合宿、それは出会いの始まり

福山ともゑ

第1話

「やっほー!!」


「イェーイ!!」


「やったるでー!!」


「あっつぅーい!!」


4台の大型バスから同じような声が、聞こえてくる。


俺達は、今は長野に来ている。

バスに揺られること5時間・・・

寝て過ごしたお陰で、お目目パッチリだ。

そして、これからは昼飯タイム。


おっ、定番メニューばかりだな。

ニギリ飯 大3個

唐揚げ 3個

ゆで卵 1個

かぼちゃの含め煮 3切れ

リンゴ 1/4個


でも、今までよりも弁当箱がデカイので嬉しい。


今日から4泊5日の合同合宿が始まる。

A校、B校、C校、D校、E校、F校、G校、Y校と8校が一緒だ。

男女が別々の旅館に泊まる。

まあ、それは別に良い。

女との馴れ合いを求めて合宿に参加したわけではないからだ。



俺の名前は、日下夏生。

呼び名は「くさか なつお」で、「なつき」ではない。

「なつ」と呼び捨てにされてる。

A校1年生の陸上部短距離所属、よろしくお願いします。


陸部の合宿だから、練習ばかりだろうというのは簡単に予測できた。

それと、長野だから少しは涼しいかも…

というのもあったが、横浜と一緒じゃんっ…

「あっちぃ・・・」


合宿が始まり、一番イヤなことは就寝時間。

早すぎだろ、絶対に。

家では、早くても0時に寝てたのに、22時が就寝だなんて。

練習ばかりで疲れもあったのだろう、22時きっかりに俺は寝てたらしい。

同室の連中は、布団に潜ってはヒソヒソ話をしてたらしい。


そうこうするうちに、3日目の夜。

身体も慣れてきたし、俺も布団でのヒソヒソ話に参加したいな。

そう思っていたら、呼び出された。

先生にではなく、女子に。


すると、その女子に告白された。

「一目惚れなんです。学校は違うけれど、付き合ってください。」と。


え・・・


何も言えずに戸惑っている俺に対し、その女子は続けてくれる。

「告白されるの、初めてですか?」

その言葉に対して俺は頷く。


「それなら、友達になってください。」

と、言われたが…

「…ごめんね。女子と友達になろうという気はないんだ。」

と、ゴメンナサイをした。


「1人で宿まで戻れるよね。」

と言ったら、その女子は俺を睨みながら答えてきた。

「もちろんよ!」

と…


ふぅ……

女子は、分からん。



その場には既に先客がいたのを俺は知らなかった。

しかも、ソイツは俺達の会話を聞いては忍び笑ってたなんて、知るよしもなかった。


その女子が宿に戻るのを目で送ってた俺は、そこで涼むことにした。

そしたら、いきなり違う人と目が合った。


ビックリした俺は何も言えなかったが、あっちは笑いながら言ってきた。

「さっきの女子さ、あんたで賭けをしてたよ。」

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