悪夢のテスト期間

@parkour

第1話


「なぁキョン、お前最近ちゃんと勉強やってるか?」

なんだいきなり。お前はいつからそんなにまじめっ子になったんだ?

「はぁ?お前忘れたのか?もうテストまで1週間だぜ?」

あぁ…そういやテストって言う行事もあったような…

「なっ…テスト!?いつだ…いつからあるんだ?」

「だから言ったじゃねえか、1週間後だよ!!」

1週間後だと…いつもならそろそろ勉強でも、と考え始める頃だと言うのに。

はぁ…最近はSOS団のメンバーと色々あったからテストなど忘却の彼方だったぜ…サンキュー谷口…初めてお前に貸しができたよ。




そして今は谷口と一緒に学校に行く途中だ…全く朝から谷口の恋話とテストの話を長々と話されて鬱々真っ盛りだ…

にしてももうテストか…ちょっと前にあったような気がしたんだがな。

とするとテスト勉強を始めないといけないな…って言っても毎回ほとんどしないんだがな。まぁしようと思うんだが体がいうことを聞かないと言うか…とりあえずそんなのだからいつも赤点レーダースレスレを飛ぶ羽目になってるわけだが…

俺は気になって谷口に聞いた。

「まさかとは思うが…お前はもうテスト勉強始めてんのか?」

谷口はニヤッと笑って

「オウよ!!今回は頑張るつもりだからな!!」

お前は毎回そう言ってるじゃねぇか…いつも俺より成績下のくせして…だが本当に勉強しないとヤバい気がしてきた…でも今さら塾に行くのは手遅れ甚だしい。かと言って自ら進んで先生に聞きに行く気にもならねぇしな。

などと谷口の話を聞き流しながら色々物思いにふけっていると学校に到着した。そして教室に入るとハルヒがこっちを見ながら座っていた。

「よぉ、ハルヒ」

「おはよ。」

軽い挨拶をかわしいつもの席に座った。

このときはまだ気づかなかった…ていうか気づくわけがなかった。




俺はいつも通りかったるい授業を軽く聞き流し部室に向かっていた。そこ、ちゃんと授業聞けとか言うな!!これはれっきとした学習なんだぞ…睡眠学習と言うやつでな…と誰に向かってか知らないがグダグダと説明していると部室のドアの前に来た。やはり習慣とは恐いものだ…自然に足が部室に向かってしまう。

そして俺がいつもの癖でドアをノックする。

「はぁ~い」

予想したとおりのエンジェルボイスが聞こえた。

部屋に入るとまだ朝比奈さんしかいなかった。まだ誰も来ないだろうし俺はいつもの席に座り一眠りすることにした…





「こらっ、キョン!!あんた授業でも散々寝てるくせにまだ寝たりないの?」

俺はハルヒの怒声によって叩き起こされた。もっと普通に起こすことは出来ないのか、ハルヒ。

「あんた、あたしがとっても大事な話しているのに聞き逃すなんていい度胸ね。罰金の刑に処すわ。」

…俺はいつも罰金を受けているような気がする。




「まぁいいわ。これよりSOS団ミーティングを始めます。」

ハルヒが団長席の椅子の上に仁王立ちして高らかに宣言した。どうせそこまで重要な話じゃないだろ…

「さて、あたし達はそろそろテストと言う悪夢の期間を迎えます。勉強はしたくないですよね…でもするしかないのです!!だからどうせするなら楽しくしよう!!ということでSOS団勉強会を開催したいと思います。」

ハルヒが何故か丁寧な口調で言った。

ほぅ…ハルヒにしちゃ、なかなかいい提案じゃねぇか…

「だがどこでやるんだよ?毎日部室に通う気か?」

「いいえ、違うわ!!」

「ならどこでやるんだよ?お前の家にでも招待してくれるのか?」

ハルヒは聞かれることを待ってたかのごとく

「キョンの家に決まってるじゃない!!」

と言いやがった。

「それはいい提案ですね、涼宮さん」

おい、納得するんじゃない古泉。

「…いい。」

長門まで…ということは、朝比奈さんもだな。

「ごめんなさい、キョンくん。」

いえいえ、あなたのせいじゃありませんよ。

むしろ朝比奈さんが来るのであれば大いに歓迎いたしますとも!

