第2話

四月一日


 春たけなわの今日この頃、花の蕾も何時しか花開き、花弁爛漫となり、百花蝶蘭の艶やかとした、爽やかな嵐が至る所で華麗に咲き乱れております。


 春空は雲ひとつ無い、青々とした青空が果てしなく、何処までも広がっております。


 窓を開けて耳を澄ませば、春風の目出度き、かくも暖かい祝い風が、頬をさらりと優しく撫でて、うず高く積もった書類の山々で、数枚ぺらぺらと捲っては遊んでいきます。


 社内の社長執務室で、我の今書いている日誌も、頁が数枚遊ばれたので慌てて書き直しておる所です。


 思わずぷりぷりと怒り、死ね! クタバレ! 文字が滲んだろ!


 我の愛用する、大事なペリカン万年筆がぽきりと折れるだろうが!


 誰だ、勝手に窓を開けたのは、外は晩い春一番の大嵐だぞ! 


 ん、我が開けたのか……。


 と、小言の四つ、五つの文句を垂れ、悪態を吐きましたが、此処はひとつ気を取り直しましょうかね。


 自然の可愛らしい悪戯には、仕方が無いと思うと、自然に笑みが零れ落ちるものですから。


 さらに鳥の嬉々とした、春を告げる鳴き声に、飛び立ち音、乱と力強く羽ばたく豪快な飛翔音。女三人揃えば姦しいとは申しますが、鳥獣の囀りも姦しく、愛でたいものです。


 仕方が無いのです、奴等獣は今までに寒波押し寄せる極寒の冬風に晒され吹かれ、飛ばされで、軒下で小刻みにぷるぷうると震えながら、首を長くして、百年に一度と揶揄された、異常気象の大寒波を乗り過ごし、今日という日を待ち望んでいたものですから。

 怒り心頭滅却して、都合よく忘れ去り、春の訪れを共に祝おうではないですか。


 然しながら、怒りは冷めませんでしたよ、実際は。


 裏手の五月蝿い工事現場から、重機音が鳴り響く度に、くるっぽー、と狂ったように鳩が叫び、狂乱の面持ちで、室内に侵入してくるではないですか。


 外は春一番の砂塵、突風、吹き荒れる大嵐。


 室内は羽ばたきの風に、舞い散る羽毛。机に置いておいた梅煎餅があっ! 


 と言う間に鳩に食い尽くされ、食い散らかされてしまう、悲惨で、凄惨たる有様。


 くるっぽー。と鳴きながら、首を前後に動かす仕草に、腹立ち、苛立ち、向かっ腹が立ちましたが、人間と申せども個では群れには勝てませぬ。


 ひゃあーッ! と呻き、頭を両手で押さえながら逃散し、遂には所狭しと飛び交い、歩き回り、白い糞を垂れ流す鳥獣に屈服して、ふわふわとした絨毯の上で蹲り、泣き叫ぶ始末。


