こんなにも危険!超絶ステータス!
俺は気がついたら変な荒野に居た。
なんやかんやあって、ここがステータスのあるRPGみたいな異世界であると確信する。
そして俺は自分のステータスを見て唖然としていた。
ちから 5.0E+38
素早さ 4.8E+38
体力 5.1E+38
魔力 5.2E+38
精神力 120
賢さ 130
みたいな感じで表記されている。
勘違い系主人公と違って、それの意味する所は知っているぞ…
確か指数表記で、つまり5x10の38乗数。
数字で表現して…
500,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000
ちょっと書き方変えて
500,0000,0000,0000,0000,0000,0000,0000,0000,0000
澗 溝 穣 𥝱 垓 京 兆 億 万 一
ふ、ふへへへへへ
5澗って。趣味で憶えてなかったら桁すら数えられん。
まさしく、な ん ぞ こ れ。
しかし賢さ・・・が150だった件
そして魔力項目がある!
桁違いというのはこういう事を言うんだな!
素晴らしい!
異世界チートバンザイ!!
俺はこのチート性能で世界制覇する!
「ファーーーっはっはっはっは!」
「あ、あの。」
「ファーーーっはっはっはっは!」
「あの~気持よく高笑いしてるところすいません。」
「ファ!?」
見られた!なんか見られた…高笑い見られた!
恥ずかしい!!
「だ、誰だ!」
「えーそうですね、元の世界の者と言いますかね。」
なんか金髪の少女だった。元の世界?地球かな?わざわざ声をかけてくれたのか。
しかし一体何の用だ?
「なんだと?」
「えーと、気持よく異世界転移していると思うんですけどね。ちょっと危険なのでお話したいな―って。
(なんか流れで、丁寧語で話しかけてしまった。まあいいか。今回は丁寧語で行こう。)」
「ふむ…」
微妙に下手なのは、この俺様が超絶した力を持っているからだろうか。
多分そうだろうが、危険か…。
「分かるぞ…うむ分かる。」
「…えーと?」
「俺が危険なまでの力を持ってしまったことが原因だろうが、これは致し方ないことなのかもしれないな。」
「めんどくなってきた…」
「で?なんだ?言いたいことがあるのだろう?言うが良い!」
「うわーめっちゃ上から目線…まあいいや。」
「コホン」
気を取り直したのか、少女がホワイトボードを取り出して説明を開始した。
「本来ならおちゃらけを入れるけど、時間が無いから飛ばすね?」
「???」
一体何を言っているのやら。
「『この世界のステータスについて』」
「例えば 力の表記ですが、だいたい何キログラムのものを持ち上げられるか。
みたいな表現です。
正しくは、1秒間に1m真上に移動できる重さが何キログラムか、です。
貴方の…5E+38だと、まあなんだ…すごくでかいものを持てます…的な?」
「超絶しているだろう?うむうむ」
「いや、納得しているならいいけど…まあ比較対象としてはそうね。
地球がね。5.972E+24キログラムだからね?」
「ほう!つまり俺は地球ですら持てる男ということか!」
「ソレ危険なの解ってる?」
「うむ。俺が危険なのはよく分かった。」
「理解していない気がする…まあ後で説明するか。」
何を言っているのかわからんがそうか…地球すら持ち上げられるくらいなのか。そうかそうか。
「次に素早さ。これね。10秒で進める距離ね。100だと100mを10秒って感じね?」
「ほう、つまり…俺は1秒間に4.8E+37m進めるという事か。」
「ありていに言えばそうなんだけどね。ソレって解ってる?」
「分かって分かってる!つまり誰よりも速いと言うことだな?」
「光の速度が約3億 m/s、3E+8って事も理解してる?』
「つまり、光よりも早く動けるのだな!」
「…はぁ…。
まあいいわ、最後に言おう。
で、体力が持久力ね。まあ全速力が100の全力が1時間持つなら100って感じ。
つまり君の全力は1時間ちょいしか持たない。」
「そうなのか、つまらんな。」
「つまらないって…まあいいわ次。魔力は燃料みたいなものね。ちなみに1につき1μgの重さがあるけどね。」
「燃料か…多いんだろうなぁ」
「精神力と賢さはまあ平均的だしいいか。」
「それだけが低くて困るな。まあ全てを力で解決しても問題なかろう。」
ふっ、俺の超絶さを再認識して唖然としているな。うむうむ。
「あーちょっと考えて欲しいんだけね。」
ん?
