2-1-4) エンチャントと地上探索1
拠点に帰った俺達は農場で小麦を収穫し、手に入れた鉱石を片っ端からかまどに放り込んだ。
そして......
「やっとこさエンチャントテーブルが作れるな」
「楽しみー!」
俺はネットでエンチャントテーブルのレシピを見て材料を揃える。
黒曜石4つ。
ダイヤ2つ。
本1つ。
...
......
............
「あああああああああああああああああああああ!!!」
「えええ?何?何??急にどうしたの?」
「本が必要だったんだ...」
「え?」
「"本"が1つ必要だったんだよ」
「じゃあまだ作れないの?」
「いや、今から本の材料を集める」
俺は早速ネットで本のレシピを検索する。
必要なのは革1つ、紙3つのようだ。
革は既に牛を倒した時に手に入れている。
後は紙だけだ。
「紙はサトウキビから作るんだっけか...」
「あれって確か水辺にあるんだよね」
「確かそうだ。よし、川に行ってみるか」
俺たちはバケツで水を汲んだ川に向かう。
記憶が正しければ確か川辺にあったはずだ。
拠点を出た時は既に夜だった。ベッドで寝て朝になってから出かければいいのだが、ついでに川までの道を湧き潰しするためそのまま出発した。
「ダイヤ剣だと簡単に敵が倒せて楽だわー」
「ロストだけはしないでくれよ」
「あいあいさー」
ロゼを先頭にしてどんどん進んでいく。俺はたまに弓で援護するだけでだいたいロゼが狩っている。今頃経験値がたくさん溜まっていることだろう。
特に危ないこともなく川へ辿り着いた。暗くて遠くがよく見えないがしっかりサトウキビが植えてあった。
「あったあった」
「良かった〜」
高さが3のサトウキビが計4本。合計12個のサトウキビが手に入った。これで十分な紙が手に入るだろう。
サトウキビを手に入れた俺達は拠点へと帰ってきた。
手に入れたサトウキビ12個の内9個を使って紙を3つクラフトする。紙3つと革一つで本の完成だ。
これに黒曜石4つとダイヤ2つを合わせて...
「エンチャントテーブルの完成だ」
「やったー!」
「よし、早速エンチャントするか」
「いえいー!」
「......ん?」
「あれ?できないの?」
「何か足りないらしいな...」
「またー?今度は何が足りないの?」
「調べてみる......っと、"ラピスラズリ"が必要みたいだ」
ネットで調べたら簡単に分かった。ラピスラズリという青い鉱石が必要らしい。
「ラピスラズリ......持ってるか?」
「持ってないよ〜そんな鉱石」
「じゃあ無理か.......」
「えー」
「しかしどこかで見たことあるなーこれ...ん?」
俺は部屋に戻ってチェストを開けてみる。すると、そこにはラピスラズリが1個、入っていた。
「......へ?」
「なんだ、あるじゃん」
「いや、いつ手に入れたんだろ...」
「一回目の探索の時じゃない?」
「いやでも掘った覚えはないな......あ!」
そうだ。掘らなくても手に入る方法があったじゃないか。
「クリーパーに掘ってもらったのか!」
「あー.....」
「クリーパー様ありがとうございます」
危うく死にそうになったことなどとうに忘れているが気づいてない。
「何はともあれこれでエンチャントができるな」
持ってたラピスラズリは2つ。2つエンチャントができる。
「やっとかー!」
「やっとだよ......何にエンチャするか」
「まずは剣かなー」
「俺は弓にやるかな」
結局攻撃武器にエンチャントすることになった。生き残るためだ、仕方がない。
「30Lv溜まったらピッケルにエンチャしたいね〜」
「そうだ、ダイヤ剣は30Lvエンチャに残しておいたほうがいいかもな」
「あ、そうだね......じゃあ鉄剣だね」
それぞれエンチャントをする。
「"ダメージ増加I"だって」
「"射撃ダメージ増加I"か...」
お互いに攻撃力が少し上がるエンチャントがついたみたいだ。Lv1エンチャントだし仕方がない。確か、高レベルのエンチャントには本棚が必要だったはずだ。サトウキビを増やして大量生産しないとな......
こうして初エンチャントをした二人であった。
その後、農場を拡大して余ったサトウキビを植えた二人は......
「さあ、次は地下じゃなくて地上だ」
「あいあいさー。隊長、目標は何なのでしょうか」
「目標はスイカの種、じゃがいも、村、後は馬だな」
「ほほー。今回で全部見つけるんですか?」
「全部は無理だろう。今回は一つでも見つけたらokとする」
「あいあいさー、であります!」
......とまあ、変な茶番をしているがこれもしっかりとした会議の一つである。これから俺たちは地上探索をやることにした。パンが美味しいならスイカも美味しいだろう、という勝手な想像からスイカの種を探そうということになり、同じ理由でじゃがいもも探すことになった。また取引のできる村人がいる村では様々なアイテムが手に入り、しかも本棚が手に入る可能性があるためこれも探すことになった。最後の馬は単に移動がめんどくさいからである。サドルがないので乗ることはできないが確保できれば嬉しい。
地下探索と同じような装備をして、拠点を出発した。まずは拠点から西側に向かって進む。
「地下と違って敵がいないから楽だね〜」
「クリーパーとかは燃えないから注意だぞ」
「一応鉄装備を着てるしダイジョブダイジョブ」
「どう見てもフラグだぞ...」
「もう、カイ兄ったら古いんだ」
「......お前もな」
今時フラグなんて言葉を使ってる人は皆無だ。だがマイクラを楽しみにしていた俺達は大昔の動画を漁っていたため随分と言い回しが古臭くなってしまった。正直友達と会話しててふいに昔の言い回しをしてしまうと恥ずかしいが、不幸中の幸いか友達はそのネタを知らないので大体スルーされるのでラッキーだ。
「まあ、死んだらアイテム拾っておいてね」
「俺が生きてたらな」
「カイ兄弱いもんね〜」
「わかってても言われるとグサッと来るな」
そりゃロゼからしたら俺は下手な方だけど、これでもまだやっていける方だぜ?
