第7話 商人(あきんど)

 さて、戦国大名になることを決めた俺だが果たしてどうやって戦国大名になろうか考えていた。そもそも、勢いとノリで決めたのだが果たして本当に正しい判断であったのだろうか。

 群馬の戦国大名のことについて詳しく知っておくならばならしも全く知らない状況で動くことはやはり不可能なのか。この時代の群馬の歴史について知っておけば本当に良かった。

 ああ、これならばもっと戦国時代についてものすごく詳しい茜の無駄話だと思っていたあのうんちくすべて聞いておくべきであったな。

 じゃあ、何もできないじゃん。

 俺は気づいてしまった。これでは何もできない。動くことすらできない。

 今までの情報から言えることはこの時代は本能寺の変の前。

 滝川一益が群馬に来ていることはわかった。

 俺の浅い知識でも言えることは群馬に関係している大まかな大名のことだけ。きっと、北条か上杉の家臣が群馬の城にいるはずなんだけど。そもそもここが群馬のどの位置かにもよる。

 沼田や吾妻地域だった真田、水上だったら上杉。南部だったら北条。もお、考えるだけでめんどくさい。誰かこの村にわざわざ領主を連れてきて紹介してくれ。わからなくって困っているんだぞ。

 混乱が収まらに。どうすればいいんだ。大名にもなれないとなるとすべてが終わりだ。

 そこに運が良かったのか。誰か人が来た。

 男だった。背中には大きな連雀を背負っていた。連雀とは縄で編んだ鞄のようなもの? でその中に商売道具を入れて全国を承認が歩き回っていたと確か授業で言っていたような気がする。

 商人は物見やぐらにいる人に中に入る許可をもらうとそのまま村の中に入ってきた。

 しめた。

 俺はそう思った。

 商人であるのならば全国どこへでも行っているはずだ。つまりは、世の中の情勢について理解しているはずだ。どこにはどの大名がいてとか、ここと向こうの大名は仲が悪いとか知っているはずだ。むろんここまで来て商売をするとなるとこのあたり一辺の領主の名前だけでも知っているはずだ。それで少し今後どうするかのヒントにしていきたい。

 俺は、商人に会うことにする。

 商人は村に入った後すぐさま村の集会所に向かったようだ。

 村の集会所。いわゆる広場というか公園みたいな場所だ。この村において重大な事件が起きたりした場合はすぐさまそこに村民全員村長が集めるらしい。ただ、まだその場には立ち会っていないので本当にみんな来るのかは知らない。

 ちょ、ちょっと気になる。

 集会所の広さはおおよそ小学校の教室1クラス分ぐらいだ。そんな場所に村民全員はいるのか。だから、結構気になっている。まあ、どうでもいいよね。うん。今は商人に会うことにしよう。

 俺は集会所の入り口で村民がみんな集まっている中かき分けて商人に会うため動き始めた。


 ってか、つらいつらい。これ満員電車か!

 村民が密集しすぎてつらかったです……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る