※77 後悔なんてしてません1
白うさぎの着ぐるみも子リスのそれと同じで、あちこちに隠しポケットが仕込まれていた。
「…………んっ、あ」
着ぐるみを着たままなのに、ポイントをついて触れてくる久志の手の感触があまりにもリアルで、夏樹はあっという間に自分の体に触れてくる手に翻弄されてしまった。
「夏樹」
「や、あ……ん」
腰の辺りから差し込まれた久志の手が、夏樹の体のラインをなぞるように下から上に向かって脇腹をゆっくりと撫であげた。
久志の大きな手のひらは、小柄な夏樹の体など簡単に覆ってしまう。
ポケット越しでさえわかる滑らかな肌の感触を楽しむかのように、久志の手が夏樹の体の表面をさまよう。
時折久志の指先が悪戯に脇腹を擽り、その度に夏樹は漏れ出そうになる声を必死で堪えながら体を捩った。
「や、久志さ……あ、やめ……んっ」
平らな肌の表面の、そこだけプツンと指に引っかかる控えめな粒を、久志が親指の腹で押しつぶすように捏ねた。
「――ひっ、あ」
久志の指先が小刻みに動くたびに夏樹の腰がビクビクと揺れる。
夏樹自身、普段は特に意識していない場所なのに、久志にそこを触られると、これまで経験したことない感覚が夏樹の背筋から腰にかけてゾクリと駆け抜ける。
「や、だっ……やめ……」
「どうして?」
「――ん、だって……」
女の人のような柔らかな膨らみなど全くない平らな男の体だ。
単純に久志に触られて恥ずかしいのもあるが、自分の体なんて何の面白みもないのに、触られたことで感じてしまっている自身をこれ以上久志の目に晒したくない。
漏れ出る声の合間、途切れ途切れではあるが久志に夏樹がそう告げると、久志はふっと目を細めて優しげに微笑んだ。
「何を心配しているのか知らないが、私にとって君ほど私の劣情を煽る人間はいないんだよ。その証拠に――――ほら」
久志は夏樹の胸元から片手を抜くと、そのまま夏樹の手首を掴み自分の足の付け根へ導いた。
「――――あ……っ」
衣服越しではあるが、久志の熱に触れた夏樹が驚いたように手を引っ込める。
「あ、あの、久志さん……」
「わかっただろう? 私の手で君が感じている姿を目にするだけでこうなってしまうんだ――――君だって……」
「えっ!? あ、や……んあっ!」
久志はそう言うと、夏樹の脚を割開くように膝を進め、すでにその形を変えている夏樹の中心に膝頭を押し付けた。
「や、や、です……やめっ……」
「本当に? やめてもいいのかい?」
「あ、あ……あ」
少し毛足の長い白いボア生地の中に膝を埋め、夏樹の昂ぶりへ刺激を与えながら久志が楽しそうに訊ねた。
夏樹がやめてと言っても、久志にはやめる気などさらさらないのだが。
着ぐるみ越しなのに、久志の膝は的確に夏樹のポイントをついてくる。
直接握って擦りたい。いくらポイントをついていても着ぐるみ越しでは、どうにももどかしい。
自分の手で直接刺激を与えたいのに、夏樹の両手は久志の手によって纏められ、頭の上で拘束されている。
過ぎる快感に耐えられず、夏樹の目尻から涙が溢れた。
「――夏樹」
久志が溢れた涙をキスで拭い、そのまま唇を塞ぐ。涙でしょっぱいキスだ。
拙いながらも夏樹はそれを受け入れ、口腔へ侵入してきた久志の舌へ自分のそれをぎこちなく絡めた。
二人きりの寝室に、二人分の唾液が立てる水音がやけに大きく響く。
「ふっ、ん……ん……っ」
いつの間にか夏樹の両手の拘束は緩んでおり、夏樹の両腕は久志の首に回されていた。
舌を絡めながら、久志の手が夏樹の背後へ回る。
久志の手は夏樹の腰骨を撫で、そのままお尻についている丸い形のうさぎの尻尾を掴んだ。
「んっ――――ん?」
久志の唇が夏樹からゆっくりと離れる。
濃厚なキスにすっかり酔ってしまった夏樹は、二人の間を伝う細い唾液の糸を呆けたように眺めており、そんな恋人の様子を久志が笑を浮かべながら見ている。
「夏樹、可愛いよ」
瞬きで応える夏樹の額へ久志がチュッと音を立ててキスをした。そして夏樹の鼻の頭に白くてふわふわしたものが押し付けられた。
頭に「?」を浮かべながら、夏樹がそれを手に取る。
「――――尻尾?」
「当たり」
「え? っ、あ……っ」
悪戯が見つかった子供のようにニヤッと久志が笑ったのと同時に、尻尾がついていた場所から久志の指が着ぐるみの中へ入ってきた。
中に入ってきた指が迷うことなく夏樹の後ろに触れる。
片方の手で着ぐるみの上から双丘を割り開き、露わになった蕾をマッサージするように久志の指先が前後する。
異物を受け入れるには夏樹のそこはまだ固い。だが、久志の指先がその表面に触れるだけで、昂ったままの夏樹の中心はまるで期待するかのように、先端から透明の蜜を零した。
「や、あ……あん」
夏樹の様子を見ながら、久志の指先が夏樹の中へほんの少し入ってきた。
「――っ、やっ、あ」
初めて異物を受け入れた夏樹の眉間に皺が寄る。
自身の昂りから溢れ出た蜜が後ろへ伝って濡れてはいるが、初めての夏樹にはまだ足りないようだ。
「何か濡らすものは……」
顔を上げた久志の目がコーヒーゼリーの入った袋を捉えた。
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