 去れ去ねっ! この獣の分際で、と叫んでも仕方の無いこと。こんな時は静かに待ちましょうか、人の助けを。


 所詮私の身形は、ヨボヨボ老人に過ぎないのですから。


 ぷるぷる、と震えながら待っていた甲斐がありました。


 薄っぺらい木製の扉を開き、何事か? と役立たずの社員共が、わらわらと集合してきました。

 皆一様にあんぐりと口を開けて、驚いておりましたね、


 あん時の馬鹿面といったら、忘れることはありません。


 鳩はあっ、と言う間に執務室から拡がり、ばたばたと他の部署へと瞬く間に広がり、てんやわんやの右に左に大騒ぎ、悲鳴に、怒声に、何故か嬌声までもが上がる始末。


 とりあえず、窓を開けろ、と誰かが言ったので、開け放たれた窓から、鳩は一斉に去って行きました。


 室内はしっちゃかめっちゃか、糞塗れに羽毛塗れ。


 ――こりゃあ後片付けが大変だ。


 一体全体、鳩が何で八面六臂の大活躍を繰り広げたんだ。


 なんて事を言っている馬鹿な奴等め、所詮大間抜けで、阿呆な連中に、事の顛末が分かる訳ありやあせん。


 所詮は獣の仮の姿。漢語で呼ぶと馴鹿、所謂トナカイなのだから。

 むむっ! 忘れていた、之は我の日誌である。


 思い付きで習慣付けようとして、本日から書いたのだからきっと誰にも分かるまい、不親切極まりないに違いない。そうであろう。


 あわよくば、会社経営が軌道に乗り始めたものだから調子に乗って、多角的経営成功者の薦めとして、経営の何たるかを豪快で繊細な、世の社長共の指南書になり、ゆくゆくはその素晴らしさが口コミで広がり始めて、遂にはネットユーザーの間で火が点き、爆発的燃焼本になり、遂には社長だけではなく、一般人にも経営の素晴らしき甘さ、辛楽にほろ苦さに、我の目眩めく愛の伝道師としての一面を垣間見せて、道行く一人に一冊の割合で鞄にそっと偲んで聖書になってしまい、ミリオンヒット! 

 高層ビルから蟻んこのように、人々を見下ろし、発泡酒片手にバスローブ巻き付けて、呵々大笑が止まらない毎日。

 などと、邪まな考えで思い付いたのではない事を、機微に触れて諭しておこう。


 そんなことは決してないっ、てことは声高に断言しておく。


 あくまでも単なる日誌である。


 間違っても出版したいと考えているとはミジンコ程も思うことなかれ。

 ――話がずれたな……。元に戻そう。


 奴等能無しが何故馴トナ鹿カイなのか。長い話なので春、麗らかなお八つ時に説明するのも面倒だが、そうしなければ頁が埋まらないし、話も進まない。

 なので、只管せっせと万年筆を動かそう。


 社長たるもの、筆に人も上手に動かして、ナンボであるのは否めない。


 と我ながら巧みな事を書き連ねているのも少々辟易し、ネタ切れ気味始めたので、解説に戻ろう。


 何れ未来の栄光輝く、社長の種に性格が色々と難すい、部下の扱いのイロハを教えねば為るまい。


 我ながら、心優しき一面もあることを、存外に主張せねばならんからな。


 骨としては、少々なら誇張するのが、大人には許される範囲である。


 では解説に移るか。

 先ずは始めにこいつだ。


 此処の店から説明すべきだな。


 うむ。諸君の口上も分かる。


 馴鹿の説明はどうしたのん? 


 と、非難したい気持ちも、痛いほど身に沁みている。


 我の悪い癖である、なかんずくすぐさま直さなければならない悪癖であることも、自分自身がよーっく知っている。だが待ちたまえと我は言いたい。

 焦るな、焦れるな! 事を仕損じるぞ、急がば回れだ。


 前措きが重要である、説明導入はこの会社説明から入ろう。


 先ずは場所である。

 神田神保町はすずらん通りの裏路地、神保町地下鉄駅入り口近くに、我の設立した株式会社黒須玩具店はある。


 大正初期に造られた、古めかしい赤煉瓦造り、四階建て、店舗兼住宅として使用し、一階が会社、二階が研究室、三階四階が住宅部分だ。


 古びた外壁を、繁茂した蔦がびっしりと覆い隠して、これでもか。と毎日ぎゅうぎゅうと、巻き付けている。


 最近は換気扇の中まで進入してきて、頭を痛ませている。


 そんなこんなで、近所の幼稚で低俗な頭が空っぽ小学生からは、お化け屋敷の異名を授けられ、時折夜中に肝試しに、こそこそと来られるので、其の都度杖で頭をしこたま打ち付けて、撃退してやる。


