第3話
四月六日~十日
最近何かと忙しく、三太さんや父さん母さん兄さんや姉さんから、雑用を押してけられてんてこ舞いの連続でした。深夜ですがPCに向かい一心不乱にキーボードを叩き、せっせと纏めてマスを埋め名誉挽回したいと思いマス。時折様子を伺いに来る小さな小鬼や狐日がお腹空いたと邪魔します。この四月から、朝の連続特撮映像番組虹色戦隊の思春期! があと数話で連載五百回を迎えようとしています。チェックしないと。
こんなものばかり観ているから、僕は子供っぽいと三太さんに馬鹿にされるのかもしれません。ですが一番子供っぽいのは三太さんではないでしょうか。
早くも陰険な嫌がらせが始まっています。ブリッツエン兄さんの甘い卵焼きと豆腐葱の優しい味噌汁、鯵の開きに白菜の漬物朝食を食べて力満タン。今日も一日頑張ろう。
そう思って出社するなり出鼻を挫かれました。
僕のスーツにいきなり温~いお茶が頭からかけられました。熱々でないのが三太さんの陰湿なところです。大火傷したら大騒ぎになるので一寸とだけ熱いのが味噌です。
次の日はサンダルが天井裏に隠されていました。
次の日もマウスがあろうことか生涯出番の無い冷蔵庫裏手の陰日向で、日向目指して伸びるかのように温風で懸命に温めてありました。嫌な人ですね……
でも臆病者の僕には逆らえるはずもなく、ぷるぷると震えていることしか出来ません。
だのでプランサー兄さんと母さんに相談しました。案の定三太さんはみっちりと叱られました。三太さんが恨めしげに僕を睨んでいたので、思わずぶるりと毛が総毛立ち、身震いしながら知らん振りしてその日一日三太さんは何か思案顔で過ごしておりましたが母さん曰く、あれは仕返ししようと何か陰険でみみっちい策略を練っている時の情けない男の顔付きよ、大体想像出来るからそのうち先手を打って見せるわん。と忌々しげな笑顔を浮かべました。あの時の笑顔は生涯忘れられない残虐性を秘めていました。ちょろりと思わず尿が漏れそうになったのは此処だけの話です。
横でうんうん、その通りだぞ覚えておけよコメット。と頷きながら威厳たっぷりで僕に教えてくれるプランサー兄さんですが、朝からお化粧していた姿を見たのは、いたたまれなかったです。黙って頷くしかできない僕。何か言うべきでしたのでしょうが、朝から元気が根こそぎ奪われた気がしました。
もうちょっと強気に行こうよ僕。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます