第11話
家庭科室で炊き込みご飯を作ることになった。「料理」欄で炊き込みご飯のレシピを載っけることになり、「どうせなら自分たちで作ってみましょうよ」と副部長が言い出したのである。
「さー、男どもには働いてもらうからね」
副部長は腕まくりをしていつになく気合十分である。
「中村、出汁の取り方ってわかる?」
佐藤さんも気合十分である。
ーーというわけで、調理にとりかかったわけだが、なんと出汁の取り方を部長が知っていたのだ。
「なんであんたが……」副部長は驚いて眼を丸くした。
「お前は座って休んでろよ、麻子」
これでは、副部長も佐藤さんも、女性陣の出る幕はない。
調理実習終了後、校庭の石段に座っていると、副部長がやって来た。
「なーんか、いやになっちゃう」そう言って副部長は微笑んだ。
「わたしがあいつに勝てるところなんてないんだ……」
「そんなことないです、部長を殴れるのは副部長しかいません」
懸命に僕は言ったが、副部長は澄んだ瞳で校庭を見つめるだけだった。
とある半日授業の日、新聞部一同が驚愕した。
副部長が部長に弁当を作ってきたのだ。
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