本当は怖いドラゴン転生~なぜ皆下等生物になりたがるのか~

 俺死亡。人生終了。HDDの中身は秘密だよ!誰か処分してくれ!!!!!

 

 そして、

 

 俺誕生!

 なんか殻を破って俺爆誕!


 で、ここは何処だ?そして俺は何だ?

 

 腕を見ると、どうやら爬虫類。

 生まれたばかりなのに、目がぱっちり。すごい。

 

 んで、親は…いない?

 インプリンティグされてやるぞーだれか居らんか―?


 …おらんな。

 しかしどうしたもんか。えーとえーと。

 キョロキョロ。

 

 岩陰、飯なし草なし獲物なし。

 これはアカン。早々に餓死するぞこれ。


 次に体の確認。大きさは分からん。ただの爬虫類の卵だとすれば2~3cmくらいか。

 生まれたてだからその辺の蛆とか食って育てということか。

 前世が人間だから抵抗があるなー。


 うーんうーん?背中に何かあるな?

 ばっさばっさ


 翼だコレ。

 しっぽは良いとして翼か。翼かぁ…


 空飛ぶ爬虫類ってなんかあったっけ。

 うーん、コウモリみたいなものか。あっちは鳥類だったっけ?哺乳類だったっけ?

 

 あーどうでもいいわ。腹減った。なんか食いもの食い物。

 腹減るって感覚は変わらないな。餓死はいかん。


 とりあえず卵の殻食うんだっけ?

 …コレ食うのか。


 勇気がいるな。殻の中に微妙な茶色い液体とかもあるんですが、マジで勘弁してほしい。

 まあいいや、殻を喰おう。


 ポリポリ。

 歯はあんまり生えてないけど食えるのか。すごいな爬虫類。


「あーーーーーー」

 んお?


 金髪の幼女が現れた。背格好は同じくらいだ。

 おや?


 でもまあ、インプリンティグ的にはおかーさんだね!

「がぉーーーーー」


 おかーさーんと飛び込む。

 スカッと躱されて転がる。


 はっ!一体何が!

 本能って怖え!


「あーあ。転生完了しちゃった。」

「ぎゃおう(転生?ああ、そういや転生してたね。)」


「ごめんなー。まあ元の人生は完了してるし。このままドラゴンやるか、それとも地球で輪廻するか決めてほしいな。」

「ぎゃ?(ファ!)」


 いま超重要な事言いましたよこの幼女。

「ぎゃわわ(詳しく!)」

「何言ってんのかわからない。とりあえず意思の疎通を図ろう。」


 といって何か取り出す。

 ホワイトボードですね。しかも床に置いた。でかい。


「どうせ言葉分かってるんでしょう?これで書いて?」

「ぎゃお」


『』はホワイトボードに書かれた内容だ!


