあぶれてしまう。

俺は怖いのイヤだからと辞退しては、部屋で静かに読書をしていた。

いつの間にか眠っていたのだろう。

気がつくと…茂が睨んでいて、エイさんが俺の側に居た。

え、どした?

「肝試しが終わって、キャンプファイヤーしてるんだ。その誘いにきたんだよ。」と茂が。

「こいつに何をしようとしていた?」とエイさん。


意味、分からないのですが…


すると、ドアが開き、

「ナツー、ファイヤーしてるぞ。ってか、ナニお前。

昨夜は、お仕置きさせられたんだって?」

同じ部屋のヤツが迎えにきたのか、行かないといけないのかー。

行きたくなーい、と駄々をこねる俺に対し、肝試しはパスしたんだから、ファイヤーは出るの!と言い切られてしまった。

近くの広場では男女混合でのファイヤーだった。

まあ、合同合宿だからな…

俺は、そこに居るだけの人間になっていた。

昨夜のキスが頭の中から消えない。

エイさんの唇、柔らかかったな…


少し離れた所にボケっとしていたら、そばに誰かが近づいて来た。

ファイヤーにも来たしもう部屋に戻ってもいいだろう。

他にも、部屋に戻ろうとしてる人もいるし。



いつの間に寝てたんだ俺?

気がつくと、服がなく裸になっていた。

俺のそばにはエイさんが居るし。

俺ら2人を囲むように、何人かの人間がいる。

すると、どこかで聞いたような声が聞こえてきた。

「あんたは要らない。私が欲しいのは、そっちのA校の方よ。」と。


昨夜の女子だった。

「俺の服をどこやった?」 

すると、その子はとんでもない事を言ってくれた。

「あんたの服は、要らないの。

なにしろ、これから私に抱かれるのだからね。」


はあ、何それ?

俺にも、理想の人っていうのはあるのだけどね。

しかも、その子は周りにいる誰かに向かって何やら指示してるし。

すると、一斉に俺に向かってくる。

陸部男子をなめんじゃないよ。

こちとら幅男子なんだから、少しの間なら滞空保持できる。

真っ裸というのは気になるが、仕方ない。


覚悟を決めたら、エイさんに抱えられ強行突破で俺はその場を後にしていた。

なんで?

多勢に無勢という言葉があるだろ。

そうだけど、俺としては服を返してもらいたい。

すると、目の前にヌッと何かが出てきた。

その何かとは、俺の服だ。

え、お兄ちゃんっ?

「念のため、予備に俺が持ってきたものだ」と、お兄ちゃんは言ってくれたけど。

予備って、どういう意味?

そしたら、他の部員達がお兄ちゃんの後ろに居るのが目に入ってきた。

しかも、顧問やら違う高校の人とかも…

どうしたのかなと疑問に思ってると、エイさんが「とりあえず、着替えるんだ」と。

それもそうだな。

俺はエイさんに抱えられ、お兄ちゃん…いや部長から服を受け取った。

「後は、任せろ。お前は部屋で寝てろ。」というお兄ちゃんの声を聞いた。


自分の部屋に戻り着替えようとしたら、中々着替えられない。

手が震えているのだ。

それを見ていたエイさんが、俺に向かって言ってきた。

「なんなら夕べの続きをしてもいいんだぜ。」

「続き?」

すると、俺の耳元で囁いでくれる。

「そう、キスの続き」

…!

なにしろ、今のお前は何も着てない状態だから、脱がす手間が省ける。

と、言ってくるが…

俺は真っ赤になり、着替えるよりも早く口に出ていた。

「キッ、キス。っていうか、俺のファーストキス返せ!」

「おや、ファーストだったのか。それは得したな。」

「あんたは…」

その続きは言えなかった。

なにしろ、今度はブチュッと俺の唇に…

「ん… 」

ま、まて待て…

俺は少し顔を離すと、

「イヤじゃないだろ。俺もイヤじゃないし、もっとしたい」

と、欲望丸出しセリフをエイさんは言ってくる。

たしかにイヤじゃない。


俺は頷き、自分からエイさんにキスをしていた。


あろうことか、俺の口の中に何かが入ってくるし。

「ふ… ん…」


あ…

でも、気持ちいい。


キスが、こんなに気持ちのいいものだとは思わなかった。

すると、俺が着替えさせてやると言ってくるエイさん。

俺は寝たいので、自分の荷物からパジャマを出して着替えた。

エイさんは、微笑んでは優しく言ってくれた。

「おやすみ、夏生君。」

オヤスミのキスを、俺に落としてくれた。

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