「なら、決まりだな。俺も仲間だ」
「えっ」
驚くミャイに、ゴンがニヤリとする。
「それがいちばん、手っ取り早いだろう?」
「それは、そうだけど……」
予想外の展開だったらしく、ミャイはオロオロと私を見た。なにをそんなにうろたえることがあるのか。
「専門家が協力をしてくれるのならば、これ以上の良案はないのではないか」
「……うん」
どうにも承服しきれぬとミャイの顔に書いてある。いったいなにが不満なのだろう。
「どうした、ミャイ」
「だって、私とモケモフさんの冒険なのに、大人が混じっちゃうんだもん」
それがどう気持ちの不具合につながるのかがわからない。だが、ゴンにはそれで通じたようで、彼は豪快に笑うと私の背中を愉快そうに叩いた。
「まあ、そう言ってくれるなよ。なあ、モケモフさん」
「う……」
叩く力が強いので、息が詰まって返事ができない。そうでなくとも、なにを言えばいいのかも、どう判断をすればいいのかもわからないのだが。
「俺も仲間に入れてくれ。そういう家があるってんなら、調べてみてぇからな」
ミャイが妙な顔で私を見る。反対してほしそうでもあるし、賛成してほしそうでもあるその視線にどう答えるべきか。
しばし悩んで、私は組み立てられていく家を見た。骨組みの上で作業をする犬や猫をながめながら口を開く。
「手伝ってもらうとしよう」
ゴンがしたり顔でミャイを見る。ミャイは複雑な顔のまま「モケモフさんがそう言うのななら」とつぶやいた。
「なら、決まりだな。俺も仲間だ」
「でも、棟梁。お仕事が終わらないと行けないでしょう?」
ミャイが唇を突き出す。そりゃまあそうだとゴンが答える。私は骨組みだけの家を見ながら、どのくらいで完成するのかボンヤリと考えてみたが見当もつかなかった。
「だが、何日も滞在するわけじゃあないんだろう? ミャイの両親は滞在探索を許可したのか」
ううん、とミャイが首を振る。
「なら、仕事の休みに出かければ問題はないわけだな」
「お休みの日なんて、あるの?!」
目をまるくするミャイに、おいおいとゴンが苦笑する。
「俺だって休まなきゃ、体がもたねぇさ」
なあ、と同意を求められ、よくわからないままにうなずいた。
「つまり、次のゴンの休日に出かける、という形でいいのか」
「そうできりゃあいいだろうが、それまでに情報収集も必要だろう? どんな道具を持っていきゃあいいのか。それを運ぶために、どのくらいの船がいるのか。船の大きさがわかったとして、そんな船があるのかどうか。いろいろとやっておかなきゃならねぇ準備がある。そうだろう、ミャイ」
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