『Yes,Ma'am』

「おや?英語圏の人?」

『いえ、ノリです。』

「ふーん。」


「まあ良いわ、それで?」

『詳しく説明をお願いします。ちなみにインプリンティグ的本能では貴女が私のマスターです。』


「ネタか!?マスターってなによ!」

『えっと母親?』


「まあ良いわ。んで詳しくね…ふむ。」


 そのまま床置のホワイトボードに黒字で書き進める。

『本当は怖いドラゴン転生』


1.最強種族だと思い上がってたら、恐竜とか居る世界の飛竜(プテラノドンなど)だった。

2.魔法生物だから食料は少なくて済むと思ってたら意外にお腹が空く。

3.肉食獣だと思ってたら、果物もイケる。

4.ドラゴンブレスが普通に吐けると思ってたらただの魔法だった。

5.人間より超絶強いと思って遊んでたら勇者が来て斬られた。

6.猫系獣人とかモフモフしようとしたら、力加減を間違えて赤い池ができてた。

7.モフモフしようと町まででかけたら、討伐隊が組まれた。むしろ素材扱い。

8.今度こそと思ってモフったら、なんか触覚的にそんなに気持ちよくなかった。

9.変温動物だと思ったら恒温動物だったらしく冬眠はしない。寒い土地では普通に寒い。むしろ凍らないドラゴン属性に感謝。

10.どr


「ぎゃーーーーーお」

『なにこれなにこれ!』


「おお、そうかドラゴンだからツッコミづらいのか。そうかそうか。」

『え?何?結構食料要るの?てか素材!?え?究極の生命体みたいな感じじゃないの?』


「食料は勿論要る。魔法生物ってほど魔法生物じゃない。」

『ドラゴンブレス魔法なの?』

「いや、君の場合はちゃんとブレス器官がある。実にいい素材だ。」

『素材!え?俺素材!?』


「竜の血とか竜の心臓から不老不死の薬ができたりするそうだよ?」

「ぎゃおおお!」『!!!?』


「まあ冗談はさておき。」

『冗談だったの?』

「いやマジな部分はあるよ?」

『えっと、改めて詳しくお願いします。』


「宜しい。」


「まず1.ドラゴンとは。

 最初にお断りしておきたいのが、竜にも種類があるし恐竜だった場合は単なる爬虫類の延長です。」

『生まれた時爬虫類で生まれてきたので、畜生道にでも落ちたのかと。』

「仏教徒かっ!」

『え、仏教徒ではないですがほら知識はありますし。』

「知識だけか。」


「コホン。本来ならここで竜の種類について切々と語っても良いんだけど、尺がない。」

『尺って別にTV番組じゃないんだから。』

「本ができるくらいに語る?」

『長いよ!』


「さて、君の場合は世界からして違うので、まあ異世界転生の亜種だね。

 所謂魔法とかが割と頻繁に存在する世界だ。」

『わりと頻繁に?』


「元の世界にも所謂魔法はあったけど、過去形。知る人は既に無い感じ。」

『そうなんだ。』


「私から見れば体系化された技術なので魔法よくわからないものではなく、素粒子力学で扱うし、元素としても今は確認されていないものを扱う技術だけどね。」

『魔法っぽくなくなった!?』


「さて、横道にそれてしまったが、君はその元素を生み出す生命体であり、通称ドラゴンと呼ばれている。」

『ドラゴンキター!』


「迷信的に竜の心臓は不老不死の薬になると言われているが、そんな事はない。」

『ほっ』

「いや迷信とはいえ、信じられているなら狙われるからね?」

『おお!それは酷い』


「所謂ドラゴンブレスはその生み出した粒子を使ったブレス攻撃になるので、火であったり氷であったりするわけだ。」

『魔法のブレスというのは、あながち間違えではないのか。』

「うーんそうなるね。」


「2.食事について

 これはーまあ雑食です。」

『雑食か。』


「非常に丈夫な胃を持っているのでヤバイ。胃液とか吐いたらそれで牛とか溶かせます。」

『マジか!牛とかすげえ』


「将来的には丸呑みしてもいいよ」

『なんか料理したい気分だな。』


「で、今はこんな背だから良いけど、将来的には10人分20人分じゃ足らなくなるからね?」

『体に見合った食料か、大変だな。』


「んー、ドラゴンで注意しなければならないのはこんな所か。」

『他にもありそうだけど?』


「住処は別に好きにすればいいし、着るものなんて無い。裸で良いだろうからねぇ。」

『なんか落ち着かないけど、将来のサイズ的に無理か。』


「ついでに言うと、目的もないから自由に暮らしてどーぞだしね。」

『うーん。食料に難がありそうだなぁ』


「まあ、そこは頑張れ。空飛べるし。」

『そうだそうだ。人間変形ってできないの?そっちのが燃費が良いとか。』


「なんでせっかく竜として生まれたのに、下等生物に変形したがる?」

『下等生物って…』


「元々人間だったのは分かるが、わざわざ変形するほどの事じゃないだろう。」

『なんとなく、そっちの方がほら過ごしやすいかな?って』


「ドラゴンの寿命は永い。それこそ、人生100年生きながらえてたとしても、ドラゴンの方が圧倒的だ。それこそ人間の体でいる時間よりも長い。」

『た、確かに。』


「まあ結論から言うと出来ない。だ。」

『残念。』


「だいたい、人間になってどうするつもりだったの?」

『え、えー…ほら童貞で死んじゃったし。ねぇ?』


「ほうほうなるほど。なら普通に女のドラゴンと仲良くなればいいだろう?数が少ないんだから妥協はしてくれるさ。」

『だ、妥協って。でもほらドラゴン同士?ってなんか…ねえ?』


「ふーむ。まあエロいことしたいならそうだね、その辺の牛とかラミアとか捕まえてヤレばいいじゃん。」

『な、なんで!なんで牛とかラミアに!?』


「サイズ的な問題?いやそれでも足らないか。」

『どんだけ大きくなるのさ!!』


「そりゃー…ドラゴンだしね。」

『うおおおお、僕は人間の女の子と○○○な事したいの!!』


「牛もラミアもドラゴンから見れば下等生物だろ?どうして人間を特別視するかねぇ」

『元々人間だったって言ってたでしょ!』

「あーうん。そうだね。でも大丈夫。そのうちドラゴン的感性になるから人間にエロいことしたくなくなるよ。」


『えーー。それもなんだかなぁ。

 あ!でも、文明発達して銃器とかミサイルとかできたら俺死ぬ!』


「それは何年かかるのかな?それで死ぬならそれが寿命で良いし、死ぬのが嫌だったら今のうちに滅ぼせば良いんじゃない?」

『君、姿が人間なのに言うことが過激だねえ。』


「ほう、本能で私が人間で無いと分かるか。」

『いや、まあね。』


「さて、おおよそ説明したし、とりあえず最初の質問をしようじゃないか。」


「君は、このままドラゴンとして生きるか、地球に戻って輪廻をするか。どちらが良い?」

『ちなみに戻って輪廻だと、いきなりトカゲとかになってないよね?』


「判らない。そりゃー廻ってみないとねぇ。」

『よし、分かった!俺!このままドラゴンやります!』


「宜しい。では私は帰るとしよう。」

『説明ありがとうございました!』


「うん。では達者でな!」

『はい!』「ぎゃおう」


「ああ、それと早く飛べるようになって、逃げたほうが良いぞ。」

「ぎゃお?」


「完全武装の10名くらいの人間が山を登ってた。」

「ぎゃあああああおお!!」


「今の君なら…危ないかな。まあ、頑張れ!」

 そう言って幼女は消えた。


「ぎゃおおおおおおおうう」

 そんな事って無いよ!いきなりピーーーーンチ!


 逃げよう逃げねば。アタフタ



 こうして俺の竜生がはじまったぜ!


 マジ堪忍!!


終わる

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