と言おうとしたが、言ってもどうせ変わらないし、なんだか以前に同じ話をした気がしたのでやめておいた。
道中おいしいパンを食べつつ捜索を続ける。デニッシュパンも美味しいがずっとこれだと飽きそうだな。誰か食料の味を変えるリソースパックを配ってないだろうか。後で探してみよう。
すぐに目標の一つは見つかるだろうと思っていたが案外見つからないもんだな。
意外と時間がかかりそうだ、と思った矢先、
「お!はっけ〜ん」
「おお〜」
「アレが"村"、だよね?」
「多分そうだな、てか家なんて村以外にできないだろ」
実際は魔女の家などがあるらしいがこの際おいておく。
「お、第一村人発見!」
「ま〜た古いネタを...」
「古くないよ、最近ずっとやってるじゃん」
「そりゃそうだけど」
...なんて言ったっけ、"ダーツの旅"?だったか。
最近流行りの"レトロジャンル"で昔のテレビなんかを再現してるらしい。
俺がお気に入りなのは"水曜どうでしょう"と"鉄腕ダッシュ"ってやつだ。
前者の方は5人組で日本中を旅している。確か元ネタの番組は4人組だったかな。
行先をルーレットで決めていて出演者もどこに行くか分からない、という企画で、ウケを狙っているわけではないのに何か面白い、そんなところが売りの番組だ。
後者の方は若いころ大ブレイクした、今は30過ぎた壮年のアイドルグループに様々な企画をやらせるってやつだ。歌って踊るだけじゃウケなくなったグループが、今はもう見ない人が運転する車で日本一周したり、自動化されてやる人のいなくなった農業を土地を借りてやったり......なんというかアイドルグループがやるような企画じゃないことをやっている。だけどそこが視聴者にウケたらしく、視聴率は毎回とても高い。俺も毎週楽しみにしてるクチだ。
とまあ話がそれてしまったが、無事に目標の一つである"村"を見つけることができた。
「さあじゃがいもあるかな〜」
「あったら一気に二つ達成だな」
「後は鍛冶屋かな、ダイヤあるかも」
村にはいろんな家があるが、その中でも特徴的なのが鍛冶屋だ。
屋根が焼き石のハーフブロック、入り口には溶岩とかまど。ドアはなく部屋の中にチェスト。そしてこのチェストの中にはたまにダイヤが入っているのだ。その他にも鉄の装備や道具なども入ってることがある。
遠目でもわかりやすいその鍛冶屋の外見は、村に入る前からその存在を俺たちに知らせていた。
「鍛冶屋はあったね!」
「大きい畑もあるしじゃがいもも手に入りそうだ」
「じゃがいも♪じゃがいも♪」
芋料理が好きなロゼは前世はゲルマル帝国人だったのかもしれない。
予想通り、鍛冶屋とじゃがいもの畑があったその村は、想像していたよりもとても大きな村だった。図書館と言われる家が2つあったため大量の本が入手出来た他、司書さんも2人居たため紙でいろんな取引ができるようだ。
早速持ち込んだ木の柵で村を囲み安全を確保して、松明で湧き潰しを済ませた。もともとあったドアは塞ぎフェンスゲートを使って俺達だけが出入りできるような入り口を作った。これも動画から得た知識なのだが、村人はゾンビに襲われるとゾンビ化してしまうらしい。なので早急に対策を施さなければならないのだ。動画の投稿者の村はその対策を怠ったために村人が全滅してしまうという悲しい出来事になっていた。そんなことにならないよう気をつけなければ。
じゃがいもは半スタック、ついでに人参も半スタック集まった。本は合計42冊集まった。これでいくらかレベルの上限が上がるだろう。
「さあお楽しみタ〜イム!」
「あまり期待すると中身がよくなかった時に凹むぞ」
「そうだね〜でもやっぱり楽しみなのは楽しみだよ!」
実に楽しそうであるが、実際俺も少しばかり楽しみにしてるのは内緒だ。
「何が出るかな〜何が出るかな〜」
ウキウキ気分で鍛冶屋に入った俺達は、早速チェストを開けてみた。
鉄インゴット...2
サドル...1
鉄のチェストプレート...1
鉄のピッケル...1
りんご...3
「う〜ん、ダイヤは無かったかぁ」
「確率は低いだろうし、サドルがあったから良かったとするか」
中身を回収した俺達は、夜になっていたため村で一泊したあと拠点へと帰るために村を出た。
帰りにも探索をするため来た道とは違う道で帰る。大体方角さえあってれば拠点に帰れるだろう。食料も村でだいぶ補給できたし心配は無さそうだ。
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