「まず、君が全力で走れたら…どうなるか。」
「どうなるんだ?」
「光を超える速度で。いえ光速で空気中を移動したらどうなるか、分かります?」
「ん?何がどうなるんだ?」
「核融合する…」
「え?」
「まず、空気の分子と核融合する。その直後貴方を中心として大爆発が起こり、半径2kmのモノが消滅するでしょう。まあ…貴方は体力的に大丈夫なにかもしれないけど。」
「え、なにそれ怖い」
「ていうかね…今現在、危険だから時間停止しているわけだけど。」
「え?時間停止中なの?」
「ええ、だって危険だから。」
「ぼ…ぼくが動くとヤバイから危険…なのかな?」
「動かなくても危険ですよ。」
「どういう事?」
「力とそして素早さを実現させるには、たかだか筋肉程度の組織をいくら強化したところで得られません。そんなのは
「ご、ご都合主義!?」
「いいですか、力というか、それを実現させるためには、それ相応の質量が必要なのです。」
「質量…」
「エネルギーとは熱量換算させると理解しやすいですね。
細かい数字はめんどうなので、1kgのものを1m持ち上げるとだいたい0.1Jだから、5E+38な君は5E+39Jの熱量分のエネルギーがある。しかも全力で1時間動ける。
1kgが約9E+16Jだから5.5E+21kgの質量が必要なわけですね。
それは1秒間だから、そこから更に1時間だから3600かけると1.98…めどい2E+25kgですね。
おおざっぱに地球の4倍の重さねですね。
」
「ゑ?」
「更に魔力はμgが10の-9乗kgだから、5.2E+31kg
さっきの質量と合わせ…たくてもこっちのが重すぎるね。1.9E+30 kgが、元の世界の太陽の質量なので、つまりは太陽の27倍は重い魔力がありますね。」
「……」
「つまりですね、今まさに、貴方に向かってこの惑星を含めあらゆる物が落下していくわけです。」
「…………」
「また、太陽の質量がこんな小さな人間の体に凝縮されているので、あと数秒で超新星爆発でした。」
「………………」
「いやあ、爆発前に来れて良かった。あぶなかった。」
「……………………」
「ね?『貴方が危険』っていう意味。理解して頂けました?」
「え、もしかしていきなりデッドエンド?」
「あーたぶん…一時間は持ちますよ?」
「え、一時間…」
「熱くて苦しいだけでしょうけど。」
「し、しんじゃう?」
「YES!」
「う、わーーーーん!
どどどどd
どうすればいいんだ!」
「いやーどうしましょうね。持ち帰っても質量変わんないだろうし。」
「ぐはっ!一体なんだって言うんだ!!なんでこうなったし!!!」
「まー力とか素早さの元は多分魔力だと思うので、魔力を捨てればなんとか。」
「ど、どうやって捨てれば!?」
「その前に聞いておきたいんだけど。帰ります?残ります?」
「帰る!!!帰してくれ!!」
「おk!」
「じゃあ、魔力をどうにかしてから帰すね。時間停止もそろそろ終わりだし。いやほんと時間が無いのよ。」
「えーと、何秒間止めてたの?」
「某漫画雑誌的10秒間かな。」
「つまり、たいかん30分くらいかな?」
「ほほいっと、時間かかった(5秒ほど)けど分離完了。魔力とやらは放置。ここで超新星爆発起こるけど仕方ないよねっと。
じゃ、戻すよー」
「異世界よさらば!」
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こうして、超絶チートさんは帰っていった。
残された魔力は次の瞬間超新星爆発を起こし、魔力が元なので黒い太陽が生まれる。
なお、この黒い太陽は光を吸収するため、ブラックホールとよく間違われる。
能力値が指数表記の方は気をつけよう。
自分が重力を発生させている可能性があるという事を。
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