「んじゃ次の土曜日、キョンの家に9時に集合ね!!遅れたら死刑よ。分かってるのキョン?」

分かってるも何も俺の家だぜ?遅れるわけがないだろ。


そしてこの日はもう解散ということになった。俺はまた1つ悩みが増えたな…などと考えつつ家に帰った…

まぁ、不幸中の幸いとでも言うべきか一人だと全くしない勉強ができるしな。

そしてまずは部屋の片づけをすることにした。そりゃ4人も来るし…女の子がいるんだからそれくらいは当たり前だろう。 俺は1時間ちょっと片づけをした後に寝た。



そして土曜日の朝、妹の殺人ダイブによって目覚めた俺は驚愕の事態を目の当たりにする…なんともうハルヒが来ていたのだ!!

「おい、ちょっと待て!!お前どうやって侵入したんだ?まさか窓からじゃないだろうな…」

「何言ってんのよ、アホキョン!!妹ちゃんに中に入れてもらったのよ!!」

くそ…我が妹め…

「お前はなんで先に来たんだ?」

「あんたが寝坊してないか見に来てあげたのよっ!!」

と少し怒り気味に言った…朝からそんな大声を出さないでくれ…まぁいい、ハルヒのおかげで寝坊はしなかったからな…そう考えることにしよう…

「ありがとうな、ハルヒ」

するとハルヒは意表を突かれたような顔をして

「えっ?なっ…何よ!!いきなり…別にお礼を言われるようなことはしてないわよ…」

その時のハルヒは何故か声がとても小さかった。




そして服を着替えて時計を見てみると…なんとまだ8時だ…確か集合時間は9時だったよな…やれやれ…だがこれで市内探索で俺がいつも最後になる理由が分かった。これは俺には到底まねできないな…

「まだ1時間もあるじゃねぇか…」

俺がため息混じりにそう言うと…

「いいじゃない。あんたは人より3倍頑張ってやっと普通の域なんだから」

…俺はそんなに成績がヤバイのか?それに気になることが… 

「なんでお前は授業中寝てばっかりなのにそこまで成績がいいんだ?」

「失礼ねっ!!あたしはちゃんと授業聞いてるわよ!!寝てもいいと判断したときは寝てるけど…」

その寝てもいいという基準はどこにあるんだ?

「ま、あんたには分からないでしょうけど…」

…おい、今のはグサッと来たぞ…正直分からないがな…

「…ところであんた朝ごはんは食べるの?」

ハルヒが袖を捲り上げながら聞いてきた。まさかハルヒが朝ごはんを作ってくれるというのか?ハルヒは性格こそヤバいが勉強もスポーツもこなすスーパーユーティリティプレイヤーとしても名高いやつだからな。

「…ハルヒが作ってくれるのか?」

「まぁ、団員が頑張るんだから団長はこれくらいの環境は整えてあげないとね。」

ありがたい、いつもなら食パン一枚で済む適当な飯がおいしい朝ごはんに変わるんだからな。

俺が顔を洗ったりしている間にいい匂いがしてきた…食卓にいってみると目玉焼きをはじめ色々作ってあった。これはかなり豪華だな…

「あんた、あたしの手料理を食べるんだから勉強頑張らないと死刑よ?死刑!!」

分かってるよ…こんな美味いご飯食べれるなら俺は毎日勉強を頑張ることが出来そうだぜ!!




そしてご飯を食べ終え時計を見ると8時30分あと30分か…でもあいつらのことだ、もうすぐ来るだろう…

それからすぐに家のチャイムが鳴った。するとすぐに妹が

「みくるちゃんだ~!!」

と叫ぶ声が聞こえた。それと同時に

「おじゃまするっさ~」

ととても聞きなれた特徴のある声が聞こえてきた。そう、この声は鶴屋さんだ…なんで来たのだろう?

