続 嘘は守ってはくれない

カタッカタカタッ


後ろから聞こえた音に俺は足を止めた


・・・いや


本当は進んでいなかった     進んでいると思っていただけ


バクバクとなる心臓を押し込め後ろを振り返る


そこには蓋をしたはずのものが音を立てていた


 ”だめだ・・・溢れたら・・・”


トプリ  カタンッ  トプリ


蓋の隙間から溢れるのは蓋をしていたはずの感情


ツキンッと刺さった何かがヅキヅキと痛みだす


 ”頼む・・・やめろ・・・”


もう


嘘の笑みは意味を持たない


”違う・・・俺は・・・”


否定さえ意味を持ってくれない


ドプリ  ドプッ  パキンッ


完全に割れた蓋


俺の足元に広がる感情


パチャン


俺はあふれだした感情の上に座り込んで手を握りしめた


全ては俺を・・俺の嘘を守ってはくれなかった


俺を守っていた全てはもう無意味だ



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