ひとかけ
赤味かかった若い芽が緑にのびていく様は無関心な俺でも和む。
ん?
なんで、そんなに悲観的か楽観的かわからない思考回路なんだって?
失礼な。
もちろん、俺は楽観的だ。
悲観的になる要因を持ってないからな。
ひとなんざ欠けてるもんだし、欠けていないヒトはいねぇ。
あぁん?
ヒトが一番満ちたまんまるでいられんのは母親の腹の中さ。
生まれ出たその時から欠けていく。
欠けた部分を補うのは別の人。
誰かに合わせるために自分をもっともっとと削っていく。
川下の石になるほど角がなくなるように。
社会って川の流れで削れて欠けていくのさ。
つまり中には弾かれる石も沈んで動けない石も出てくる。
俺は川べりで流れに乗りそびれた石なんだろうさ。
いや、もしかしたら流れに乗ってるのかもしれない。きっと、他の人の欠け方なんか見えないから。
うまくハマれなくみえるハマり方なのかもしれないからなぁ。
え?
わけわからない?
安心しろよ。
俺もだから。
ただ、ヒトは欠けていく。
欠けていくから人と合わせられるんだ。
硬すぎても柔軟過ぎても相手によるんだ。
しかも、その相手だっていろんな面があるし、同じであり続けることもない。
ぶつかってすりあって削れて欠けていく。
常に変わっていくから今、合わせることができなくても先に希望はあるかもしれない。
ん〜?
理解されることを期待するのかって?
しないな。
でも、お前が期待するなら、きっとどこかでまだ期待しているんだろうな。
たださぁ、誰かに期待する前に俺は俺に期待できない。
そんな俺に誰が期待をするって言うんだ?
自分に期待を持たないくせに期待してくれだなんてありえないだろ。
自分以外のために生きるっていうことは自分のために生きることができてはじめて進むべきだと思うさ。
自分以外の誰かのために俺は時間をかけない。
え?
なにもしないのかって?
うーん。
他の人のために行動はしないな。
困って見える人に声をかけることはあってもそれは俺の自己満足だ。
その行動でもし、ありがとうがもらえたら嬉しい。それだけだろ?
それはその相手の為の行為ではなく、力になれたことによって自己が満たされる自己満足に過ぎない。
つまり、俺の為の行動でしかない。
誰かに手を貸したいっていう自分の欲求を満たす自己満足だ。
そこに相手がどう思おうと俺には関係ないことだろう?
俺じゃない存在の思考は俺の責任の外だ。
自分以外のために生きて行動しろって言うのはさ、相手の反応を希望した時点で自分のための行動だ。
相手が無反応であってもそこに自己の満足があるなら、自己の為の行動だろ?
誰かのために行動したって押しつけじゃないのか?
自分以外のために行動するそこに自分の意思がないなら、それはひとなんだろうか?
自分の意志で行動するならそれは自分のためだろう?
そのおまけで他の人も助かったり、喜んだりするだけでさ。
俺には関係ない。
人は欠けた存在だ。
だからこそ満たされることを望む。
ひとりでは、ひとかけのまま。
誰かがいれば満たされあえる可能性はある。
俺は満たされることを望むんだろうか?
なぁ。
ひとかけでいいだろう?
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