 其の所為か、糞餓鬼共からは短気爺ィ! と、遠巻きに畏怖されて、近寄られない毎日だ。


 うむ、日々の研鑽弛まぬ賜物である。


 最も我は子供嫌いなので、丁度良い。


 それに、大人からは味がある、と涎をたらたら垂らし、褒められて大好評である。


 子供には理解できない、大人の好物だ。


 我の至高たるたる言葉に、耳を傾けない輩は塵になって、散り散りに霧散すればよいのだ。イッソ食ってやろうか。


 あの忌々しくも、丸々と太った鳩と一緒に煮込んでやれば、多少は灰汁(悪)が薄くなるもの、だがそれでは公僕に捕まってしまう。


 我は意思を持った、石のようにじっと堪えるのみだ。


 堪えて堪えて、強い精神性ストレスが溜まって、回さなくてもよい余計な神経が磨り減り、消え去ってしまう。


 溜まるのはストレスだけだ。塵のようなストレスが山積して、石になり山石になる。


 命拾いしたなガキ共に獣よ、我が鋼の如き強い自制心と、優しき意思を持った者で。


 我に感謝し跪き傅けゴミ共よ!


 と、つらつらと文字が埋まって来たのは喜ばしいこと限りないが、そろそろ社員の紹介に事を運ぼうか。埒が明かない。

 皆も説明を聞いて、我の苦悩に思いを馳せてみてくれ。


 我が、平素どれだけ苦労しながら、会社を守って、超攻撃的な経営理念に基づき、行動しているのかを。


 先ずは役員連中から紹介しよう。


 ダッシャー・鹿角。黒須玩具店専務兼副社長。


 因みに社員全員がこいつの鹿角ファミ家系リーに連なる。


 こいつは一家の父親で突撃熱血感。我には武士みたいに完全な忠義を尽くしている。


 ははーっ、仰せのままに、としか語れない、完全なイエスマン。


 うむ、こいつは会社員の鑑である。


 我に仕えるに相応しい男だが、残念なことに、極度な被虐性、つまりマゾっ気質で、実は妻に怒られるのを喜んでいる節があり、それ故に逆らえないのだろう、完全な小心者だ。


 それなりに有能なのだが、鼻炎体質の為か、常に鼻水が止まらず、其処彼処でちィん、と鼻をかんでしまい、威厳の欠片がまったくない。


 青っ鼻に、ふわふわとした栗毛の髪だ。


 ダンサー。こいつは鹿角家族の母親で、黒須玩具店常務兼経理担当。


 こやつが居なければ、上手く人が回らないのは認め様。


 鬼嫁で恐妻家。習い性で飽きっぽく、最近はベリーダンスにどっぷりと嵌っている。


 山の手口調の話し方で、少々苛々病に侵される。薄桃色のおかっぱ髪色。


 ヴィクセン。経理担当課長。


 女狐みたいに、妖艶、凄艶、玲瓏な色香漂う長女(一番産まれ)との評価だが、我から見たら所詮は小娘。


 指先にてかてかと光る、マニキュアなど塗っている時点で、笑いたくなるわい。


 血を見るのが好きな才覚らしく、何股か男と付き合い、殴り合いの血みどろな対決を、うふん、と気持ちよく嬌声を張り上げて、見ては愉しみ、聖(喧嘩)なる(対決)儀式(勝負)が終えるやもう嫌ッ! と嘘泣きして。ぽいっ。と捨てる残虐な性格。


 桃色のさらさらとした長髪だ。


 プランサー。こいつは黒須玩具店の統括部長で要だな。次兄だ。


 母と並んで実質の経営者かもしれん。


 失踪した兄を尊敬していたが、失踪した事を機に、仕事のストレスからか、どこかで間違えてしまい、女装癖に走ってしまい、器用に男性と女性の一人二役こなしている。


 女装すると、ツンケンしてしまうのが珠に瑕だ。


 胃痛に悩み、緑色の怪しげな胃腸薬を手放せない体になってしまった。


 そのせいか常に緑色の便が出てくる。


 神経質そうな顔付きで、長身痩躯の眼鏡を掛けて、世の女性が羨む、妙に艶々した肌を持ち誇っている。栗毛色と桃色の交じり毛。


 ドゥンダー。三男。営業主任。


 外回りで客先を尋ねて不在が多く、東奔西走し、それなりに楽しんでいる。


 巨躯で瓜実顔に、円らな瞳。弱いものには強く、強いものには巻かれる体質なので、人間的には終わりだが、所詮はトナカイなので万事大丈夫である。



 額には大きな黒子がある。サスペンダー愛用者。


 くしゃくしゃのダブルスーツを着て、よれよれの大きな黒鞄を大事そうに抱え込んでいる。酒飲みで、口先手八丁、不言実行が信条で、約束知らずの性格。栗毛色の真っ直ぐな髪。


