第2話
…え、賭け?
って、この見かけの可愛い人は男子か。
「C校の長距離エイを落としたら、3千円。
Y校の長距離シゲルを落としたら、5千円。
で、A校の短距離ナツキを落としたら、1万円。
だってさ。」
俺は、たまたま近くに居てそれを聞いてたから、誰がその賭けにノルもんか。
そう思ったから、フッてやったの。
ま、タイプではなかったというのもあるけどよ。
オタクは穴場なんだろうな、1万円だってよ…。
俺は5千円だし…
そうブツブツと言ってるソイツは、自己紹介をしてくれた。
「俺、Y校長距離1年の山崎茂。」
俺も釣られて自己紹介した。
「俺は、A校短距離1年の日下夏生。でも、俺はナツキではなくナツオだよ。」
でもまあ、あんな女に引っかからなくて良かったな。
その場で、茂と色々な話しをしていた。
部活、勉強、好きなゲーム等などetc
好みの女という話しまで。
んー…
俺は、ほんとにそういう目で女子を見たことはなくて、素直にそう言った。
「それなら、男は?」
男が好きかどうかってこと?
そうだね、男だったら遊んでるゲームとかの話しも出来るし、ウザったくないし良いかも。
そしたら、笑われた。
それがバカにされてる笑いではなく、ほんとに可笑しくて笑ってる感じだ。
しばらくの間、茂は笑っていた。
楽しい笑い方だったので、俺も釣られて笑っていた。
笑いながら俺は言っていた。
「別にいいじゃんか、女子より男子の方があっさりとしてるからな。
俺のお姉ちゃんも女だけど、ウザくないしアッサリしてるよ。」
「シスコンではないような感じがするけどな。」と茂は返してきた。
まぁいいや、あんたとは仲良くなれそうな気がするわ。
あと残り時間、よろしくな。
「こちらこそ、よろしく。」
と、握手を交わした俺達は宿に向かった。
そしたら、先ほどの女子がこっちに歩いてくるのに気がついた。
物陰に隠れた俺たちの横を通り過ぎていく時にチラッと見かけたら…
その表情は、とてつもなく怖かった。
その女子は、どこに行ってるのかは分からないが宿でないことはたしかだ。
そうすると、1人の男子と宿の前で会い目礼をする。
すると、何を思ったのか茂はその男子に話しかけていた。
「もしかして、C校の長距離のエイさんですか?」
え、そうなの?
俺は、ビックリした。
茂って、細かいことに気がつくヤツなんだな。
すると、その人は睨んできた。
「そうだったら、なんだ?」
「さっき、1人の女子が怖い顔をして歩いてたから。
もしかして告白された、とか?」
そこで、俺は気がついた。
あの女子は、一晩のうちに3人のうちの誰かを落とすつもりだったのか、と。
俺は、勇気を出して聞いてみた。
「エイさんと言われるのですか?
俺…自分は、夏に生まれると書いて、ナツオといいます。
俺も、先ほどあの女子に告白されたんです。」
「そそ、実は俺も、このナツオの前に告白されたの。」
と、茂も言った。
「なる。それでオタクら2人とも振ったってわけだ。」
俺も、振ってやったよ。
女には興味ないから…
その言葉を聞いた俺は、「君もそうなの?俺も、そうなんだよ。」と、言っていた。
そしたら、2人ともエッてな表情をして見てくる。
同士だーと、勝手に思い込んだ俺はペラペラと喋っていた。
「やっぱり男子同士だと、好きなゲームの話しとかできるもんな。
うざくないし、アッサリとしてるし…」
すると、エイさんは「あぁ、そういう意味ね。ビックリした…」
茂にいたっては「さっきと同じことを二度も聞く羽目になるとは…」と笑ってくれる。
「だって、エイさんもそうなんでしょ?」
「え…」
「女には興味ないからって、さっき言ってた。」
「あぁ、興味は全くない。…というわけで、二人ともオヤスミー。」
ん?
腕時計に目を走らせる俺の口から出た言葉は、
あっ5分前だ…
待ってよ、叱られるのは3人一緒だよ!
おいこら抜けがけ禁止!
3人で、其々の部屋まで猛ダッシュしたのは言うまでもない。
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