「私は、もともと夜行性だ」

 さきほどの店員とは違う、年のいったメス猫が出てきた。色は白。毛は私のように長く、目は青色に輝いている。

「あの、ハムスターのモケモフさんですよね。固い木の実も簡単に割ってしまえるという……」

 おずおずと問われ、うなずく。

「私は、ここの店主でミョミョルと言います。ちょっと、奥でお話をさせていただけませんか」

 困った様子のミョミョルに、私とミャイは顔を見合わせた。

「仕事の依頼だろうか」

「はあ……、まあ、そんなかんじです」

 歯切れが悪い。はっきりと言えない理由があるのだろう。

「では、聞こう」

「あ、いえいえ。その、いまではなくていいんです。うちの店が終わったあと、お伺いしてもよろしいでしょうか」

 ミョミョルがちらりとミャイを見る。

「お店は、遅くまで開いているのでしょう?」

 ミャイの店を知っているらしい。

「モケモフさんは、遅くまで起きていらっしゃいますか」

 心配そうに問われた。

「私は、もともと夜行性だ」

「えっ。そうなの?」

 おどろくミャイにうなずく。

「そうだったんだぁ」

 どういうわけか、このケージに移動してから昼のほうが行動しやすくなっているが、そうだ。

「それでは、お伺いさせていただいてよろしいですか」

 うなずきながら、持ち帰りでふたつ、と注文をした。

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