 ブリッツエン。四男。社員。


 鬼のような四角張った顔立ちに、日焼け肌だが、何処となく愛嬌があり、精悍な顔立ちだ。


 空回りの多い体育(傍に寄)系統(ったら暑)熱血漢(っ苦しい)。有言実行を心情にしている。


 常に激昂し背丈は小さいが肝っ玉は無駄に大きく、喧嘩っ早いが腕前はからっきし弱く、問題を呼び寄せてくる。つまりはトラブルメーカー。


 だが滅法ハイテクに強い体と、性格キャラが一致しない男。


 三男にいつも騙されているのだが気付いていない。


 火事裁縫料理が得意で、顔に似合わず可愛いものが大好き。ふぁふわとした桃色の髪質。


 キューピッド。次女。社員。玩具開発生産担当。


 栗毛色のごわごわした髪質。髪質が気になるために、外出をしない小太り体格で、大汗掻き、常にふぅ、ふう。と室内温度が二℃上昇する吐息を吐き、冬でもタオルが欠かせない。


 甲高い声で、紫色の作務衣を着て、開発室にデンと引き篭もり、職人メカニカル気質、純情純粋可憐な乙女心一面が強い引き篭もり。


 気分しだいで図面どおりに玩具を作成しないので、五割が奇抜な商品か、危険物取り扱い商品に変貌する。


 コメット。末子。社員見習い。


 幼く可愛い童の顔立ちで、根性も肝っ玉も小さく、雑用担当。


 つまり体の良い使い走りだ。


 足が速いのだが、世間知らずな性格なので、其の手の趣味を持っている人に、言葉巧みに毎度毎度誘拐されそうになるが、家族一の武闘派な為に、難なく乗り越える。


 逃げ足は極度に遅い。


 臆病な性格で、自信なさそうに常に周囲を見渡し、直ぐにぷるぷると震えてしまい、動けなくなる駄目男だ。


 なんと脆弱な我は嘆かわしい。


 今までに、一度も勇気を持とうとしたことが無いのが、普通であると思っている。


 桃色の髪で、後頭部は寝癖たっぷりな髪質。愛くるしい黒須玩具店のマスコット的存在であるのは否めない。


 とまあ、之が我が社の全社員だが、忘れておった。他にも居った。


 我のかあいい、かあいい、兎ちゃんだ。


 其の名もかぐやである。


 赤い首輪に、江戸切子の施された雅な鈴、ふわふあとした白い体毛、赤い瞳に長い耳は、キューティクルの一言だ。


 つまりは愛玩動物である。


 以上。と言いたいのだが、我は思い出してしまった。


 もう一人居ったことを。


 今度は愛玩動物ではない。れっきとした社員だ。


 最も人間ではないのだが。社員には違いない。


 名目上は失踪していることになっとるが、そんな細かいことは気にしないで貰いたい。


 まあ、何れ何処かしらで紹介しておこう。我もあいつが気になって仕方が無い。

 そんなこんなで紹介は終わりだ。


 ん? 


 我の紹介がなっていないだと? 