「あ、鶴屋さんおはよう!!」

ハルヒが1番に挨拶した。

「やぁやぁ、おはよっ!!ハルにゃん勉強はかどってるかい?」

いえいえ、まだ始めてませんよ。にしても鶴屋さんはハルヒのテンションに負けないくらい高いテンションだな…

「何故鶴屋さんが来たんですか?」

「ん?そりゃみんなを見に来たのと、みくるの手伝いっさ!!」

…見に来たって言うのがちょっと気になりますが、朝比奈さんの手伝いですか…そういえば朝比奈さんは2年生でしたね…ハルヒが同級生のように接するから忘れてましたよ。

「それはいい考えね。あたしも思い浮かばなかったわ!!」

そりゃお前は朝比奈さんを年上と思っていないからな。

「なんか言った?」

「い~や、何も。それよりそろそろ始めようぜ?」

「…なんかキョンにしたらいい事言うわね。」

…なんだ?俺がダメ人間みたいな言い方じゃないか。

「それじゃあ始めましょ!!メンバーわけをしたほうが効率よさそうね。でも鶴屋さんとみくるちゃんは2年生だから2人ね。」

「こっちはそれでいいっさ~。みくるに教えるつもりで来たからね。」

じゃあ後は俺とハルヒと長門と古泉だな……これはもしかしたら3対1か?そんなんじゃつらすぎるだろ…ハルヒと長門が特にな…

「まぁキョンはあたしが教えるわ。ゴメンだけどそっちは古泉君と有希でやってくれない?」

珍しくハルヒが命令形じゃなく普通に物事を頼む態度で言った。

「こちらは別にかまいませんよ?少しあなたのそばから離れてしまいますが…」

古泉、変なことを言うんじゃない!!

「…別にいい。」

長門が数ミリうなずくのが見えた。


そして俺たちは勉強を始めた…ハルヒは自分がまとめたノートを手に持っている…表紙にはテスト用と書いてある。ハルヒでもテスト中は勉強してるんだな…

「ちょっと聞いてるの!?せっかくあたしのテスト用ノート見せてあげてるのに…」

「はいはい…すいませんね。団長さん」

俺は軽く流し本格的に勉強に打ち込もうと思った。

だが早速問題が解けない…と言うか問題が理解できない…こんな問題授業でやったか?

俺が数十分苦悩していると…

「ったく、こんな問題も解けないの?これはこうするの!!」

ハルヒはいとも簡単に問題を解きやがった……

さすがは学年トップクラスの頭の持ち主だ。ってか長門も古泉も学年ベスト10には入るだろう…

この団でアホなのは俺だけか…せめて古泉くらい見返してやりたいぜ。

「ほら、ぼけっとしてないで早くほかの問題にとりかかりなさいよ!!」

ハルヒがせかしてきた。

まぁ俺もあんなに美味い朝ごはんを作ってもらったんだし、今日は頑張らないと何か罰が当たりそうだ…

「キョン、今日はちゃんと勉強できたか確認するために最後にあたしが作ったテストするからね!!」

「何!?テストなんかやんのか?というかお前が作ったテストだと?」

ハルヒが作ったテストなんてのセンター試験以上に難しいんじゃないか?

「そうよ?あたしが作ったの!!大丈夫。そこまで難しくないわ。ちゃんと先生が出しそうな所を抜粋したわ」

先生の考えを見抜いているとでも言いたげだな。だがしかし、ハルヒの勘が恐ろしく当たると言うのもまた事実だからな。




そしていろいろハルヒからレクチャーを受けながら俺は問題を解いていった。

…コイツ普通に先生より教え方うまいじゃねえか!!

「あら、あんたもやればできるじゃない。」


俺はいつの間にか以前の俺なら解けないような問題が解けるようになっていた。この調子でいけば今回のテストはなかなかいけるんじゃないのか?などと一人想像を膨らませていると

