エロいオーク


 ダンジョンの最深部を目指すミツバは、エンカウントするモンスターをことごとく葬った。

 そもそも、1人でダンジョンに挑む冒険者は少ない。

 冒険者には、個人の特性やジョブの組み合わせなどによって、得手不得手が存在するものだ。彼らは、数人のパーティーを組む事で、弱点を補い合うのだ。

 高レベルの冒険者が低レベルのダンジョンに潜るのであれば、ソロでも問題はないだろう。しかし、このダンジョンは、ソロでの踏破は難しいはず。

 ミツバが1人でここまで来れたのは、スレイヤーという特殊なスキルのおかげでもあったが、彼女の力量が高いからだ。

 今もまた、女騎士の天敵であるエロいオークを斬り伏せたところである。攻撃力の高い敵だったが、攻撃は大振りでスキが大きかった。ミツバが苦戦するような相手ではない。

 ところが。

 オークのコアを回収した辺りで、困った事になった。

「オシッコしたくなっちゃった……」もじもじ

 MP回復用のポーションを飲み過ぎたせいか。飲み過ぎの原因は、MPの消費量が大きいスキル(スレイヤー)を何度も使用した事である。

 ポーションも液体なので、たくさん飲むとオシッコしたくなるのだ。

 そして、ダンジョンにはトイレがない。


 Q:どうして、ダンジョンにはトイレがないの?

 A:元々、ダンジョンにはトイレがありません。

   トイレを設置しても、モンスターに壊されるのがオチです。


 Q:トイレがないなら、どこでオシッコするの?

 A:その辺です。携帯トイレを使う冒険者もいますが、少数派です。


 Q:トイレがないなら、どこで●●●するの?

 A:その辺です。ダンジョン内でした●●●は、いつの間にか消えます。

   ●●●が消える理由は不明ですが、研究はあまり進んでいません。

   オシッコも、時間が経つと消えます。


 Q:その辺って、どの辺?

 A:脇道的な場所です。大通り的な場所でするのは、マナー違反になります。


「脇道がないよぉ……。一本道だよぉ…………」

 ミツバは先に進む事にした。先に行くほど、強敵と遭遇する確率も上がるのだが。

「うがあああ!」

 エロいオークが現れた。

「邪魔っ!」

「うごぶべらっ!」

 エロいオークは一刀両断された。

 ミツバはダンジョン攻略を続ける。オシッコできる場所を探して──。

「今度からは携帯トイレを携帯しよ……」

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