 こいつめ愛い事を申す奴じゃあ。嬉しいのお。


 ――まあ所詮は我の一人芝居に過ぎんのだがな……


 悲しいかな我の独り手慰め日記。


 まぁ、兎に角紹介しょうか。


 我の名前は、三太黒須。


 立派に生やした白眉に、口髭と山羊顎鬚。


 五尺三寸の上背を持ち、キリリッ! と見事に引き締まった、筋肉質な細身の体付きを、周囲に見事に誇っている。


 普段は麦藁帽子と、紐ネクタイに、白スラックス。と紺青スーツを着こなして、太陽の下洋杖を持って、颯爽と歩いている、洒落た老人だ。


 性格は、寡黙一徹感の大和男子である。


 日本茶に、煎餅と餅や、甘味に塩辛い食事が好物なのだ。


 ――すまんな、やっぱり誇張は良くない事に相成って、我はひとつの真実に気付いてしまった。


 万年筆を握る握力が最早無い。


 故に正直に語ろう。


 そしてすまんな皆の衆、先に謝っておこうか。


 誤っておけば、怒り、叱責、怒声の被害を被ることも、軽減されるであろう。


 決して、日誌だからといって、蔑ろにして、誇張を膨大にしすぎたのではないぞ。


 之は男のプライドじゃいっ!


 ってな訳で、我の容姿を正直に申すと以下の通りじゃ。


 垂れた白眉に口髭と山羊顎鬚、白眉は目元を隠して、光を見せない。口元をもごもごとさせてしまうので、髭が邪魔で仕方が無い。


 髪はアインシュタインみたいな髪質、を一生懸命後ろに纏めて、撫で付けているのである。


 我の体は骸骨みたいに痩せ細り、骨と皮の居弱体質な体を誇っている。


 普段は紐ネクタイに白スラックスと紺青スーツを着こなし、暑い太陽を避けるようにして、日陰の下、杖を持ってよろよろと、弱々しく歩いている老人。


 風が吹けば今にもばたり、と倒れそうな虚弱体質。


 性格は寡黙一徹感。要は頑固である。


 日本茶に、煎餅と餅に、甘味に塩辛い食事が好物。は嘘偽りがないので、皆もどしどしと御贈りを!


 我は感涙して、丁重な手紙を御贈りすること間違いない!


 ――つまりは、友達が誰一人と居ない、寂ちい老人なのかもなぁ。


 あれれっ? 何だろう? この眼から出てくる塩辛い液体は? 


 水滴が日誌に垂れて、文字が滲んでしまったではないか! 


 馬鹿たれ自分、人恋しさに負けるな我ッ!


 見苦しいな我は……


 まあ、そんなこんなで、紹介が遅れたが私の正式名称が他にはある。


 察しの良い人間には、もう分かっておろう。


 賢いのぉ、褒めてつかわす。


 そう、つまり我の名前はサンタクロースである。


 まごうことなき正真正銘のサンタさんで、大妖だ。


 十二月のあの日に、やたら寒い寒波吹き荒れる、真冬の下で震えながら東奔西走し、糞餓鬼共に身銭を切って、あげたくない代物をあげるあれである。


 縁が巡って、此処日本には、彼是十年前ほど前に海を渡り、大陸を越えて、渡来してきた。


 正確には亡命じゃ! 


 一寸ばかし、双子の妹とイザコザで、揉めに揉めてのぉ、皺くちゃにぐうの音が出なくなるほど、完膚無きまでに叩きのめされてしまった。


 まあ、生きていれば何とかなる。


 それに案外日本は楽しいではないか。


 我もこの国に生を受ければよかった、とすら思えて仕方が無い。


 お金を払うと、合法的に酒を呑みながら、女性と軽快な会話を行えて、夢も呑める。


 道端で泥酔して、豚箱に打ち込まれる事もな、安心な国じゃ。

 好きに計らいたまへ、夢売る黄金の国ジャぉポン!


 んんっ? 話がずれたな、我の悪い癖じゃぁ。


 がサンタは他に腐るほど居る。全部で千人はいるかな。


 知らず知らずに集まりだして、我の弟子になりおった。


 だが最大のサンタは、お父サンタに、お母サンタであろう。


 うむっ我も好いことを言った。


 嫌いな糞餓鬼共にも偶には媚びを売らんとな、将来返してくれるのを楽しみに待っておる。


 んなるべくなら現金か、売れる代物が好いのぉ!


 そろそろ疲れた。初っ端からこんな長編日誌になるとは想像だにせんかった。


 我の想いは、相当蓄積されて居ったようじゃ。


 ってことでそろそろ我は退散とする。


 阿呆な獣トナカイを叱責せねばならんからな。


 ――夢見よ我ッ!

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