「あんたこれくらいで喜んでちゃだめよ?まだ似たような問題しか解いてないんだから。いきなり応用問題とか出たら手も足も出ないわよ。」

そう言われればそうかもしれない…でも今日1日この調子で頑張ればできる気がする…



ふと時計を見るともう時計は11時半を回っていた。

「ん…もう昼か、なかなか集中してたら時間が過ぎるのは早いもんだな。」

俺が背伸びをしていると

「もうだめです~。」

と可愛らしい悲鳴が聞こえた。俺はその悲鳴のほうへ顔を向けると机に突っ伏している朝比奈さんが目に入った。

すると鶴屋さんが

「ったくみくるはだらしないっさね~。これくらい解けなきゃダメにょろよ~。」

と笑いながら言っていた。

そして俺はもう1組のほうを見てみた。まぁあいつらは勉強などしなくてもいいんだろうが…


…俺は自分の目を疑った。長門がノートをとっている……しかも古泉の話を聞いてだ。まさか、長門にも分からないところがあるのか?

長門は後ろから俺が覗いているのに気がついたのか少しノートを隠すような仕草をとった。

「すまん長門。俺が見ちゃいけないないようだったか?」

俺はなんだか悪いような気がしたのでとりあえず謝っておいた。

「…別にいい。」

と長門は俺にノートを貸してくれた。俺が中を見てみると……

「なんだこりゃ?」

「古代………」

長門がなんだかものすごい難しいことを言った…いったい何の勉強してたんだ…

「この話はですね…」

案の定説明好きの古泉が口を挟んできた。 説明されても多分分からんぞ。

「まぁ、少々あなたには難しいかもしれませんね。」

古泉は口の端にむかつく笑みを浮かべながら言った。

まぁ俺は分からないさ。なんでもこの団の中で唯一の平凡な一般市民なんだからな。少々理解してみたいという気がないことはないんだが……



「さぁ、昼ご飯作るわよっ!!」

ハルヒが言い放った。そうか…今日はハルヒ達が作った昼飯が食えるのか。

「ほら、有希、みくるちゃん行くわよ!!鶴屋さんも手伝ってね。」

「まかせとくっさ~」

鶴屋さんがドンと胸を叩きながら言った。

そういえば鶴屋さんや朝比奈さんの手料理は食べたことがないな…俺は内心とても楽しみだった。

「何やら楽しそうですね。」

横から声をかけてくるやつがいた。

「実はお前も少なからず楽しみなんじゃないのか?」

俺がそう聞くと古泉は両手を広げ“驚きました”と言ったしぐさをして見せた。

「あなたもなかなか鋭くなってきましたね。」

これを楽しみにしないやつがどこにいるってんだ?

「そりゃ、ハルヒ達の手料理を食べれるんだから嫌でもテンションが上がるぜ。」

俺は少しあきれた風に言ってやった。


ハルヒ達はキッチンに行ってからなにやらわいわい騒いでいたが途中から真剣に作り始めたのか静かになった。


ハルヒ達が頑張っていること俺と古泉は息抜きのボードゲームをやっていた。

相変わらず弱すぎるぞ古泉…

俺と古泉がボードゲームをしている間に料理は出来上がったようだった。

「冷蔵庫の中のものだけで作ったからあまり色々できなかったわ。」

ハルヒがリビングに顔だけだして言った。

…そのときのハルヒの姿は忘れるはずもなく俺の網膜に焼きついた…まさかエプロンしてポニテとは…

そして俺の家の食卓に全員で着席した。

…俺の家の冷蔵庫に残ってたものってこんなにいいものばっかりだったか?

