第32話Break Down World(幸せな未来)-3


 「……ジュードはいるか!」

 「はい、います!」

 「そこに転がっているのを、予定通り運んでおけ、その後はお前はゼスタの妨害をしろ」

 「わかりました! それで白仮面様はどうするんですか?」

 「私は、最後の決着を付けてくる。……何の問題もない。運命は正しく導かれている。最後に残るのは私の理想とする。あの(・・)尊い白い世界。その事実だけだ。それ以外、何もいらない」


 そう言ってカイトは去って行った。それを見送ったジュードは流花に近づき、その左腕を拾う。


 「本当は殺しちゃいたいけど。それじゃ、駄目だもんね」


 そう言うとジュードは流花を抱えて立ち上がった。


☆☆☆


 ゼスタを追ってきたルーカスは、ゼスタが皇の柱からどんどんと離れていくのに驚いていた。


 (こいつ、本当に何をする気だ?)


 「あった、話通りだ……」


 そう言うとゼスタは一つの建物の中に入っていった。ルーカスはそこを見るとあることに気付く。


 (上手く偽装されているが、これはこの星の建物じゃない。エルロイドの技術で作られた兵器だ。それもかなり強力な……なるほどな)


 ルーカスはゼスタを追い、中に入る。ゼスタは何かの装置を操作していた。そのゼスタにルーカスは話しかける。


 「これで仲間ごと、ソラ・アオヌマを吹っ飛ばそうって計画かい? 能無しの割にはやるじゃないか、ゼスタ。いや、これは本国にいる貴族派の命令か? こんなものすぐには準備出来ないもんな~?」

 「……っ!? ルーカス。俺を脅しに来たのか!」

 「なに、脅そうってわけじゃない。あんたにしては良い計画だと思ってな。だから、これは俺が乗っ取らせて貰うことにした」

 「させるか、これは俺の手柄だ。これを成功させて、俺は統率官になり、あの時の栄誉を取り戻す!」


 ルーカスはそう言って、銃をゼスタに向ける。ゼスタは槍を構えて、それに相対する。地球人とエルロイド、その決戦とは違った舞台で二人のエルロイドの戦いが始まろうとしていた。


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