第六章(1)

「また謎解きかよっ!」

 監視ルームから進んだ先にもまたもや部屋があった。今まで一番小さな部屋だった。

 扉の横に書かれたのは海藤くんが叫んだ言葉通り、謎が書かれていた。

『8÷8+8-8=□ 6÷9×4+4=2

 2-2+2-2=0  4+6-4-5=1

 4÷6÷4×9=2  3+4+5×6=1』

「これも何かの数式なのかな?」

 僕は言う。けどわけが分からない。

 真ん中の二つの数式は答えが合っているのに、

 他の三つは合ってない。

「なんなんだ、これは?」

「ああ? ただ計算して入れればいいだけじゃないのか?」

 そう言って北島さんが『1』を打ち込む。

 その瞬間だった。

 ヴゥーイ、ヴゥーイと警告が鳴り響く。

 そして天井に現れたのは、監視カメラのような、

 細長い機械。先端には銃のようなものがついていた。

 それに気がついたのとほぼ同時だろう。

 北島さんに向かって、レーザーが放たれた。

 警告によって、振り返っていた北島さんの眉間にレーザーが放たれる。

「いやああああああああああああああああああっ!」

 鉛筆と同じぐらいの太さの穴が額に穿たれて、北島さんは崩れ落ちた。

「佐久間零次の……復讐だ。復讐が始まったんだ」

 三国くんが叫ぶ。

「黙れっ!」

 海藤くんが三国くんを殴り飛ばす。

「二江、お前が謎を解け」

「今考えてる。少し黙ってて」

 レーザーガンは不気味に沈黙していた。

「早くしろ!」

「だから黙れって。そう簡単に解けるもんじゃないっ!」

 言い争ってる間に、ヴゥーイと警告が鳴り始めた。

「まさか、時間制限があるのか?」

 疑問を生じた瞬間、僕のいた場所めがけて、レーザーが飛んでくる。

 間一髪、避けるとレーザーガンは制止する。

 動き出すのも時間の問題だろう。

「早くしろっ!」

「だから、黙れよ。こっちだって考えてるんだよ」

「ああ、鬱陶しい。三国! 『2』って打て」

「なんで……? それが正解なの?」

「知るかよ。とにかく打て」

「イヤだ。それはイヤだ。死にたくなんてない」

「今、殴られるのとどっちがいい?」

「それは……」

 躊躇う三国くんに海藤くんは近づく。

「キミがやれよ」

 少し震え声で僕は言う。

「ああん?」

 海藤くんの矛先が僕に向かう。

「キミがやれ、って言ったんだよ僕は。答えは『3』だ。キミが欲しがってた答えだ」

「ちっ……、三国! 『3』だ」

 舌打ちして、海藤くんは再び三国くんに命令を出す。

「海藤くん、怖いのか?」

 挑発するように僕は言う。威圧するような海藤くんのにらみは怖い。暴力から逃げてしまうような僕には、とてもじゃないが耐え難い。

 でも言わなければならない。

「怖いから、三国くんに任せるのかよ」

 他の人には僕が悪者のように見えているのだろうか。わからない。というかどうだっていい。

「ちっ……やってやらあ」

 海藤くんは僕をにらみつけて歩き出し、

『3』と打ち込み、レーザーに背中を貫かれる。

「ひっ……」

 本田さんの堪えるような悲鳴。

「てめぇ……騙しやがったのか?」

 僕のほうにゆっくりと海藤くんは近づき、けれど到達する前に倒れこむ。

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