俺は食卓の上に並んでいるかなり豪華な料理を見回していた。

なんだか見たことない料理まであるんだが…

「さぁ、食べましょう!!」

ハルヒが言った。

「早速食べるっさ!!みんな残しちゃだめにょろよ。」

鶴屋さんが言った。こんな美味そうな料理残すはずもないぜ、みんなの手料理でもあるしな。


そして俺たちは午前の進行具合や今の成績などの話をしながらわいわいと昼ご飯を食べた。

やはりこうして大人数で食卓を囲むと楽しいな。


…これは思った以上のボリュームだぞ…全部食べきることができるのだろうか…それとハルヒ…もう少しゆっくり食べられないのか…何かと競争しているようにも見える。





…やべぇ、少し食いすぎたかも知れん…俺はリビングに行きごろんと横になった。

午前に使わない頭をフルに使ったからか横になるとかなり気持ちよかった。

時計を見るとすでに1時を回りそうな所だ。

俺は昼からの予定とかを色々考えながら片づけをしているハルヒ達の背中を見ていた…






「…ョンッ!!…起きなさいよっ!!!」

俺は物凄い大音声で叩き起こされた…俺はいつの間にか眠ってしまっていたようだ。

「あんた今何時だと思ってんの!?」

俺は鼓膜に穴が開くんじゃないかと思うような声を聞き流しながら時計を見た。

…時計はすでに17時半を回ったところだった…

「テストはもうすぐなのよ?あんたのそのダメな頭じゃ今からやってちょうど普通なんだから!!」

心配してくれるのはありがたいが、何故か物凄い侮辱されてる気がしてしょうがない…でも3倍やらなくても大丈夫なくらいにはなったようだった。

「ならハルヒ…無理にでも起こしてくれたらよかったんじゃないか?」

俺は反撃してやった。

「そ…そ、それは…あんたがあまりに気持ちよさそうに寝てるから……」

ハルヒの声はいきなり小さくなった。

「べ、別にあんたの寝顔が少し見たかったからとかそんなしょうもない理由とかないんだからっ!!」

誰もそんなこと聞いてないぞ、ハルヒ。



「みんなはどうしたんだ?」

「勉強が一段落したから帰ったわよ。」

ハルヒがサラダの入ったお皿を運びながら答えた。

そうなのか…すでにみんな帰ったのか…


「…俺は昼から全く勉強してないことになるな。」

俺は何当然のことを言ってるんだ、と思った。

「だから今からもう一度勉強するんじゃないっ!!」

ハルヒが言い放った。

「いいのか?お前も一人で集中して勉強した方が…」

俺の言葉はハルヒによって途中で遮られた…

「SOS団はみんな揃ってこそSOS団なのよっ!!だから今一番ヤバイあんたが勉強しないといけないのよ!!」

ハルヒが俺をビシッ!と指差しながら言ってきた。

少しひどい物言いだったが俺は内心…そうか…そうだよな、と納得した。





結局俺とハルヒは20時ごろまで勉強していた。


「よし!!後この問題解けたらおしまいね。あんたも真剣にやれば結構出来るんじゃないの?」

「俺はいつでも真剣にやっているつもりなんだが…」

それから俺は自分でもびっくりするほど勉強をしたと思う。

SOS団の勉強会やらハルヒの特別授業やらをほぼ毎日こなした自分をほめてあげたいくらいだぜ。



そしてあっという間にテストが始まって…終わった…

なんでテストとかをしていると一瞬で時間が過ぎてしまうんだ、ハルヒ達と勉強している時はもっと長く感じたのに。

まぁ、早く終わってくれた方が気が楽でいいがな。

そして、結果から言うと成績は前よりも上がっていた。まぁ、全体で見るとあまり良くはないんだが…赤点レーダーを気にする必要はないくらいの点数は取れた。

やはりハルヒに教えてもらったところはしっかりと出来ていた。



これからのテストもこれくらい集中できるのか物凄い不安になったが今はこの赤点レーダーから逃れられたことを素直に喜ぶことにした。

まぁハルヒのことだからまた次のテストでも勉強会とかやるだろう…やらないのであれば俺が計画してみてもいいかもしれない。




「やっぱりあんたが成績最下位ね。そんなのだから雑用係のままなのよ。」

放課後部室でハルヒに成績表を見られていた。

俺とお前たちと比べて欲しくないな。

これでも以前よりはよくなったんだ。少しは褒めてもらいたいくらいだぜ。

俺は内心ではこれからも頑張っていこうと思っていた。雑用係をやめたいからとかそんなしょうもない理由じゃない。ハルヒ達と過ごす毎日が楽しいからだ。

勉強は好きには一生なれそうにないが、みんなでワイワイしながら勉強したりするのは楽しかったし、かなり濃い毎日を過ごせていたんじゃないだろうか。

俺は色々なことを考えながらいつもの席に腰かけ机に突っ伏すようにして目を閉じた。




そうして毎年嫌だと思っていた悪夢のテスト期間は一瞬にして過ぎていったのだった。

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